第142話 ロードとスワンのデコボココンビネーション
ロードは魔王フォッテイルに光の剣をつき付ける。そして魔王は6本となったサソリの尻尾をしならせている。
この時フォッテイルは感じていた
(どういうことだ? スコーピテイルが一本斬られた、なのにドッグテイルの危機感知が発動しなかったぞ)
「どうした掛かってこないのか? ならこちらから行く!」
ロードは走り出した。スワンは水の槍を引っ込めたロードのアシストをしようと水の弾丸を作り上げていた。
「フン! 何かの手違いだ! 行け! スコーピテイル!」
6本全てのサソリの尻尾をロードに対して向かわせた。
「道が見えた」
ロードはそう言った。そう言うとまず、ロードは下にしゃがんで全てのサソリの尻尾を避けることに成功した。そうするとサソリの尻尾が地面に刺さる。
「――! 危機感知が――」
時すでに遅し、地面に突き刺さったサソリの尻尾を引っ込める前に、ロードが3本も尻尾を切断していて霧散させた。
「なっ! 馬鹿な!?」
「3本だけしか斬れなかったか、次はもっと早く動く」
この時魔王フォッテイルは、
(そうか……今のでわかった、こいつの動きが早すぎてドッグテイルの危機感知が少しばかり遅れるんだ)
そう考察した。
「す、凄い早い」
目の前で見ていたスワンがそう口を漏らす。
更にロードは走り出す。魔王フォッテイルは目と鼻の先、ギョルイテイルもないから距離は一気に詰められた。
「ケヒヒヒ!」
迫りくる光の剣を持ったロードに対して、魔王フォッテイルは手に持っていた竜封じの剣で対抗した。
キーーーーン剣と剣がぶつかり合う音が響き渡る。
「やるじゃねーの大したスピードだ! だがなそれだけなんだよ!」
「果たしてそうかな」
ロードとフォッテイルはつばぜり合いをしていた。全体的な力は魔王の方が上だったのでロードは押し込まれていく。
「粋がるなよ!」
「前の魔王にも同じことを言われたよ」
その場でタンとジャンプをし魔王フォッテイルの後ろを取る。そして残り3本となったサソリの尻尾を右手に構えた光の剣で一薙ぎ、切断した。
「くそ!」
無造作に剣を振るうフォッテイル。この一撃をロードは後ろに下がって避けた。
「ケヒヒヒ、ばーーーーか」
フォッテイルがジャンプした。そしてロードの正面から水の弾丸が飛んできていた。
「――――――!?」
水の弾丸全てを光の剣で弾いていた。
「ご、ごめんロード! 魔王に当てるつもりだったんだけど! 怪我はない!?」
「大丈夫だ問題ない!」
そして上からフォッテイルが迫る。
「ケヒヒヒ――よそ見してるとぶっ刺さるぜ!」
右手の剣で防御の態勢を取るロード。キーーンという音が響き渡る。
「くっこのパワーは……!」
ロードは竜殺しの剣を光の剣で受け止めた。その時右手だけで受けたので、剣から伝わる衝撃がロードの腕にビリリと走りひと時の麻痺を覚えた。
「これで利き腕は使えないんじゃないか!?」
盛大に宙で回転しロードの背後へ回り、竜封じの剣で受け止められないであろう右側から相手を切ろうとしていたのだが――
(今さらドッグテイルの危険感知か……構うか! 今は利き腕が使えない絶好のチャンス)
魔王フォッテイルは今がチャンスだとそう確信していた。だが、
ズバンと肉を切る鈍い音がした。
「ぬう!!」
斬られたのはロードではなく、魔王フォッテイルだった。
「な、に――――左腕で!?」
フォッテイルに大きな隙が出来た。その隙をついたロードは奪われた竜封じの剣を右手で取り戻し、両手に剣を構えた。
「すまんな、オレは両利きなんだよ」
「て、てめ~~! キャットテイル!」
腹部を斬られたために霧散の煙がモクモクと上がって行った。そしてキャットテイルと言った瞬間、新たな長い尻尾が現れて、フォッテイルの爪が伸ばされた。
「剣と同じ強度を誇る爪を生やすキャットテイル、爪は2メートルの長さを誇る。さらにこのキャットテイルはバランス感覚を完璧に取る隙は生まれないぜ、ケヒヒヒ」
勝ちを確信している表情をしていた。
ロードは自分の剣よりリーチのある剣を恐れなかった。
「道が見えた」
「はぁ!?」
「ロードォ! 下に避けて!!」
その時ロードは膝をガクンと落とした。そして背後から迫りくる水の槍を避けた。そうすると目の前にいた魔王フォッテイルに突き刺さった。
「ぐう!?(早すぎる攻撃に危機感知が発動しなかったか?)」
「これで終わりだ!」
ロードは二本の剣を構えてフォッテイルを切り裂いた。
「ぐ、ぐああああああああああああああああああああああああああ!!」
どさっと魔王が倒れ込む。
ロードはその場でへたり込んだ。
「お、終わった……」
「やったーーーーやったーーーー避けてくれてありがとうこれでフォッテイルを倒すことが出来た!」
「リンクされた尻尾はどうなった?」
「待って今確認する」
腰に巻いていた細長い尻尾を外に出してみると、見る見るうちに霧散化していった。
「消えた、尻尾が消えた!」
スワンが喜んでその場で跳ねまわっていた。
「はぁ~~よかった」
へたり込むロードは光の剣を消して、竜封じの剣を鞘に納めた。あとは魔王フォッテイルが霧散して消えていくところを見守るだけだった。
その時、ロードに悪寒が走った。倒れ伏せていたはずの魔王がいなかったのである。
(もう霧散化して消えてしまったのか?)
その時更なる情報が彼らに届く。
「おおっと、化け物が優勝賞品であるゴールデンアップルを食べていくぞ! それも一つや二つではない一気に8個も食べて行ったーーしかーーしこれはもう優勝したロード選手の所有物ここにいる人で文句を言う人は居ないでしょう。さぁ、デモンストレーションもいよいよ最終局面か!!」
フルーツ祭典の司会者がそう実況していた。
「うっぷ、いい気分だぜ!!」
魔王フォッテイルの姿が優勝賞品であるゴールデンアップルの前にあった。
「あ~~~~~~!! わたしたちのリンゴが~~~~!!」
スワンが大声を上げていた。
「――まずいな」
再びロードが光の剣を左手に出し、右手に竜封じの剣を構えて態勢を整えた。
「さぁ~~て、これで力が湧いて来たぜ、ケヒヒヒ」