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第137話 大きくて重さのあるワニの尻尾

「ケヒヒヒ、どうした今度は近づいて来ないのか!?」


 ワニの尻尾を振るう魔王フォッテイル。


(頭に頭突きのダメージは食らったが、それ程大した痛みではない)

(重要なのはあの頭突きを食らわすスピード力だ)

(こちらが間合いを詰めると同時に一瞬にして近づくスピード力があちらにはある)

(これでは近づいても無意味、まずはワニの尻尾の切断に専念しよう)


 ロードは繰り出されるワニの尻尾を避けながら思案する。


「ケヒヒヒどうしたどうした! 時間稼ぎか? わかってんだぜ! 水色髪の女がどこへ行ったのか……どうせ異世界へ行くための準備だろう? ケヒヒヒ、それが狙いならさっさとお前を倒して追うしかないなぁ……だからよぉ、サービスに教えてやるよ。何故おれっちのスピードが早いのかを――!」


「――――!?」


「これこそギョルイテイル」


 魔王が見せて来たのは新たに生えたと思われる魚の尻尾だった。


(アレが何だって――――)


 その刹那の瞬間、ロードは確かに見た。


 魚のような動きをする魔王を、そして10メートルの間合いでやり取りしていたのに、一瞬で懐に入られたのを、そして頭突きを繰り出す瞬間を、


「――――うっ!!」


 三度目の頭突きでとうとう額から血を垂れ流すロードだった。


「どうせ、あの水色髪のスワンちゅわーんに聞いているんだろう? オレの能力を! だがなその程度の分析でおれっちがやられると思うなよ!」


 ロードは地面に伏していた、その隙を狙って魔王フォッテイルはワニの尻尾を上から下へと振り下ろす。間一髪のところでロードはかわし、尻尾が打ち付けられた場所にはへこみが出来ていた。


「はぁ、はぁ」

(こいつ俺たちの世界に来た魔王よりも強い)

(しかもあの魚の尾の能力まで明かすほどの余裕だ)

(舐めてかかるとやられるか……?)


ロードは会場で緊張感に包まれていた。


「まだまだ動ける余裕があるようだが、さっさと終わらせないと水色髪の女にまた逃げられるそろそろ蹴りつけてやるぜ」


 フォッテイルはその場で横回りに一回転してワニの尻尾を振りまわした。ロードはチャンスと見込んで切断を試みるために竜封じの剣でガードをしたのだった。本腰を入れてワニの尻尾の衝撃に耐えていた。


「ヒュー、やるな、おそらくまともに食らえばあばら骨の一つでも砕けていただろう攻撃を剣を盾にして防いだか……」


(防いだだけでは意味がない、切れなければ魔王にダメージは与えられない)


「ならばこれならどうだ!」


 魔王はもう一本のワニの尻尾を生やしたのだった。


「両側からなら防ぎようもあるまい!」


(冗談じゃないワニの尻尾一本だけ防いだ感触だけでわかる)

(まともに食らえば腕の骨折は必至)

(それが二本も来てしまえば防ぎようがないぞ!?)

(しかも魚の尻尾まであるし一体何本の尻尾を生み出せるんだ)


「さぁて、あばら粉砕してやるよ!」


 二本のワニの尻尾が同時に振るわれた。


 それをロードは上に跳んで避けた。しかもそれだけではない、魔王にめがけて剣を突き刺そうとする態勢でいた。


「ギョルイテイル!!」


 魔王が叫ぶと一瞬にして元いた位置から数メーテル後方へと移動する。


「くっ、またあの魚の尻尾か!?」


「ケヒヒヒ、秘宝玉の力はもう十分見ただろう!?」


 ワニの尻尾が振るわれるが、下にしゃがんで回避する。しかしもう一方のワニの尻尾が襲い掛かる。上から下へと振り下ろされる。


「くっ、これならどうだ!!」


振られた尻尾に対して下から突き刺すような態勢をとり、尻尾が竜封じの剣で貫かれた。そのまま一気に貫いたカ所を起点にし、剣で尻尾を切り裂いていく。


「やった」


「フン、一本のワニの尻尾を仕留めたくらいで喜んでいると戦闘力もたかが知れるな。リザードテイル!!」


 仕留めた尻尾が魔王フォッテイルの尻尾の付け根から切り取られていく。


(――まずい)


 そう思ったのは、仕留めた尻尾から剣が深く食い込んで抜けなかったからだ。


「ワニの尻尾、クロコテイルを再び生やせばいいだけのこと!!」


 切り取られた尻尾から、新しいワニの尻尾が生えて来た。


「伸びろ伸びろ!! 10メートルまで伸びて敵を刺殺しろ!!」


 ロードに向かって尻尾が伸びていく。それを彼は右手で持っていた剣を抜くことを諦め、受け止める態勢をとった。そして両腕を使ってその重くどっしりとした尻尾を抱きかかえた。


「――なっ!?」


フォッテイルは驚いていた。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


ロードはそのまま尻尾を抱きかかえて、フォッテイルを宙へと引き上げて、ドスンと脳天から地面へと叩きつけた。


「――――――ぐげはっ!?」


 叩きつけられた衝撃に体内から息と声を吐き出す魔王フォッテイルであった。


「はぁ、はぁ、見たか魔王フォッテイル、オレにはこれだけできる強さがある」

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