第130話 様々な料理たち
「エントリーナンバー1番トルさんの入場です!」
司会者の呼びかけにナンバー1の大男が入場してきた。
「おおう! 今回は気合入れて来たぜぃ!」
「皆さまご覧ください! 昨年の準優勝者のトル選手が早速入場だああああ!!」
「今回は始めっから優勝者が決まっちまうなぁ」
「どうやら自信がおありの様子……さぁ料理の品が女性スタッフの手によって運ばれてきました。一体どんな料理なのでしょうか……!?」
「今回作ってきた料理はドラゴンフルーツのソテーだ」
「おやおや突然のとびっきりの発想です」
「「「おお~~~~~~~~」」」
それは輪切りにされ油で焼かれたドラゴンフルーツのソテーだった。
「静まんな皆の衆」
「では、早速試食タイムと参りましょう、審査員の方々どうぞ」
続々と味見や匂いを嗅ぐ審査員たち。
「見た目は悪くない」
「発想も悪くはない」
「味の方はあまりよろしくない」
「では、村長さん、奥さん、味部門、見た目部門、発想部門の順に点数を発表していきましょう!」
司会者が隅にいる観客たちにまで聞こえる声をあげる。
「お高く頼むぜぃ、審査員さんたちよう」
「出ました、6点、8点、2点、5点、9点で合計30点です」
「ちっ、味がやっぱしダメだったか」
「それでは次の方サンサさん入場をどうぞ!」
「へいへい……料理はこちらに土鍋のふたを開くとあら仰天」
入場してきたのは猫背の男だった。料理を運びんで来る女性スタッフと共に現れた。
「おおっとこれはフルーツを詰め込んだ鍋料理だ!!」
「ありとあらゆるフルーツ話つ込んでみた。味見はしていない」
「おおッとからくも問題発言だぁ!! さて試食の方は!?」
審査員が試食していく。
「うむ、発想は良い」
「見た目に少し問題が……」
「フルーツの味にも問題はあるが、バナナなんとか行ける気がする」
「ちょっとあんな発想があるのならロードの料理は……」
「大丈夫味見はして来たから……」
「では審査員さん点数の方をどうぞ!」
「出ました! 7点、4点、3点、2点、8点で合計24点です」
「へいへいどうせ味見はしませんでしたよっと」
早々に会場から出て行ったサンサさんだった。
「ではではどんどん行きましょう。次の選手は初めての参加、ルーツ村出身のフゥ選手だ!」
「よ、よろしくお願いします!」
「どこかぎこちないが初めて参加される村の料理いったいどんなものが出てくることやら!」
「えっと私の料理は人読んでメロンアイスバーです」
「これは何とメロンの切込みの形をした黄緑色の塊が出て来たぞ!」
「皆さんどうぞ!」
「それでは試食開始です!」
その料理は三角形の見た目に棒のようなものだ突き刺さった代物だった。おそらくその某を持って食べるのだろう。
「何だこれは見たこともない料理だ」
「見た目は問題なさそうだ」
「味を見てみよう……むっ何だこの冷たさは……」
「おや、おいしいじゃないかい……?」
「おおっと奥さんからも絶品の様だこれは期待が持てますぞ! では審査員の方々採点をどうぞ!」
「南無南無南無南無」
祈りの念仏を唱えていた。
「出ました! 8点、9点、6点、5点、7点で合計35点! フウさん、前回準優勝したトルさんを超えていきました!」
「やったやった!」
「ちくしょう今年も優勝できなかったぜぃ」
肩をがっくりと落としたトルさんが会場からレンガの塔へと戻っていく。
「食べてみたいな」
「わたしも」
ロードとスワンはレンガの塔の通気口からそんな会話をしていた。
「ではどんどん行きましょうお次はケイシキ村のワサさんだ!」
「今回は一味違う料理を持ってまいりましたよ」
「この発言! 期待を持ってもいいと言うことか!」
「では、料理の紹介の方を、今回の料理はシャインマスカットどんぶりです!」
「これまた珍妙な逸品が出てきました!」
それは一房のマスカットをの皮を全部向いてご飯のようなものに盛られたどんぶりだった。
「発想は悪くない」
「見た目はメシの実とマスカットの相性がミスマッチだ」
「味の方は多少マスカットに火を通しているようだ」
「これは合わない組み合わせだねぇ~~」
「おおっと審査員からは不評の声が……それでは採点の方をどうぞ!」
「迷走した結果ね」
スワンが考察した。
「この異世界にもメシの実があるのか……?」
ロードは吐露していた。
「出ました! 3点、2点、1点、4点、6点で16点だ! これはかなりショックが大きいことでしょう」
「く~~~~自信作だったのに」
「さてエントリーナンバー5、カコイーキさんの入場でーす!」
「ぐわっはっはっは、良い祭りだわしの優勝を皆でその目に焼き付けよ!」
ドスンドスンと足音を鳴らせたのは先ほどの大男よりもでかい大男だった。
「かなり自信がおありのご様子ですねカコイーキさん」
「我が料理を刮目してみよ」
「おおっとこの料理は辛いトーガの実のジャムをつけたコッペパンだ!!」
「辛さこそ王道、辛さこそ至高」
「どうやら辛い物がお好きらしいしかし審査員たちの反応は!?」
司会者が審査員たちの反応を見る。
「発想は極めて陳腐」
「見た目はシンプルで悪くはない」
「味は激辛です! スタッフマミズの実の搾りジュースを大量に――」
「わしの嫌いなトーガの実じゃないか」
「これは老体には刺激が強すぎるな」
「おおっと審査員さんたちはトーガの辛さに阿鼻叫喚だ!」
「ぐわっはっはっは、辛さこそ王道、辛さこそ至高」
「さて採点の方へ行きましょう。出ました! 3点、1点、5点、8点、2点で合計18点です!」
「うむぅ」
がっくりと肩を落とす大男の中の大男だった。
「アレ食べてみたい」
「トーガの実でしょ、すっごく辛いから食べるなら覚悟しておいた方がいい」
ロードとスワンはのんきな会話で祭典を楽しんでいた。