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第153話 食事の再開

 ガヤガヤと活気あふれる酒場でロード、スワン、ハズレは食事を進めるのを停止していた。


(魔王……今、魔王と言ったか?)

(この異世界にも魔王が来ているのか?)


「国一つを一夜にして落とす? 何だいその魔王ってのは?」


 最初に考えを整理したのハズレだった。


「ああ、何でも魔物たちを束ねて率いる王様なんだとさ……」


 マスターが答える。


「一夜にして国が落とされたって本当?」


 スワンが食事を辞めて真剣な面もちで尋ねてみる。


「あくまで噂話だ。そんなことが実際起きてたらもっと大きなニュースになるだろうしな」


「ロードォ、どうするの?」


「行こうスワン。そのオーイワって国に」


「はいはい」


 スワンは何かを納得したようで食事を再開していた。


「行くってどこにだ? まさかオーイワの国に行くつもりか?」


「むっ? ハズレオーイワの国を知っているのか?」


 マスターがまたハズレのワイングラスにワインを注いでいきながら訊いていく。


「知ってるも何もオレ昔そこを生業としていた魔物狩りなんだ。だからオーイワのことはよく知っている」


 ハズレの方も再び食事を再開していた。


「オーイワってどんな国なんだ?」


 ロードがその襲われた国の真意を確かめるために訊いていた。


「難攻不落の城塞都市とまで言われている。大昔、海に近いグッコって国から海賊たちが押し寄せったって話で相当な戦略と戦術で海賊たちを一掃したらしい」


「かいぞくたち?」


「海での移動を生業として港町を襲ったり、財宝を金銭を奪いに奪う特定の連中の事」


 料理をツンツンとフォークでつつくスワンが優しく説明してくれた。


「人と人が争ったというのか?」


「そうだけど、何だそんな難しい顔して、人同士の小競り合いの話ならいくらでもあるぜ……?」


「そうなのか……」


 すこしショックを受けたロードは食事を再開した。


「まぁ、オーイワならオレの育った国だ放っておけない。オレも行ってみるかなぁ」


「ハズレも行ってくれるのか? そいつは心強い」


「待て待てお前ら今から行く気満々みたいだが、オーイワに行くには一度、船旅をしなくちゃいけねぇだろ? そのオーイワって国が襲われて港町じゃあオーイワまでの海路を進むことを避けているって話だぜ」


 マスターが焦りながらそう言っていた。


「じゃあ、行くとしたら相当時間が掛かるってことか……」


 ハズレがワインの香りを楽しみながら発言する。


「どうしてオーイワに行かないんだ?」


「さっき言っただろ? オーイワには魔王が現れたって、多分、そいつを警戒してい入るんだろう」


「それに行くなら装備を整えてからの方がいいぞ、何でもその魔王普通の魔物と違うみたいだからな」


「どう違うんだ?」


 ハズレが訊いていた。


「さぁよくわからねぇが普通の魔物とは違う力を持っているんだとか……」


(間違いないその話は秘宝玉か?)


 ロードは魔王の力に確信を持って思っていた。


「とにかくオーイワ近辺へ到達する船は何時頃出港するんだ?」


 チーズを完食したハズレがマスターに訊いていた。


「まぁ最短でも5日後にはキワジ港町から出向するって聞いているぜ」


「5日か長いなぁ」


 まるでホッと一息付くかのように脱力感を見せるハズレ。


「ハズレ、道案内を頼めないだろうか?」


「オーイワまでのか? いいさ、付き合ってやる。旅は道連れ世は情けってな」


「ありがとう……」


 ロードはお礼を言った。


「マスター最後の品が仕上がりました」


「おうよ!」


 注文した最後の料理がロードたちの座るカウンター席に置かれた。


「少し分けてもらってもいいか?」


 ハズレが物欲しそうな顔でロードたちに尋ねていた。


「いいさ」


 ロードが答えを返す。


(さて見たこともない料理だどんな味がするのかなっと)

(けどどっかで見たことある形をしているな)

(まぁいいや食べ物には違いないし気にしないことにしよう)


 そしてロードも料理に手をつける。


「おいしい……この料理が今まで食べた中で一番おいしい」


 スワンが今日初めてのとびっきりの笑顔を差し向けていた。


「これはなんて言う料理ですか?」


「アザヤバラの唐揚げだ。魚肉の内に秘められたたっぷりの油がそのうまさを引き出している」


 そのマスターの一言がロードの腹を痛めた。


「やっぱりアザヤバラか、どおりでおいしいお魚だと思った」


 スワンの一言にロードは悪寒を走らせた。

 そしてロードは最後の一品ではなく、いま食べている料理の名前をマスターに訊いてみることにした。


「この料理は何ですか?」


「何って牛肉の赤身を細切れにした肉の刺し身みてーな料理だぜ」


 マスターは答える。


「牛肉?」


「そうだ牛のことだ。分かるだろ? そいつを使った料理だぜ」


 マスターが不思議そうな顔をしながら発言した。


(――――牛!? 牛さんを使った料理!?)


 その瞬間ロードには眩暈と頭痛に襲われた。


「おえぇぇぇぇぇぇぇぇ」


 そして、胃に入ったていたはずの食べ物を吐き出した。


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