第122話 友達の紹介をしてみた
「その剣は何?」
スワンが柿にかじりつきながら訊いてきた。
「これは竜封じの剣、元は竜殺しの剣だったんだけど――」
「――――ゴフッゲホ!?」
その時スワンが喉を詰まらせた。
「大丈夫か?」
急いで水を飲み詰まりを解消させていた。
「――ごっくん。そんなことよりあなた今、竜殺しの剣って言った!?」
果物じゃなくて話の方にかじりつく。
「ああ、竜殺しの剣って言ったけど……」
「それホント!? もし本物ならあなたヤバいぐらいの敵を作ることになるからね!!」
「どうしてだ?」
「竜殺しの剣は対竜用の剣。それはあらゆる異世界で七本のうちの一つだと仮定すると、欲しがる人は山程いるから、例えあなたを殺してでも剣を奪いかねないかもしれない人たちが多くいるの」
「そうなのか? でも今は竜封じの剣なんだが、、、」
「竜封じの剣? どういうこと? 竜殺しの剣なんでしょ?」
フルーツの山の内から桃を取り出してかじりつく。
「ある赤い竜と出会ったんだ……そして異世界で魔王と戦っていて、オレたちの異世界まで飛翔して、色々あって友達になったんだ。そして魔王と最終決戦、共に戦ってくれたアカと名付けた竜は、竜殺しの剣に刺さったんだ」
「じゃあ、その竜はもう、、、」
「いいやここにいる」
ロードは竜封じの剣を掲げて見せた。
「えっどういうこと?」
「オレの道の秘宝玉の力が働いて竜殺しの殺しの力と生かす力がぶつかって、封じる力に変換されたんだ」
「あなたの秘宝玉にそんな力が……竜殺しの力に抗うなんて相当なものでしょうね。それでその後はどうなったの?」
「この剣にアカという竜が封印されている。少しの時間なら剣から出てきて、竜の世渡りの力も使えるってことだ」
「なるほど、そうやってこの異世界に来たって訳ね~~じゃあその竜もあなたの武器として扱えるの?」
「武器じゃない友達だ」
「ごめんなさい。その竜も戦力に加えていいの?」
「う~~ん、どうだろう未だに殺しの力と生かす力が戦っているし、そう簡単には出て来られないと思う。今も深い眠りについているみたいだし……」
「わかるの? 寝ているって……」
「誰の生かす力だと思っているんだ。それくらいはわかるさ」
「どうして寝ているの?」
「異世界を行き来しているときに教えてもらったんだけど……竜の世渡りが終わったら疲れ果ててまた眠りにつくって言っていた。その眠りがいつ覚めるかわからないけど、頑張ってすぐ覚めるようにするってさ」
「そうか~~。竜を味方につけられないのは残念かなぁ」
そう言ってスワンは桃を完食する。
「お~~いアカ~~夕食、食べなくても平気か~~リンゴがあるぞ~~」
ロードは竜封じの剣をコンコンと手で叩いてみたり、フルーツを見せびらかせて食欲を誘っていた。
「平気でしょう……竜は一年に一粒の豆でさえ食べれば本領発揮が出来る、伝説の化物だし」
「伝説の化物か~~ホント倒すときは苦労したよ~~」
「えっ、どういうこと? 味方じゃなかったの?」
「いや、最初オレたちの異世界に来たときは悪い竜だったんだよ」
「悪い竜? なんで? 友達なんでしょ?」
「最初あった時は違うさ、魔王の刀という武器に刺されてなかば錯乱状態にあって暴れまわってたし」
「不謹慎なこと聞くけど犠牲者かなり出たでしょ?」
「いや、命を落とした者は一体もいなかったよ。竜が魔王の力に抗い続けたおかげでさ」
「そう、だからお友達になれたんだ。合点がいった」
「ホント大変だった~~後ろから追いかけられるし、がけ下に落としたら飛ばれるし、ありがとうとか言って殺されるのを覚悟していたり、、、いや~~ホント大変だった」
「何でありがとうって言ったの?」
「国を街をめちゃくちゃにした責任を取りたかったんだってさぁ」
「竜が?」
「そう」
「そして、その竜を仲間に引き入れた?」
「そうなるかな……」
「そう、強いんだねロードって……」
「それで、そろそろ聞かせてくれないか? どうしてそんな尻尾が生えてしまったのか? 魔王の呪いとは何なのか?」
「それは……魔王の力、尻尾の秘宝玉のせい」
スワンは猫の様に蠢く尻尾を見つめながら魔王の力の秘密を話し出す。