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「忍び寄る悪魔」

   あれ? タヌ子さん?(内田)



 こんにちは、内田真斗です。真斗と書いてマナトです。そろそろこの始め方もくどいですか? 


 今回は本当にビックリしましたぁ~。


 まさかタヌ子さんが! 


 そしてそしてまさか僕の彼女、エマ=ガブリエラ=リヒター・ハルトマン(名前長過ぎですよね…)、もとい、エマがそんな才能を持っていたなんて! 


 僕はただただ驚愕するだけで…。


 ちょっとハードな内容の回になりますが、気持ちを落ち着かせてお話をさせていただこうと思います! 


 ではっ!






 ドイツ人は夕食後によく散歩をするらしい。


 エマと付き合うようになってから、食後によく二人で家の近所を散歩するようになった。


 空腹時のエマは、獰猛な肉食獣のようにイライラしているが、食事が終わった後は満腹で幸せなのか、女の子っぽく甘えてきたりする。


 このツンデレのデレが見たくて、しょっちゅう何か食べさせようとしてしまうのだが、やり過ぎてしまうと、


「キサマ、私ヲ ヒャッカンデブニ シタインカー!」


と、ぶち回されてしまうので、気をつけなくてはいけない…。

 




 夜風に誘われて、今日は少し遠くまで歩いた。


 エマがデレ状態で、手をつないで頭を僕の肩にもたれているせいで、ついついもう少しこのまま…と思ってしまったのだ。


 普段は行かない所まで歩いたせいか、人気の無い寂しい感じのところまで来てしまった。


 街灯もあまり無くて何となく気味悪く感じたので、そろそろ引き返そうかと思っていたら、前方に見たことがあるような人影に気付いた。


―キャリーバッグを引っ張った女の人。暗がりで後ろ姿を見るだけでも美人だってわかる。さすが僕! だけどあの人…あれ? もしかして、タヌ子さん?



 タヌ子さんらしき人の前にもう一人誰かいた。男のようだったので、てっきりヒロキさんかと思った。


 さては二人も食後の散歩かと思い、挨拶をしに行こうとしたその時! 


 男は両腕を思いっきり振り上げた。


 それは見たことも無いような大きな腕で、とても人間の腕とは思えないような大きさだった。


 ちょうどマウンテンゴリラが両腕を挙げて威嚇する様子、そんな感じだった。


 その大きな腕の男はタヌ子さんらしき人のお腹を思いっきり殴った。


 僕もエマもまさかの突然の事態にビックリして体が固まってしまった。


 男はタヌ子さんらしき人を殴ったように見えたが様子が変で、時折、首を傾げながら腹の辺りで手をぐるぐる撫で回すようなしぐさをした。


 その様子は手探りで何かを探しているようにも見えた。


 女の人はうめき声をあげていた。


 目を凝らすと、信じられないことに男は女の人の体の中にその大きな両手を入れて掻き回している! 



―バ、バケモノ~!!!




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