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第163話 次なる目的地

 ガンガバレー・危険地帯。

 ロードとカンさんはお互いの無事を確かめ合っていた。

 

「大丈夫かいロードさん? 怪我とかしてないかい?」


「大丈夫それより、カンさんその膝の傷、早く処置しなくければ」


 と言ってロードはカンさんの応急処置をすべく岩の上に座らせた。恐らく崖の上へ這いずり出して来た時に出来た傷だろう。消毒液とガーゼを用意する。


「少ししみるが我慢してくれ」


 ロードが消毒液を塗り込んで、


「痛――――っ!?」


 ガーゼで傷口を覆う。


「あ、ありがとう」


「こちらこそ、命を投げ出さないでくれてありがとう」


 その時、カンは思い出していたキン師匠の言葉を



 ◇ ◇ ◇ ◇



「いい目をしてやがる、剣のような鋭く閃く目だ。坊主ついて来い。最高の剣を作りたい、その夢死んでも叶えさせてやるよ」

 キンさんの言葉を思い出す。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 その時カンの心中は、

(死んでも夢を叶えさせるか~~)

(師匠、僕の夢を忘れないでいてくれたんですね。そして託されていたんですね)

(僕はもう一度、頑張りますから、ありがとうございました師匠)

 そう言う感謝の思いでいっぱいになっていた。


「アレ? ロードにカンさん、やっと追いついたか」


ハズレが追いついてきた。


「追いついたのはいいが早く下山するぞ。もう精霊石は手に入ったしな」


 ロードの言葉はへとへとになって追いついてきた二人には効いた。


「本当か!? 精霊石の噂は本当だったんだなぁ」


「うっそ~~せっかく追いついたのにぃ、もう下山するなんて~~、だからあの岩山の所で待って居ようって言ったに、ハズレのおバカ」


いつの間にかスワンはハズレさんと呼ばなくなって、ハズレと呼んでいた。


「それより忠告した魔物はどうだった? 裏切りの瞳が光っていないからこの辺りには居ないと思うが……」


「その魔物なら倒した、相手はパワーゴリラだった」


「なるほどどうやらオレはキミを見くびっていたらしい、一人でパワーゴリラを倒すとは……やるじゃないか。勉強したかいがあったな」


「なになに何の話?」


「さっき言った魔物がいるって話さ」


 二人は既に岩山からの下山を試みていた。


「それじゃあ帰ろうかカンさん」


「は、はい」


 一行は無事精霊石を手に入れてガンガバレーを後にした。



 ▼ ▼ ▼



 金閣寺まで戻ると早速精霊石を届けて、宿屋へ直行した3人であった。


「さすがカンの剣を見極めた坊主だ。これで師匠の意思を引き継げる。テン早速始めるぞ」


「はいでさぁ!!」


 その時、ガラリと工房へ入ってくる一人の男がいた。


「待ってください!! 僕にも剣を作らせてください!! トンさんテンさん!!」


 名乗り出たのはカンさんだった。


「なに?」「カン……」


 トンとテンが面食らった。


「お願いします師匠の最後の言葉は3人でオレを超えろでした! 僕にも手伝わせてください! 何でもしますから!」


「「……………………」」


「フン、早く着替えてこい!!」


「さっさと作って仕上げるぞ」


「はいでさぁ!!」


「直ちに着替えてまいります!」


 そうするとカンは工房を後にして着替えに行った。


「アイツに案内をさせて正解だったか」


「これで3人でやっていけるでさぁ」


「ああ」


「兄弟子として俺たちも忙しくなるぞ!」


「はいでさぁ、準備してくるでさぁ!」


 師匠の夢を叶えるため3人は各々の気持ちを確かめ合った。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 カンはボサボサな髪をかき上げバンダナでギュッと縛り、衣服の腕の袖を肩まで巻き上げた。


「よしやるぞ」


 やる気は万全だった。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 ラナの街・金閣寺前。

 翌日、ロードたちは金閣寺へ訪れると、トンさんにこう言われた。


「済まないが明後日くらいまで待っていてくれ、初めての鉱物で時間が掛かりそうなんだ」


 と言われ、やむなくルール―街の外へと出た。



 ▼ ▼ ▼



 ラナの街・外側の茂み。

 スワンは隠者の指輪で隠していた荷船を出現させた。


「これからどうするんだ?」


 ハズレが尋ねてきていた。


「そうだなマスターの話では、ヤマダシオ街で馬上レースを開催するんだったな」


「それがどうしたの?」


 スワンが訊いてきた。


「見に行きたい」


「ムリだなヤマダシオまでの道のりは数千キロメートルまである。今から荷船で向かったと言っても3日はかかる。そしてレース開催は2日後。完全に間に合わない」


 ハズレが現実的な答えを言い放った。


「いや方法はある、アカ起きてくれ」


「アカって前にロードが話していた竜の事?」


「竜? そんな伝説上の生き物どこにいるって言うんだ?」


「ここにいる」


 そのとき竜封じの剣から赤い閃光がほとばしった。


「「――――っ!?」」


 その剣は伝説上の竜の形になった、というよりも実際竜になった。


「我に何か用かロード?」


「ヤマダシオ街ってところに行きたいんだ。連れて行ってくれるか?」


「お安い御用だ……ん? そちらの若者たちは?」


 アカが初めて見る顔ぶれにギラギラしたまなこを向けていた。


「紹介がまだだったなこっちが飲料店を経営しているスワン、そしてこっちが魔物狩りを生業とするハズレだ」


「スワンにハズレ覚えたぞ。よろしく」


「「……よ、よろしく」」


 二人共驚いていた。


「さぁ、目的地も決まったことだし荷船をアカに運んでもらってオレたちはその背中に乗り込むぞ」


 ロードはアカの背中へと飛び乗った。


「ああ、竜殺しの剣が発動する前に向かった方がいい。さぁ早く我の背へ乗るがいい、して荷船とやらはどこだ?」


「あ、アレです」


 スワンが荷船の位置を指差した。


「これを持って行けばいいなだな?」


「ああ頼むぞアカ」


「了解した」


 荷船を両の腕で鷲掴みにした。壊さないように慎重に繊細に扱っていた。


「二人とも何をしているんだ早く行こう」


(ホントに竜と知り合いだったなんて)


 スワンはそう思っていた。


(異世界から来たのは本当らしいな)


 ハズレはそう思っていた。


「さぁ早くアカに乗るんだ……アカ二人が落ちないようにスピードは配慮してくれ」


「心得た」


 二人共アカの背中に何とか乗って来た。


「では行くぞ進路はどっちだ?」


「ハズレどの方角だ?」


「ああここから北東の方角だ」


「聞いたなアカ出発してくれ」


「わかった、では行くぞ!」


 こうして翼を広げ上昇したアカに乗り込んだ一行は、ヤマダシオ街へと一気に移動したのであった。


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