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第150話 初めての酒場

 ルール―街・酒場。

 ロードのおごってくれるの一言でハズレは行きつけの酒場へとやって来た。


「ん? ハズレか? 少し見ねぇと思ったら今までどこに行ってたんだ?」


 酒場に着いたとたんハズレはマスターに話しかけられた。


「魔物討伐の依頼を受けてさぁ、ちょっと遠出したわけ……で、さっき帰って来たところ」


「そうか……うん? 後ろに連れがいるみたいだが?」


「ああ、こいつらはさっき街で見つけたんだ男の方はロード」


「どうも」


 ロードはきちんとしたお辞儀をした。


「女性の方はスワン」


「…………」


 スワンは警戒したような表情を続けていた。


「スワンどうした? さっきから機嫌が悪そうだぞ?」


「(別に、ただ精霊の術を使うって知られたら少し面倒なことになりそうと思っただけ……ロードくれぐれも口を滑らせないで)」


 小声でお願いしてくるスワンだった。


「うん? どうしたんだ早く座りなよ」


 ハズレが催促して来る。


「座席料は取られますか?」


 スワンが訊いていた。


「いや、そんなものは取らない。どこでもいいから席に着きな……」


「ロードとスワンは何歳なんだ?」


「「19歳」」


「未成年か、それじゃあまだビールやエールやワインはまだ早いな。じゃあマスターいつものヤツでお願いします」


 ハズレがカウンターの席に腰を下ろすとロードとスワンも隣り隣りに腰を下ろす。


「おうよ、そっちの若い坊主たちはどうすんだい?」


「メニュー表はありますか?」


「ああ、あるよホラ」


 酒場のマスターからメニュー表を受け取るロードだった。そしてメニュー表を開いてみる。


(しまった文字が読めない!)


「ロード?(ああ文字が読めないんだっけ)」


 怪訝な表情をするスワンだったが何とか察してくれたようで翻訳してくれた。


 コクコクと頷くロードだった。


「貸してわたしが注文してあげる」


 スワンがロードからメニュー表を受け取った。


「ハズレさんは何歳なんですか?」


「いいよ、敬語は使わなくて、一つ上の20歳ってだけなんだし……」


「はい赤ワインとスモークチーズ一丁」


「おっ出た出た、それじゃ先に乾杯っと」


 ハズレがこちらに向けてワインの入ったグラスをこちらに差し出して一人早く食べ始めた。


「ちょっと水はないんですか? 水は……?」


 スワンがマスターに訊いていた。


「水? そんなの置いてやしないぞ」


 マスターは答える。


「それじゃあ果汁たっぷりのジュースとかは……?」


「うちみたいな店では取り扱ってないぞ」


「何でお酒とかビールとかしかないの? これじゃあわたしたち何も飲めないじゃないですか?」


「おかしなことを言う嬢ちゃんだな? 酒場と言ったら酒ぐらいしかないだろう? しかも飲めないことはない」


「えっ?」


「次のページにあるノンアルコール類の飲み物を頼めばいいじゃないか……?」


「の、ノンアルコール?」


 スワンがメニュー表の次のページを開いて確かめていた。


「ノンアルコールなら飲んでも良いてこと?」


「オレは何も知らないぞ?」


 ロードとスワンがあたふたしていると、


「何だ二人共、酒場は初めてか?」


「「初めて」」


「だったら、オレがオススメを選んでやるよメニュー表貸してみなよ」


「ヤダ、自分で探す」


 スワンが血眼になってメニュー表から自分たちに合った飲み物を探す。


「そうかい……ところでロード何杯くらい飲んでいいんだ?」


「いつもはどれくらい飲むんだ?」


「普段は5杯だけど本気出せば25杯は行ける。どれくらいまでならオーケーなんだ?」


「どれくらい飲みたい?」


「せっかく魔物討伐から帰って来たんだし、今日は飲みたいねぇ~~」


「金貨何枚くらい使う」


「3枚くらい使わせてくれたらいい方かなぁ、一枚で5杯だし」


「高いな金貨1枚で5杯しか飲めないのか?」


「まぁオレが選ぶワインは高いからなぁ金銭に余裕がないなら金貨1枚の5杯でいい、あとは自分のお金を出すから」


「いいや、助けてもらったんだここはおごらせてくれ」


「いいのか?」


 ハズレは念のため確認する。


「ああ、オレはいっぱいで十分だしな。スワン何かめぼしい品は見つかったか?」


「あった。ノンアルコールの甘酒」


 スワンは自分の知っているらしいお酒を選んでいた。


「ははははは、子供舌にもほどがあるぞ、ははははは」


 ハズレが大笑いをしていた。


「何? 何か文句でもある? ロードはどうする?」


「同じものでいい」


 ロードがそう言うとスワンが行動に出る。


「マスターさん! 甘酒ちょうだい、こっちの不愛想なのにも同じものをちょうだい!」


「あいよ、食べ物はどうするんだ?」


 酒場のマスターが聞いてくる。


「これちょうだい、あとこれとこれとこれ」


「あいよ」


 ロードには文字が読めないので何が何やらさっぱりだった。


「まずは甘酒からな! おい料理の方は頼んだぞ!」


 酒場のマスターは注文の書いた紙を厨房に向けて放った。


「それじゃロード乾杯しましょ」


「ああ乾杯」


 カランという音ともに一緒に甘酒をゴクゴクと飲んでいった。


「さてと、じゃあマスターそろそろ本題に入ろうか?」


「ああ、いいぜ」


「本題?」


 ロードはハズレに訊いてみた。


「酒場ではお決まりの情報収集」


 ハズレが言い放った。

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