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1 美人

 僕は美人が嫌いだ。

 そんなことを言ったらお前はなら美人とは関わるな、変なやつだと思われるかもしれない。

 たがまず、そんなムキにならずに話を聞いてほしい。

 始めに問いたいことがある。

 美人のどこがいいと言う問題だ。

 いやそもそもの話、美人の概念とはなんなのだ。

 ルックスがよく巨乳、そして性格も包容力があり優しい。

 それが一般的、一般男子高校生が求める理想だ。


 しかし、貧乳にだって美人はいる。

 ルックスと性格は……。

 まぁ、これ以上言ったら怒られるのでやめておこう。

 話を戻そう。

 どうして僕、柳田司は美人が嫌いなんだと言う話だ。

 はっきり言おう。

 緊張するんだよ。美人といると緊張してお腹が痛くなるんだよ。

 ぼっちな僕が美人以前に人と関わること自体、無理があるのにそれが美人となると尚更無理な話だ。

 だったら美人と関わらなければいいじゃないか。

 てか、ぼっちが美人と関わることなんて一生ないんだからと言われるかもしれない。

 僕も昨日まではそう思っていた。

 美人と関わる機会なんて当然訪れない人生。

 むしろそれは僕にとっては好都合だった。


 それなのに、それなのに……。


 美人なお姉さん、氷坂恵さんが僕のベッドで寝ているなんて思いもしなかった。

 「うーん、司くんの布団いい匂い」

 困惑する。どうして僕のベッドにこんな美人が寝ているんだ。

 それもさっき言ったようにルックスもよく巨乳、それに加え包容力もありそうだ。

 まさに男子高校生が思い描く理想の美人。


 「……あの、僕のベッドで寝てもらうのやめてもらいますか」

 「いいじゃん! 私を拾ってくれたのは司くんなんだからさ」

 氷坂さんは昨日、路上で倒れていた。

 きっと酔い潰れていたのだろう。

 しかし、あんなところで寝ていたら氷坂さんの身に何があるか分からない。

 ただでさえ美人なのに。

 それを僕が心配で家に連れ込んだ。

 この地球上で一番無害で安心なこの僕が。

 それがなんだ。人にいいことをした結果がこれなのか?

 起きたら早く帰ればいいものの、変に懐かれてしまったではないか。

 それは僕にとっては非常に問題だ。

 「……何か作りましょうか?」

 「司くん料理できるんだ! 司くんの作る料理なら何でもいいよ」

 きっとお腹が空いているに違いない。


 僕が極上の料理を振る舞って、それを食べてもらえばきっと満足してこの家から出ていくはずだ。

 「……出来ましたよ」

 「わー、すごーい! どれも美味しそーう!」

 氷坂さんはやけにオーバーリアクションして料理を口に運ぶ。

 「……どうですか?」

 「美味しーい! 司くんモテるでしょ?」

 「……モテませんよ」

 よし、この調子で行けば氷坂さんも満足して出ていくはずだ。

 氷坂さんは料理をあっという間に完食した。

 「あー、美味しかった! いっぱい食べたら何だか眠くなってきちゃった……」

 は? えっ、ちょ!

 また寝るのか? もうこりごりだ。

 「……あのもう帰ってもらっていいですか?」

 「…………………………」

 寝ちゃって聞いてないし……。

 作戦失敗だ。

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