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とある異世界の黙示録 -蒼い守護者の物語-  作者: 誠珠。
第八章 再会
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今後のこと

 日を改め翌日。本当は今日がアッシュたちの出立予定だが、ルスがどうしても作っている服を今、渡したいからと服を作り上げてる間に外で朝食を取っていた。昨日の今日で作る彼女もすごい気がする。


 そんなこんなで、お店の中では朝食のいい匂いが立ちこむ。


 パンやベーコン、スクランブルエッグなどが出ており、美味しそうなものばかり。アッシュたちは全員が座れる円型のテーブルで朝食を味わっていた。


 アッシュの隣で座っているアティも美味しい朝食に目を輝かせながら食べている。



「美味しいかい?」

「うん、すっごく美味しい!」

「よかった。昨日はサンドイッチしか食べられなかったからね」



 そう言いながら娘の頬についている食べかすを取りながら、微笑む。


 昨日のアリスがどんな話をしていたかは知らないが、アティもすっかりと前を向くようになって、あれからは俯いたり怯える様子は少なくなった。


 美味しい朝食を食べていると、ユキがふとアティの方を見ながらアリスに声をかける。



「ところで、アッシュの子であるアティは今後どうするんですか?」

「アティちゃんのこと?」

「はい。それにアッシュも元々娘さん探しで旅に同行していたんですよね? 見つかったのでこの後お二人はどうされるのかと思いまして」



 そう。元々アッシュがアリスたちとこの2年間旅をしていたのは娘であるアティを探すためだった。その目的自体はすでに達成されている。その為、アッシュがアリスたちと一緒にいく理由もないわけだ。


 ユキの問いにアリスは”そうねぇ~”と銜えたフォークをハムハムと噛みながら、アッシュの方を見る。



「あんたは今後どうするの?」

「そうだね。アティを見つけることもできたから、本当は僕もアティも君たちとはここでお別れになっちゃうんだよね」

「…………そうね……」



 寂しそうにアリスはポツリと返事をする。そんなアリスにアティは心配そうにしているとアッシュは少女の頭を撫でながら、困ったような顔で笑う。



「ただ、昨日の夜アティと話したんだけどね。アリスたちがいいならまだ一緒にいさせてほしいんだ」

「えっ? 一緒にまだいてくれるの?」

「君たちがいいなら、だけどね。僕は元の国に帰る気はないから、何処かこの子が元気に笑って過ごせるような国があればいいなとは思ったんだけど、今のところそう思える国はあまりないからさ。それに……」

「それに?」



 アリスの問いにアティがバッとアリスに抱き着く。



「わ、私、アリスさんたちといたいんです!」

「あ、アティちゃん⁈」



 むぎゅっとアリスに抱き着いて顔を渦組める。


 昨日のお風呂の後にアティと少し話をしていた。今後のとこでアティと一緒に居るのは変わらないが、行く当てなんて、正直、僕らにはなかった。新しく住める街を見つけるのもいいが、それならとアティにもしアリスたちがいいなら一緒に行けるか聞こうかと話をしていた。神子との旅は危険も多いがそこは今まで以上に自分が頑張ればいい。

 それにアティはアリスにかなり懐いている。一緒にいてもっと笑えるようになるならその方がいいかなとも思っていた。


 アッシュも”あはは”と笑いながら続ける。



「と、いった感じで、僕もアティも君たちともう少し居たいんだ。君たちの旅の邪魔にはならないようにはするんだけど、どうかな?」



 アリス以外にもエドワードやリリィたちの方を見ながらそういうと、スープを飲んでいたエドワードがスープを置いてから先に口を開く。



「私は構わない。一緒に居てくれた方が心強いからな」

「私も。それに覚醒しきれてないから、私はそれもちゃんと習っておきたい」



 エドワードの隣にいたリリィは軽く手をあげてそう言う。ノアとユキの方を見ると、口の中に入っていたものを飲み込みノアはフォークの先をアッシュに向ける。



「俺もいいぜ。だってお前いないと俺も戦闘に参加しないといけねぇじゃん。索敵くらいはいいけどよ。戦闘はマジで無理」

「僕はノアがいいなら構いません」



 アリス以外は全員同意して最後にアリスの方を見る。アティの頭を撫でながらアリスもニカっと笑いながら頷く。



「うん! 私もいてほしい!」

「ありがとう。じゃあこれからもよろしくね」



 アッシュが手を出すと、アリスも”へへへ”と笑いながら互いに握手をした。今後同行することになってアリスも上機嫌な様子でいるとノアがアティの方を見ながら椅子を少し後ろに倒しながらゆらゆらとしてもう一つ気になることを口にする。



「そいや、ちびっこも戦えんの?」

「私ですか?」

「おう。もしもの時とかどうすんのかなって。アッシュいるし大丈夫とは思うけど」

「それならある程度は大丈夫です」

「え、マジ?」



 アティは小さな短剣を取り出す。



「奴隷の間、いろいろと戦闘訓練もしましたし、家にいたときもある程度魔法も母から教えてもらってます。恐らくそのあたりの魔物は問題なく仕留められるとは思います」



 にっこりと笑うアティにノアは”マジかよ、すげえな”と呟くと、隣にいたリリィは鼻でノアに向かって言う。



「お前は魔物にすら勝てないのに7歳に負けてやんの。だっさ」

「んだと⁈ 一応スライムは倒せんだかんな!!」

「ハッ スライムって、同レベルだからだろ」

「おい、マジ、スライムもくっそ強いやついるんだからな⁈ あいつらに何度、窒息死されそうになったし……」



 わなわなとノアは両手を振るわせているとリリィは、”スライムで苦戦するのはお前くらいだ”、とバカにするように話をしていると、ムスッとしてノアがキレそうにするとアティが、”大丈夫ですよ”、と言って何処からか出した紙にスライムの絵をかいて説明をしてくれる。



