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第十八話 何がおきるか判らないのも人生だけど

 斥候二人に先導させて、老師様がその後を行きます。わたしとセネアチータ殿、ミューザレイヌ殿は薬学科と一緒に手勢に守られています。

 薬学科長が時々何かを採るように指示してちょっと止まったりしながら、慎重に進みました。

 索敵の練習がてら周囲を見回して、気付いた事なども話しました。


「黒ブドウが多いですね。潮風に強いんですか」

「弱くは無い、程度ですね。森芋もかなりありますが、掘られた跡があります。イノシシ類がいるでしょうか。荒れ方から見て中型の集団ですね」


 中型と言っても一トンはあるらしく、大型じゃないくらいには大きいようです。


「嬢ちゃん達、三人とも来とくれ」


 老師様に呼ばれて、セネアチータ殿、ミューザレイヌ殿と行きます。トーアベヒター錬成科長も呼ばれなくても寄って来ました。


「下草に隠れとるがイノシシの集団じゃろうな。そこそこのがおるわ。二人でぱるす撃っとくれ。寄ってきたら衝撃波じゃ」


 老師様が各種の指示をされて、戦闘隊形を整えてから大きな羊歯の群生に向かってパルスを撃つと、小口径の機関砲くらいの威力の爆発が起きます。

 それを突っ切って、サイサイズのイノシシが向かって来ました。

 衝撃波を浴びせて動きを止め、闘気弾の雨を降らせた後、老師様とバーチェス公子が斬り込んで仕留めたのですが、半分くらいになったら老師様が威圧して追い払われました。


「どうしたんですか」

「これ以上獲っても持ち切れんわ」


 トカゲ頭も獲ったのですよね。なんか麻痺して来ましたよ。横取りが来たら無駄に殺す事になるので、さっさと撤退しました。

 港に帰ったら、イノシシの肉は好評でした。誘き寄せるだけなら三級のレーザーでも出来そうですし、尉官以上を揃えて行けばイノシシの群れは獲れるのですが、横取りになにか来るかが問題です。

 次にトカゲ頭がいなかったら、東に行って見る事になりました。


 なんか邪念みたいのがあると上手く行かないもので、次はトカゲ頭がいた上に、老師様が殺し損ねてしまいました。

 瀕死の亜竜が生き血大好きさんの餌食になった後、三匹だけ来た森廻りが八つ当たりで瞬殺されて、もうちょっとだけ北に行きたいと、お爺ちゃんが駄々を捏ねました。

 別のトカゲ頭に遭う可能性はかなり低いし、森廻りもいないはずで、いるなら鹿くらいなので、行ってみたら鹿がいたので獲って、それで帰投になりました。

 収穫としては随分良かったのですが。


「次は、直に東行ってみんか。群れイノシシ獲るにしても、その上が何か判らんと拙かろう」

「これ程の戦力の揃った調査隊を組むのは困難ですから、出来ればして頂きたいのですが、危険性としては、未知の魔獣の生息域での戦闘になることでしょうか」


 ガラデニア薬学科長が常識的な意見を述べたのですが。


「東の霊気の薄い場所を辿るなら、未知の亜竜でもありったけの爆音雷を投げれば、逃げられるんじゃないでしょうか」


 あまり希望的観測を言わないワイサイト助教授が言いました。


「やや南寄りを行けば討てぬ事もあるまい。薬学科の乗騎の無い者は連れて行けんが、よいか」

「未知領域の調査ですから」


 流石に安全マージンは取りますね。

 薬学科を士官学校からの選抜組に入れ替えて、東側の調査に行きました。

 イノシシの群れを狩って、出来るだけ霊気の薄いところで待っていたら、頭の大きな狼らしき魔獣の群れが来ました。

 似たような古代生物がいましたね。アンドリューサルクスでしたっけ。あれの口を横に広くして、口吻だけなら毛の生えたクロコダイルにも見えます。

 見た目が凄くても老師様の敵ではなく、班狼と同じように狩られてしまいました。


「こんなもんか。もっと強いのはおらんか」

「トカゲ頭も狩りに来るのを更に南に呼んでいるのですから、この辺りではこれが一番なのではないでしょうか」


 生物学専門のガラデニア薬学科長の見解に反対意見もなく、獲物の量的にも収納限界なので帰りました。

 大頭狼と名付けられた魔獣の革は、班狼と同じ重さで防御力が高く、高級品になりました。サピエンティア大隊全員が普段着にもらいました。

 群れイノシシも大頭狼も適当に強い上に実入りもあり、軍の上位者の修練に最適なので、野営地が恒久化することになりました。

 亜竜の干し肉で咆哮を吐ける乗騎も増えてきて、採集も安全になるようです。


 カマス頭獲って、大筏の修理点検の間にこっちに来てトカゲ頭狩りをしていれば、十年もすれば大佐で連隊長だそうです。

 それでいいんじゃないでしょうか。いいどころじゃありません。二十五歳で大佐なんてとんでもない出世ですよ。

 更に三十年もすると忠勤昇進で准将です。旅団長ですよ。順風満帆の人生。


「嬢ちゃん、亜竜で満足せんでおくれ」


 他人の人生に踏み込んでくる人がいます。


「走り鎌のいる森の奥に山があってな、たまに翼竜が飛んでおるんじゃ。十年もすればれえざあで呼べるようになるでな」

「今のわたしのレーザーの威力じゃ相手にもされないって、どんな化け物ですか」

「走り鎌獲る山に呼べばカマス頭と一緒じゃよ。儂とインディソルビリスとエレガンティナならば討ち取れるで」

「王国最高戦力三人掛かりとか、カマス頭とまったく違うじゃないですか」

「でかいでな。倒し切るのに手数が掛かるんじゃ」


 暇なので、そんな話ばかりされます。

 真竜仕留めると寿命が百五十歳になるらしいのですけど。余計暇になりますよ。

 こんな歳から付き合わされていたら、自分で仕留めなくても同じくらいになってしまうのじゃないでしょうか。

 退屈な老後にならないように、計画的に生きましょう。

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