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第121話 スワンの知る秘宝玉の手に入れ方

 二人の食事は続いていく。


「ゲフッゲフ!? 魔王がこの異世界に来るかもしれないだって!?」


「ええ」


「どうしてお前にそんなことがわかるんだ?」


「それは……力になってくれるのなら話をする」


「力になるから話してくれ……」


 スワンはその真剣で真っ直ぐな目に答えようとする。


「これを見て……」


 スワンは直立する。するとスカートの中から奇妙なことに、猫のような白くて長い尻尾が顔を出してきた。尻尾の長さはおよそ45メートル。


「何だそれは、尻尾か?」


「うん、べ、別にわたしが獣人族とか亜人とかって訳じゃないの……いたって普通の人間だよ」


「待て待て、じゅうじんとかあじんとか、さっきから意味の分からない言葉のオンパレードだぞ」


「獣人っていうのは獣の姿をした人族のこと、そして亜人は少し人間から外れた存在を意味する」


 尻尾をユラユラさせながらスワンが語る。


「獣人や亜人でないとして、どうしてそんな尻尾が普通の人間のお前に生えているんだ?」


「これはこれから話す魔王につけられた一種の呪いなの」


「魔王の呪いだって!?」


 ロードが先刻の落し物であるリンゴにかじりつく手を止めて訊いた。


「魔王の呪いというよりも秘宝玉の効果って言った方がいいかな」


「魔王の秘宝玉……そいえば昼食時も言っていたな……? 秘宝玉がないと魔王にはなれないって……」


「正確には魔王と呼ばれる存在は皆、秘宝玉を持っているって話だけどね」


「その呪いの尻尾が何なんだ?」


「この尻尾はわたしで魔王はわたしを追跡してくるの……簡単に言えば異世界から異世界への移動が出来るってこと」


「その尻尾を辿って魔王がこの異世界にやって来るってことか……?」


「この異世界に魔王が来る理由はわかった?」


「いや、分からないどうしてお前にそんな呪いをかけてまで魔王はここへやって来るんだ?」


「それはわたしが普通の人間じゃないから……」


「さっきと言っていることが違うぞ? 尻尾が生えていないから普通の人間だって名言してたじゃないか……?」


「わたしはその~~~~……………………」


 スワンは座り直して指でいじいじと地面に円を書いていた。


「まぁ無理に言わなくていい。問題は魔王がここへやって来るってことだ」


「だから、あなたの力を貸してほしいの……一応この異世界に来る前までは魔王を一体葬ったんでしょ?」


「ああそうだ」


「力を貸してくれる?」


「もちろんだとも……」


「よかった~~~~」


「それにしても解せないな。オレがここで魔王の話を聞かなければ、この異世界はどうなっていたと思う?」


「それはわたしを追い続けているからここにいないとなれば用が無くなってまた別の異世界に行こうとする」


「違う。オレが訊きたいのはお前が異世界転移した後のことだ。魔王がここにお前がいないと知って、むざむざ追いかけるとは思えない。それどころかお前がいない腹いせにこの異世界を滅ぼすかもしれないんだぞ?」


「それはそうかもしれないけど……わたしには逃げる以外の選択肢がないの。そこはわかって……」


「…………はぁ~~わかった話を続けよう」


「納得してくれてよかった……それであなたは何の秘宝玉を持っているの?」


「何の秘宝玉とはどういう意味だ?」


「ああ、そうかあなた秘宝玉のこと何も知らないんだっけ?」


「そうだけど、お前も知らないんだろう?」


「少しくらいなら知っているけど、例えば秘宝玉の手に入れ方とか……」


「知ってる。それを使うには磨いて探し出すしかない」


「それは自分に内包された秘宝玉の手に入れ方、、、結構レアな人生辿ってたのね……他の二つの手に入れ方は知っている?」


「ん? 他にも手に入れ方の手段があるのか?」


「ええ、例えばそれを使うにはそれ相応の態度を取って見よとか、それを使うには何を差し出すかとか、基本的にこの三つが秘宝玉の所有者になるための試練だったりするの」


「へ~~でオレは何の秘宝玉なんだ」


「知らないわけがないでしょ? 秘宝玉所有者になる前提としてあなたみたいな人達は秘宝玉の名前を当てなくちゃならないんだから」


「名前を当てる?」


「そう、それが秘宝玉所有者になる絶対条件」


「それがか~~それと言えば、、、アカが言っていたな重要なのはソレの部分って」


「そう、その部分が秘宝玉の名前なの」


「それじゃあオレの秘宝玉は道の秘宝玉ってことになるな」


「道の秘宝玉……どんな効果があったの?」


「ん~~まずは暗闇を晴らす光が沸き上がって~~それから光が剣の形になったなぁ」


「それだけ? ちょっと秘宝玉を見せてくれない?」


「ああ、いいぞ」


 ロードは秘宝玉を手に現すために手を水平に構える。すると光のような魂のような秘宝玉が姿を現した。


「こ、これがあなたの秘宝玉?」


「そうだと思う」


「何で宝石のような形になっていないの?」


「そいえば魔王アグロ―ニの秘宝玉は真っ黒い宝石だったな~~」


「ホントに秘宝玉? 聖法や魔法の親戚だったりしない?」


「いや、オレのいた異世界の魔王はこれを見たとき、これを見て秘宝玉だと言っていたぞ……?」


「そう、ならいいのだけど……他に力はないの? ほら竜を倒したって言っていたじゃない? それはどうやって解決したの? まさか光の剣を出しただけで一撃で倒したとか?」


「違う、それはこの竜封じの剣で倒したんだ」


 地面に置かれた竜封じの剣の説明を始める。

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