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第177話 目指せ先頭

 ロードとハズレが固まりから抜け出た。

 

 ハズレの提案は自分の馬を風よけに使い、ロードの黒馬ディホースの足を溜めておくことにあった。


「よし!! 全力で急げ!! ディアルくん!!」


 ハズレが言うそのディアルくんというのは乗っている馬の名前だろう。


「ディホース!! ピッタリ後ろに付いていくんだぞ!!」


「ヒヒーン!!」


 そんな彼らは固まりの外側へと移動し、一気に先頭まで追い上げる。


「ハズレ!! 追いつけるか!!」


「何のためにレンタルした馬だと思っているんだよ!! これ以上の役割はない!!キミは一位を取ることにだけ集中すればいいんだ!!」


「ハズレはその後どうするんだ!!」


「その後!? 走りつかれた馬だ!! ゆっくりとレースを楽しむか最下位になるかだよ!!」


「オレを一位にするためになぜそこまでしてくれるんだ!?」


「だって、せっかく買った馬でレースするんだぞ!! 適当な順位で事なきを得るより一位の方がいいだろ!! そんなことより足は楽になってるかい?」


「ディホースどうだ風よけは楽になっているか?」


「ヒヒ―ン」


「その鳴き声からするとだいぶ楽になっているみたいだな!!」


「そっちの馬の脚は持ちそうか!?」


「持ちそうかじゃなくて持たせるんだよ!! ホラ先頭まであと10メートルそろそろ出る準備しといた方がいいぞ!!」


 ハズレはそう言いながら馬のスピードをさらに上げていく。


「それよりだ後ろ誰かついて来てたりしないか!?」


「えっ後ろ!? 待て見てみ――――」


「フフフお先に!!」


 見ず知らずの誰かに二人とも追い越された。


「ロードついて来てたのか!? それならそうと言ってくれよ!!」


「済まない!! 今後ろを振り返ったら急に飛び出して来たんだ!!」


 ロードはハズレに謝罪する。


「まぁいいよ!! こんなタイミングで飛び出す奴なんてどのみち一位に追いつくなんて不可能さ!!」


 ハズレの言う通り見ず知らずの誰かは先頭まで5メートルというところで壁を感じていたようだった。


「お前の全速力はこんなものじゃないだろ!! いい加減目を覚ませ!!」


 ハズレは鞭で馬を叩く。


(そんな鞭で叩かなくても喋りかけてやればいいのに……)


 しかし、ロードが思うのもつかの間、ハズレの馬が本気を出して走りに出た。


 固まりとはもうおさらばして、先頭まで5メートルの馬を追い越して、本気になって先頭を目指していた。


「見えて来たぞ!! 先頭だ!!」


「どうすればいい!!」


「オレが先に先頭を外側から追い越すロードはオレの後ろに出来る限り振りきられないように追いついて来てくれ!! コーナーまで入ると横風が入って風よけの意味がなくなるからここで、この直線で先頭に乗り込んでくれ!!」


「わかった!!」


「よし!! 行け!! ディアルくん!!」


 そう言うとまた加速するディアルくんだった。


 ハズレの計算はここが勝負の分かれ道と言っていた。

(ここだ。ここで、追いつけなければ俺たちに勝利はない)

 と思うハズレであった。


 そして――


「ここから全速力!!」


 先頭の外側からハズレが突き刺して一位を獲得した。


「なっ――――!?」


 驚いたのはデリンシャス・シャンスープだけではないレイアル・スライダーも驚いていた。


「これは予想外の展開だ!! 謎の男に華麗に外側から攻め込まれ先頭の座が奪われてしまった!!」


「おおーーいいぞ」「誰だアイツは!!」「面白くなってきた!!」


(来たーーーーハズレとロード! うんそうそう先頭争いに参加してくれなくちゃ面白くない!)


 スワンは内心かなり喜んでいた。


「おのれ!! 遅いぞ!! もっと早く走れ!! 馬肉にされたいか!!」


 文句ばかり言うデリンシャス・シャンスープ、しかし馬の方はスピードを上げた。


「――――今だ!!」


 新たな先頭ハズレに追い越されたデリンシャス・シャンスープは後ろへの警戒を忘れていた。


「「――――なっ!!」」


 驚いたのはハズレとデリンシャス・シャンスープ。


「――――いいぞギンガ!!」


 一瞬にして二人の先へと飛び出した。


「しまった!!」


 完全に出し抜かれたデリンシャスシャンスープだった。


 ハズレはこの時、

(さて、ロードはしっかりついてきているかな?)

 そう思って後ろを振り返っていた。


 見ればデリンシャス・シャンスープの後ろに付いていた。


「問題なさそうだ」


 体力の限界に近いディアルくんでレース王を見つめるハズレであった。


 まるで餌に食らいつかん獅子王のごとき目だった。何かしかけるのかもしれない。

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