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第143話 世にも珍しい正体

「ケヒヒヒ、これで体力は回復した怪我も治った。しかも全力全開の攻撃がいつでも出せるぜ、ケヒヒヒ」


 魔王が不敵に笑っていた。


「知っていたのかゴールデンアップルの効果を……」


「いや知ったのは今さっきが初めてさ……」


 まだ笑っている魔王。


「今さっきが初めてどういうことだ?」


「モンキーテイル、この尻尾はその場にあるモノを把握する能力がある。誰が何人いて、どんな顔をしていて、どんな行動をしているかもすぐにわかる。おまけに持病だろうが怪我の具合までわかる」


 魔王フォッテイルが自分に生えているサルの尻尾を見せびらかしていた。


「それがどうした」


「わからないのか? どんなものでもって言っただろ、その効果は人だけにあらず、ケヒヒヒ、俺っちは運がいいぜ」


「くぅ~~何、リンゴの効果で全回復したって言うこと!?」


 スワンがあと一歩のところで仕留められるのに何ともできないという表情をしていた。


「ピンポンピンポーン正解だ。けどそれだけじゃない。このゴールデンアップルにはまだ効果があるんだよ!」


「身体強化か」


「ピンポンピンポーン大正解、褒美に少しだけチャンスをやるよ。ここにいる全員を助けるチャンスを……」


(こいつ、まさか気づかれたのか? 一応聞いて……)


「ケヒヒヒ、そうそうその通り、気づいちまったのさ! テメーらがここにいる人間たちをパ二クラせない様に配慮していたのも、俺っちの注意を引き付けていたのもな!!」


(心まで読めるのか)


「ピンポンピンポーン超正解、さぁこれから出す要求を飲んでくれたらおれっちはこの異世界から消えてやるよ」


「要求だと? 言ってみろ?」


「そっちの水色髪の女を渡してもらおうか……ケヒヒヒ」


 魔王フォッテイルは完全にこの状況をモノにしていた。


「スワンか……なぜそんなにこの子を狙ういったい何が目的なんだ?」


「ああ~~伝わって来るぜ~~大切なことを知らないってことが伝わって来るぜ」


「何が目的かと訊いて――――」


 全てを知っている魔王にロードは詰め寄った。


「もういいロードわたしが捕まればこの場は丸く収まる」


 スワンが前へ一歩踏み出した。


「スワン!?」


 ロードは驚いていた。


「ケヒヒヒ、観念したようだなぁモンキーテイルから伝わって来るぜ!」


「大人しく捕まるからここの人たちには手を出さないで……」


「いいぜぇ~~けど、お友達に自分の正体を隠したままでいいのか? 話しちまえよスッキリするかもしれないぜ」


「そうね。言うつもりで戻っても来たし……」


「正体?」


「そう、わたしの正体は世にも珍しい精霊の術を使う人間……」


「精霊?」


「ケヒヒヒ、何だ知らないのか? 物知らずだな特別に教えてやるよ、ケヒヒヒ、精霊ってのはな魔物の対となる存在達のことだ。まぁたまにいたずらをする悪い精霊もいるけどなぁ、ケヒヒヒ、まぁ簡単に言えば我ら魔王たちの敵ってこった」


「精霊が魔物の敵……けどスワンは人間なんだろ」


「そうそこが珍しくてよぉ、ケヒヒヒ、何と人間が精霊しか使えない術を使うって言うじゃないか、普通の人間に精霊の術は使えない、だがこいつはその常識を打ち破っている。だからとっ捕まえて調べつくして、おれっちたちでも精霊の術が使えるようにするのさ」


「それがお前の目的か、じゃあさっきの水の槍や弾丸は……」


「そう、全部精霊しか使えない術、わたしの逃げてきた理由」


 暗い表情をするスワンだった。


「ケヒヒヒ、いいねぇ、その表情全てをひっくり返されて大ピンチに陥った表情だ。見ていて気分がいいぜ」


「――貴様!」


 ロードは竜封じの剣を抜きかけた。


「ロード辞めて、わたしはここで捕まるから……今までよくしてくれてありがとう」


 しかしスワンの足は止まったままだった、まだ捕まるかどうか迷っているところだろう。


「スワン……」


 ロードが前に出た。


「ロード?」


「お前はオレが守り抜いてやる。もちろんここにいる人たちにも魔王には手出しはさせない。オレが倒す。だから一人で抱え込もうとするな、俺たちはもう仲間なんだから」


「ロード」


「そう言うことだ魔王、さぁ、勝負の続きと行こうか!」


「ケヒヒヒ、お前なら言うと思ったぜじゃあギョルイテイ――」


 その瞬間、ロードは魔王の背後へ回り生えてくる魚の尻尾を切り落とした。


「――何! ちくしょうなんつー速さだ!」


 魔王フォッテイルはすぐさま足を使ってその場から離れた。会場の中央に誘導されるように、


「行くぞ魔王、スワンは渡さない! 何故なら彼女はオレの仲間だ!」


 ロードは竜封じの剣を右手で抜剣し、魔王との最終決戦に挑もうとしていた。

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