第196話 気持ちのいい朝日
ソークルサ国内・林の中。
清々しい朝日と透明感のある風が透き通る。
「ん~~~~」
スワンは午前6時に起床し、伸びをしながら朝日を見ていた。
そんな中もっと早くから起きていたロードが桶に入った水を持って現れた。
「起きたかスワン、おはよう」
朝の挨拶を交わすロード。
「おはようロード水汲み? 顔洗ってもいい?」
「ああ、そのために汲んできたんだ」
「キワジ港村を出てから一週間だっけ? シルバー勢の魔物狩りさん達元気にしてるかな? マスターとか? レース王のレイアル・スライダーさんに、金閣寺の鍛冶職人さん達」
顔を洗うスワンが言う。
「元気であってくれないと困る……」
ロードが真面目に答える。
「早いな二人共、ふぁ~~~~」
あくびをしながら荷船から下りて来たハズレが話しかけた。
「今日は皆早いな……」
ロードが呟いた。
「まぁーー今日でソークルサの国を抜けて、次はいよいよメルクエム国まで行くからさ。そろそろオーイワの国、気を引き締めないと……」
ハズレの冷静さがロードを頷かせた。
「オーイワの国の近隣国だっけ?」
「ああ」
「いい朝日、今日も気持ちがいい」
全身であさのひかりを堪能するスワンであった。
「さぁ、食事にしよう。その後出発だ」
ロードが提案する。
「その前に顔洗ってもいいかい?」
水の入った桶を見ながらハズレは聞いてきた。
「今日のごはんは何?」
笑顔のスワンが訊いてきた。
「すまんトカゲだ」
トカゲさんに申し訳なさそうに言うロードだった。
「私いらない……」
「何を言っているんだ? 命を散らしてくれたトカゲさんに失礼じゃないか、しっかり食べるんだ」
「私いらない」
笑顔を崩さないスワン。
「ダメだ魔王との戦いも近い。その時の為に体力を――――」
「――こんないい朝の日にトカゲなんてイヤだ!」
珍しくスワンがわがままを言うのであった。
「気色の悪い虫よりはいいと思うんだけどな……アレはオレでも無理」
ハズレが世間話を持ち掛けた。
「――――虫!!!? ハズレ挑戦したことがあるの!!!?」
「まぁ一度ね」
「いいから食べて出発するぞ」
ロードは冷徹にスワンに覚悟しろとでも言いたげに言う。
「え~~~~トカゲやだ~~~~」
それにしても一週間の旅で随分打ち解けたスワンたちだった。
▼ ▼ ▼
ドルちゃんに乗って旅をするスワン。
荷船を牽くドルちゃん。
それに乗って旅をするロードとハズレ。
「う~~~~トカゲはイヤだ」
涙を流しながらぼやくスワン。結局尻尾だけ食べたのだった。
「地図によるともうすぐ村があるんだな……そこで食料の調達でもしよう」
ロードは地図を呼んでスワンに知らせた。
「ドルちゃん頑張って私たちを運んでね」
「クパパパパパパパパパパパパ」
だいぶ移動速度を上げルドルフィーナのドルちゃん。
「見えて来たぞ村だ!」
泳ぐように移動するドルちゃんの横眼には村が見えていた。
「待った!? ロード、スワン! 裏切りの瞳が輝いている!?」
ハズレが大きな声を出した。
「う、うわぁーーーー!!」「た、助けて~~」「この化け物がぁ!!」
村は今、魔物に襲われていた。
「――ここから飛び降りるぞハズレ!!」
「ああいいけど――」
「ドルちゃんお願い少しスピードを落として――」
ロードとハズレが荷船から飛び降りた。
そして速攻で魔物に襲われている村に助けに参った。