「ノアさん、スライムは核があるのでそこを仕留めたらいいです。もし顔にかかっても最悪、歯でも噛み砕けます!」

「え、あれ、歯でも砕けんの?」

「はい! 以前、ご主人様の命令ではりつけにされた時、頭の上にスライムを落とされたんですけど、手も足も押さえられてたんで、核を噛んだら倒せました!」



 そう元気よく言うアティにアッシュは横で、”へぇ……、あいつ、そんなこともしてたんだぁ”というと、笑ているけど、目元が笑ってない。ものすごく殺気も出ていたのでアティが慌てて話題を変える。



「そ、それよりなんですが! アリスさんは今度はどちらに向かうか決まってるんですか?」

「んっとね、確かリンが言っていた侍の国ってとこに行ってみようかと思うの。リンの弟さんにも会ってみたいし」

「リン、さん?」

「妖怪が住む里のお偉いさんよ。その人に手紙も頼まれてるから、せっかくだから目指してみようかなってね」

「妖怪……! お伽話にたまに出てきますよね⁈ どんな感じなんですか?」



 アティは目を輝かせてアリスにどんな妖怪がいたのかどんなところなのか興味津々で聞いていた。


 元々お伽話や魔法に関してかなり大好きなアティにとってはかなり新鮮で気になる話題だろう。


 その話をしている間に朝食も終えて、食器も片づけてもらい広々とテーブルが使えるようになったのでエドワードが地図を広げる。今いる街に印として楕円形の小さな石と置く。



「我々がいるのは今はここだ。そこからここを通って大きな川を渡り、街を目指す。距離的にはそこそこあるから次の街までは少し長旅にはなりそうだ。もちろん他に街があればそこにもよっていこうとは思う」

「かしこまりました。一応、エドワードに頼まれた食材や必要そうなものはそろえてますので後で確認お願いします」

「わかった。ありがとうな、ユキ」

「いえ」



 何が必要か、何がいるか、どういうルートで行くかと話をしていると、すごい勢いでルスが扉を開ける。



「おっまたせぇー!!」



 息切れをしながらアッシュとアティのところまで行くと、二人の腕を掴む。



「できたから早速着替えて!! すんごい良い会心のできなんだから!!」

「ふむ。じゃあ一度宿屋に戻ろう。その時に最後の出立の準備もしておきたいからな」

「エドの言う通りね。みんな一回宿に戻るわよ~」



 アリスの声掛けで一度、宿屋にもどると、アッシュとアティはルスが準備してくれていた服に着替える。

 その間に一階でアリスたちは出立の準備を終えて待っていた。着替え終わった二人が下りてくると、そこには黒を基調としたアッシュの服と、白を基調としたアティの服を着た二人に一同はおぉという。

 まずはと言わんばかりにルスはアッシュを前に出す。



「ふふふー! 今回二人の服、結構頑張ったのよ! まずはアッシュ! 彼は黒が基調としたものが多かったから一応それはあまり変えないようにしたわ。変な色はいると嫌がる人もいるからね」

「そうだね。黒の方が僕は落ち着くからありがたいよ」

「あら、ありがと。でね! 上のこのパーカー! ジップタイプのオーバーサイズにしてみたの! ゆったりとしてるし、隠密したいならその長い金髪隠せるようにお尻まで隠れるものにしたわ! 黒猫ちゃんも入れるようにフードもおっきくしてるの! ズボンもゆったりして耐久性抜群の生地を使ってるから動きやすいはずよ!」

「にゃーん」



 すでにフードの中にいるクロが鳴く。どうやらクロも気に入っているようだ。


 次にルスはアティの方を見てから前に連れ出す。



「そんでもって、アティちゃん! アティちゃんは逆に白を基準にして、さらにパーカーはアッシュと同じジップタイプにして長さはショートタイプにして可愛らしさを出すために、さらにズボンはなんとデッキパンツ! これも子供ならでわの可愛さも引き立つわぁ~……」

「えへへ、似合ってますかね?」

「似合ってるってもんじゃないわ!! 尊い!! 尊いのよ!!」

「え、えーと、ありがとうございます?」



 たぶん褒めてくれてるんだろうなと完全に興奮気味なルスにこれ以上どう反応したらいいか悩むアティだが、説明もして満足したのかアッシュとアティの腕を掴み、ルスは”うふふ”と惚けたように、にやける。



「ま、私は満足いく服を作れたからよかったわ。ありがとうね」

「っ! あはは、こちらこそありがとう。大事にするよ」

「はい! 私も大事にします! ありがとうございました!」



 二人の返事を聞いて腕を放して、ルスは軽く二人の背中を押す。



「あなたたちに女神様の祝福があらんこと。またね」



 そう言ったルスと別れて、アッシュたちは次の街へと一同は向かう。

再会、お話はこれで終わりです。次回、新章に入ります。


エブリスタに投稿していた内容に完全に追いついてしまいました。

向こうは向こうでまたこっちの内容を反映させようかとは思ってます。


そしてアティの話もだいぶ変わりました。

本当は主人の男を成敗した後、一緒に旅に行きたいと駄々こねるアティとクロノス騎士団にアティを預けてアッシュは旅を続ける予定でしたが、ますアティは奴隷生活していたのにそんな活発になるかと思い、アッシュもようやく会えた娘を速攻施設に預ける判断するのってやばくね?と思い、だいぶ内容を変えました。




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