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第159話 ガンガバレーの道のり

 ガンガバレー・岩山の麓。


 一山超えて、昼食を終えて、カンさん率いるロード一行はゴツゴツとした岩山の入り口に辿り着いた。

 そして道すがらズシズシと歩いていく。

 こういうところは慣れないのかスワンんはかなり疲れを見せていた。無理もない一山超えて来たところなんだから、


「スワン! 休みたくなったら言ってくれよ!」


 ロードがその足取りを見ながら忠告していた。


「はぁ、はぁ、大丈夫……」


 言う割には息は絶え絶えだった。


「カンさんも休みたくなったら言ってください」


 先頭を歩くカンさんの気を遣うハズレだった。


「はい、僕はまだまだ大丈夫ですよ。お気遣い感謝しますハズレさん」



 ▼ ▼ ▼



 ガンガバレー・岩山の道。

 岩山の道をただひたすら歩いていく。ときには坂だったり、崖っぷちに立たされることもあったけど、みんな頑張ってガンガバレーの奥へ奥へと踏み込んで行った。


「あとどれくらい歩かなければならないんだ?」


 ふとロードが訊いてみた。


「20分くらいで目星のあるところにつけますよ。けど、岩山は足場が悪いのでどうしても歩きづらい。時間が掛かるかもしれません」


「そうか」


「それよりロードさん僕のなまくら剣の出来がいいとおしゃったそうですね」


「ああ、よく出来ている剣だと見て思ったからな……」


「キン師匠と同じものを感じられるんですね。僕には失敗作にしか見えないんですが、」


「失敗作には見えなかったがな」


「いいえ、僕の剣なんかよりも兄弟子たちの方がいい剣作りますよ。何と言っても20年以上は師匠の下で教わったらしいですからね。僕なんか3年くらいしか……」


「カンさんの剣と兄弟子たちの剣は何か違いがあるのか?」


「はい、二番弟子のテンさんは師の技術を徹底的にマネして少しの時間で同じ性能の剣を何本も作れる量産型タイプなんです。それも失敗作を作ることなく……」


「それは凄いな」


「けど、テンさんの剣は皆オリジナリティに欠けているし、注文がなくて店に置いてあるのは大体テンさんの剣なのさ」


 ハズレが会話に割って入って来ていた。


「あの~~ハズレさん本人は気にしているみたいなのであまり言わないであげてくださいね」


「それじゃあトンさという人はどんな鍛冶職人なんだ?」


 ロードは話題を切り替えた。


「トンさんはですね……キン師匠の一番弟子でして、弟子入りするときに3日間店の前で正座して頭を地面に擦りつけながら弟子入りをお願いしたと聞いています」


「それは凄いな三日間も飲まず食わずだったのか?」


「はい、特別才能があった訳でもなくて、テンさんの時のようにまだ弟子を取る気は考えていなかった時期でした。それでもキン師匠の根負けで弟子入りしたんです」


「凄く根性のある人だな」


「ええ、そしてキン師匠の教えや信念を受け継いでいるんです。その腕が作り上げる剣はとても性能に優れ、他国の鍛冶職人の中でずば抜けている、まさにキン師匠の後継者と呼べる人です」


「ハズレ、あの人はそんなに凄い人だったのか?」


「まぁね、けど腕はまだキンさんの方が上だよ」


「ハズレさんその手に持っているのは何?」


 唐突にスワンが、ハズレの手首に巻かれた紐にぶら下がったしずくのような宝石を見て口を挟んだ。


「ああこれか? 裏切りの瞳って言って魔物が近くにいると知らせてくれるんだよ」


「どうやって知らせるの?」


「これが黒く輝きだしたらその合図さ」


 その時僅かにしずくのような宝石は光出した。


「――って、言いてる側から光出して――――!?」


 その時、ゴロゴロゴロと崖の上から大きな岩が土砂崩れのように次々と転がり落ちて来た。一つ一つが7メートルもある大岩だった。そして唯一の道が大岩によってふさがった。


「カンさん危ない――――!?」


 ロードは目の前にいたカンさんを庇い前へと進み出た。


「ロード! カンさん!」


 スワンの声が転がり落ちて来た岩の山の向こうから聞こえて来た。


「はぁ、はぁ、はぁ」


「安心してくれスワン! カンさんもオレも無事だ!」


「よかった二人とも助かったんだ!」


「ハズレは無事か!?」


「ああ無事だよ!」


 ハズレが岩山の向こうから答えた。


「立てるかカンさん」


 カンさんに手を刺し伸ばすロード。


「あっ、うん、ありがとうロードくん」


 その手を掴み立ち上がるカンさん。


「ロード道もふさがってしまったし先に行っててくれ! オレとスワンさんはこの岩山を登ってから追いつくことにするよ」


「二人だけで大丈夫か!?」


 ロードは大きな声で二人に届くように言い放った。


「大丈夫だこれでもプラチナメダル星一つは伊達じゃない。それよりも気を付けてくれこの山には魔物がいる」


「わかった!」


「……という訳だカンさん。俺たちは先を急ごう」


「こんな崖の崩れ方、キン師匠の時と同じだ」


 かんさんの声は震えていた。


「何だって……まさかキンさんの死は……」


 ロードは自分なりに推測してみた。


「ああ、もしかしたらこの地に住み着く魔物の仕業かもしれない」


 とある魔物がロードとカンさん、二人の姿を遠目に見ていた。

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