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第201話 奴らは眷属使魔

 ジャリオスト国・岩場。

 魔物の軍勢と戦っていたジャリオストの戦士隊は傷をいやし、昼食を取っていた。

 包帯を巻いていたり、眠っていたり、おにぎりを食べたり、倒れ込んでいたり、もういろんなことをしている人がいた。

 そんな中、タタタとスワンは走っていた。何とジャリオスト国の戦士たちがスワンにも食べ物を分けてくれたのだ。


「ロード! 食べ物と水もらってきた……」


「ありがとうスワン」


 ロードとハズレはスワンから水とおにぎりを貰い昼食を取る。


「……ロード、あの亀みたいな魔物知っているかい?」


 食事をしながらハズレがロードに尋ねていた。そして黙ってモグモグとおにぎりを食べるスワンがいる。


「全く知らない――魔物大図鑑で勉強しているがあんな亀みたいな魔物の項目とはまだ出会ってない」


 水を飲みながらロードが答える。


「ロード、手こずってた。そんなに強い魔物だった?」


 スワンが話に加わった。


「オレの最大火力である最初の一撃が奴を仕留めきれなかった……あの硬い殻に傷をつけた程度……アレが利かないならオレでは勝てない」


「「――!?」」


 ハズレとスワンが驚いた。


「……とんでもない奴に目をつけられたなゲホ……ロードが勝てない? あいつゲホ……必ずお前を殺すって言ってたぞ?」


 水を喉に引っ掛けたハズレが言う。


「オレも大人しく倒されるつもりはない。何とかする」


「ホントに知らない? あんな強い魔物なんでしょ……魔物大図鑑のどこかに記載されているんじゃない?」


 スワンが早口に言った。


「誰も知らないのも無理はない」


 その時、一人の男がロードたちの会話に加わった。


「「「――――!?」」」


 三人は男の顔を見た。


「ヤツは魔王に作られた魔物だからな……」


 男はジャリオスト国戦士長ゲンガだった。


「魔王に作られた魔物?」


 ロードは不思議がる。


「聞くに堪えなさそうな話だろう……だが現に奴らは言った。『俺たちは偉大なるゴワドーン様に作られし魔物、眷属使魔である……人間どもよ。俺たちの力を知り、偉大なる魔王様に遠く及ばないことを知れ』…………そいつらは亀の様な魔物、ヒトデの様な魔物、巨大な土偶の様な魔物の姿をしていたらしい」


「「「……眷属使魔」」」


 三人はそう呟いた。


「ゲンガ戦士長そろそろお時間です」


 戦士の一人がこちらに向かってきた。


「承知した、直ちに準備せよ!」


 ゲンガ戦士長は続けてロードたちに向き直り、


「貴君らも出発準備を始めてくれ、夜中までにはメルクエム国中央地に着くはずだ」


「わかりました……」


 スワンが返事をした。


「立てるかロード……」


 ハズレが手を貸そうとした。


「問題ない」


 自力で立ち上がるロードであった。


 そして馬に跨って出発するジャリオスト国の戦士たち、その後にドルちゃん率いるロードたちも荷船で追いかける。


(作られた魔物)


 スワンは考えた。


(眷属使魔)


 ハズレは考えた。


(魔王ゴワドーン)


 ロードは考えた。


 これから戦う三人はその覚悟を各々決めていた。

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