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第194話 動物の肉への克服

 ロードとハズレはディホースの亡骸を見ていた。


「はぁ……はぁ……」「アレ? フレアザーズは?」「い、いない?」


 そんな中、フレアザーズの言うことを聞いて酒樽を持って来た25名の魔物狩りが現れた。


「皆……フレアザーズならもう倒したよ……だから安心してくれ」


「た、倒した?」「あんな化け物を?」「ハズレさんがやったのですか?」


「いや、倒してくれたのはここにいるロードと……」


 ハズレが言葉を濁した。


「……ディホースという馬さ」


 ロードがポツリと呟いた。


「こいつはひでぇ怪我だ」「息を引き取っているみたいだけど?」「オレたちが戦っている間にこんなことが……」


 皆無残になった馬を見て悲しそうな顔を浮かべている。


「皆、この馬ディホースの供養をするから下がっていてくれ……ハズレ頼む」


 ロードはディホースの亡骸から一歩下がった。


「本当にやっていいのかい?」


 ハズレは確認する。


「それがディホースの為だから……」


 そうロードが口にするとハズレは行動を開始した。懐から油の入った瓶を取り出してディホースに垂れ流していく。そして次はマッチ棒をすり、油のかかったディホースに投げ放った。油に当たった街の炎は一気に燃え広がり、ディホースの亡骸を火葬していった。


「さよなら……ディホース」


 ロードはどこか寂しげに口にした。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 ルール―街・酒場の前。

 ロードとハズレ、それと他の魔物狩りが25人酒場の前に到着し中へ入って行った。

 その前にロードとハズレはスワンに出会う。


「ロード! ハズレ! 大丈夫! 魔物はどうなったの!?」


 二人のありさまを見て、心配するスワンだった。


「心配ない魔物なら倒してきた。それと服はボロボロだが、傷は殆ど回復した」


 ロードはさり気なく言った。


「何その服の焼け焦げた跡は本当に心配いらないの!?」


 スワンがロードの格好に驚いていた。


「ああ、問題ない。これもきっと道の秘宝玉の効果かもしれない」


「こっちは汗だくだけどな、アイツらと勝負すると暑くて暑くてかなわないさ」


「アイツらって、いったいどんな魔物と戦ってきたの?」


「それは酒場の中で話そう。とにかく今は何か食べないと……」


「………………」


 ロードとハズレが酒場へ入ろうとした時だった。


「ディホースはどこへ行ったの?」


 スワンが訊いてくる。


「「……」」


「わたし、ディホースに言ってしまったの……ロードとハズレが魔物を倒しに行ったから心配しないでって、そしたら急に駆けだしてどこかへ行ってしまったの、ねぇ二人はディホースに会わなかった?」


「会ったけど……アイツは先に遠くの空に飛び立っていったよ」


「そう……」


 スワンは涙をこらえてフルフル震えていた。


「行こう。しっかり食べないとこれから戦う魔王戦がキツイぞ」


 ロードがスワンに手を差し伸べた。


「うん、そうね」


 スワンはロードの手を取って酒場の中に戻っていくのだった。



 ▼ ▼ ▼



 ルール―街・酒場

 酒場内は魔物が出る前と変わらず活気あふれていた。特にフレアザーズの為に持ち運んできた酒樽を飲んでいてマスターにとっても未だかつてないほど魔物狩り達は迷惑をかけていた。


「ったく。アイツらときたら大騒ぎして……」


 酒場のマスターが頭を悩ませた。


「許してやってくれないか? アレでも命がけでこの街を救おうとしてくれたんだ」


 ロードは甘酒を一杯口にしてマスターをいさめた。


 そんな時だった。


「ようようよう! 兄ちゃん! フレアザーズを仕留めたんだってな」「若いのによくあんな恐ろしい化物に戦いを挑めたもんだ!」「ホントよね! ホント尊敬しちゃう!」


 ロードの周りには酒の入ったジョッキを持った、色んな魔物狩りたちの姿があった。


「さぁさぁキミも飲みな!」「気分がスッキリするよ」「シュワシュワで辛いぞ」


 酒を持った男や女が今回の件の立役者であるロードに寄ってたかって酒を進めていた。


「大丈夫です。オレは甘酒で十分ですので……」


「おい、ロードが困ってるんだここはプラチナ勢のオレの顔に免じて絡まないでやってくれないか?」


 ハズレがワインとチーズを手に発言する。


「って言うか未成年だからお酒は飲めないんだけどね」


 スワンがぼそりと口にした。


「マスター出来上がりました!!」


 その時、厨房の方から声がした。


「おおよ持って来い!!」


 店員が持って来たのは巨大な豚の丸焼きだった。それがロードの目の前に置かれていく。


「ロード、本当に大丈夫? 無理しなくてもいいんだからね」


 スワンが心配そうな目で見つめてくる。


「もう大丈夫だ。それに血肉をつけないとこれからの戦いに支障が出るのはわかった。これからは豚さんや牛さんを食べて生きていくさ」


 ロードはナイフとフォークを両手に豚の丸焼きに手を出した。そしてそれを口にする。それを見ていたスワンは心配そうな顔をまだ続けていた。


「いい食べっぷりだ!」


 ワインに酔ったのか……どこか楽しそうなハズレが言って来た。


「ゴクン! うんおいしい!」


 そんな陳腐な感想を漏らしていた。


「吐き出さないでよ……」


 スワンが言って来た。


「大丈夫もう命は粗末にしない出された料理は完食して見せるぞ」


 ロードは完全に動物の肉を食べることに克服したのだった。

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