第148話 何者かの襲来
夜も8時過ぎ、ロードとスワンは横並びに歩き、どこかに飲食店はないかと探していた。
「なかなかないなぁ…………」
「……………………」
「スワン、聞いているのか?」
「……ちょっと、ごめん誰かにつけられているような気がする」
「――! 誰かって誰に?」
「ちょっと路地裏行こう」
スワンはロードの腕を引っ張って行った。
「――ちょっと待てスワンこんなところに来て何の用だ? 俺たちは飲食店を探しているんだろう?」
「いいからいいから、静かにして…………」
と言いながら路地裏にあった木箱や樽の背後に隠れる。
「アレ? いなくなってますよ?」「何だと? 逃がしたか?」「良さそうなカモだったのに……」「こんなことなら表路上の方で絡んでおくべきだった……」「探すか?」「いい服着てたもんな」「ありゃ相当持ってるぜ」
路地裏で隠れていると7人くらいの話し声が聞こえて来た。
ロードが表路地の方を見てみる。
「オレたちのことを探しているのか?」
「そうみたい、これだから人間は……このままやり過ごしてアイツらが去るのを待ちましょう」
「探してるのならいって訳を聞かないと――」
表通りに向かってロードは走り出した。
「なっ!? ちょっとロード!」
止めようとしたスワンだったが時すでに遅し、彼は表通りに足を踏み込んでいた。
「俺たちに何か用か?」
「――うわっ!」「びっくりした!」「どっから沸いてでた」
7人ぐらいの大男たちがロードを見て仰天するが、すぐに素に帰る。
「へへへ、兄ちゃんいいモノ来てるじゃねーか」「魔物図鑑も持っているな?」「どうだ? 俺たちが魔物のことについて手取り足取り教えてやろうか?」
「ホントか? それなら助かる。何せ文字も読めない本を買ってしまったからな、スワンに読んでもらうよりあんたたちの見聞きした情報の方が耳に早い」
「……あん? 女の方はどうした? 一緒にいたんじゃなかったのか?」
「一緒にいるが……呼んでこようか?」
「まぁ近くにいるんだな」
「ああ」
その時、男の一人がロードの背後のに回り、正面にいた男の顎クイッと動かす合図で、持っていた棍棒を振りかざし、ロードをバコンと殴りつけた。
「――!?」
何事かが起きたことはロードにもわかった。
「――おいそこのお前、今なぜオレを殴りつけた?」
振り向いて殴りつけて来た男の顔を不思議そうにのぞき込んだ。
「き、利いてねっス」
「もういい、お前らやっちまうぞ!」
ロードを取り囲む7人の大男たち。その時、スワンは飛び出そうとしたのだが、
「うおおお!!」
一人の大男が飛び上がりロードめがけてタックルをかましてきたが、ロードは後ろに目でもあるのではないかと思わせるかの如く、華麗に避けて見せた。
「何のつもりだ?」
ロードが尋ねた。
「みぐるみ全部貰っていくのさ!」「痛い目みたくなければ抵抗しない方がいいぜ」「その剣もその細腕じゃあ振り向きにくいだろう?」「だから俺たちが有効活用しようって訳さ」「主に武器やに売りつけてなぁ」「はははは」
7人の大男たちはそれぞれが各々の武器を取り、ロードに向かって警告した。
「この赤い剣が欲しいのか?」
「それとみぐるみ全部」
リーダー格らしき大男がそう言っていた。
「これは命に代えても渡せないなぁ」
ロードの目つきが変わった。
「しょうがないヤロー共やっちまえ!」
「「「うおおおおおおお!!」」」
全方向から大男たちが襲い掛かり、各々の武器を振りかぶるが、ロードは軽くジャンプして、上に避けた。
そしてリーダー格らしき男の方の背後へ回り、棍棒のような武器を取り上げた。
「こんなものを人に向けて振り上げるなんて危ないじゃないか……」
棍棒のような武器をその辺りに放り投げる。
「て、テメーは!!」
リーダー格らしき大男が拳を繰り出してくる。その男の拳をロードは難なく右手で掴んで見せた。もう一方の拳も振りかぶって来たが難なく左手で掴み取る。
「うっ、やろーー離せ!」
「話せはこちらが訊きたい、何の真似だ話してみろ」
「そっちの話せじゃあねーーよ。おい、てめーら今の内にこいつを……」
その時一人の男が大男の7人の中に上から割って入って来た。おそらく屋根の上から飛び降りて来たのだろう。
「あのさ~~一対七って流石に酷くないか?」
肩まで届く黒髪に赤い羽根帽子の被った優男が一人佇んでいた。