幽霊と百合
社会人になってから三回目の春が来た。
昨夜の雷雨で桜は濡れ朝日を反射し輝いていた。
私は若月さくら。茶髪でポニーテール、中性的な顔をしてると自負している。
今日、私の運命を変える不思議な出会いをしました。
黒髪ロングの美しい顔立ちの女性がお寺の前に立っていた。
誰かと待ち合わせかな…でもなんでお寺の前に…?
当然の疑問が浮かんできたが時計が現実に引き戻す。
「やっば…遅刻ぎりぎりだ…」
滑り込みセーフで会社に入り退屈な業務を機械的にこなし上司に押し付けられた残業を終わらせ帰るときには日を跨いでいた。こんな生活を三年目になり慣れてきてしまった。
ブラック企業とはわかっていても辞められなかった。
朝と同じルートで帰路に就くとまだお寺の前に今朝の女性が立っていた。
流石にこんな時間に女性一人は危ないので(ブーメランなのは気にせず)声を掛けた。
「あのぉ…朝からずっとそこにいたんですか…?」
女性は声を掛けられるとは思っていなかったのか、少し驚いた顔をした。
「私が見えるの…?」
ん…?どういうことなのかよくわからない顔をしてしまった。
気持ちを見透かされたのか相手は私の内心に答えるように発言した。
「あ…私、幽霊なの…」
ん……?幽霊ってあの?ほーん、なるほどなるほど。
「お…面白いジョークだね…!」
あんまりこんな痛い子とは関わりあいたくないのだけど…
「これを見てもジョークだと思う?」
そういうと彼女は路上の小石を拾おうとした。
しかし、小石は彼女の手をすり抜けて一切動かなかった。
物理法則を無視したような動きに私は目を丸くした。夢かな…?
するとまたしても心を読むように
「夢じゃないわよ」
現実だったか~、なぜこんなことに…
「私は、柳ひかり。あなたのところで暮らすからよろしく」
突然のことで頭が働かないが社会人の癖で自己紹介には反射的に答えてしまう。
「え…えっと…私は若月さくらです。ていうか…え?一緒に暮らすの…?」
「私のことを見つけてくれたのはあなたが初めてなのよ、それにあなたと暮らすと楽しそうだからね」
彼女は、いや柳さんは小悪魔のような可愛らしい笑顔をみせてきた。
この日から幽霊との奇妙な同棲生活が始まった。
ピピピッ…ピピピピッ… 目覚ましと一緒に小鳥のさえずりも聞こえてくる。
「起きてくださーい。朝ですよー」
んむぅ…
「あと五分…」
ん…?誰の声だ…?こんな綺麗な声の目覚ましなんか知らないし…
「起きてー さくらちゃーん」
覚醒したと同時に思い出す。そういえば幽霊が同棲してるんだ…
「って…お母さんか!」
私の華麗なツッコミを気にも留めず柳さんはふわふわと笑っている。
「朝から元気なのは結構だけど、会社に遅刻しないようにね?」
わかってますよーと、気のこもらない返事をした。
「というか、なんでこんなに距離感が近いの?」
柳さんは私の半径三十センチのところをふわふわ漂っている。
「ん~ なんか初めて会ったという気がしないのよねぇ」
にこにこと笑みを絶やさずに答える。
「確かに、私もそうだけどね」
でも、なんで幽霊になったんだろ?
聞きたかったが、時計を見て思い出す。
「あっ…会社に行ってくるね。行ってきまーす!」
玄関から急いで飛び出す。これからの生活のことを考えると薔薇が咲いたように華やかな気持ちになっている。
一年前
柳ひかりは春のぽかぽかとした、桜の散り始めた頃
背後から心臓を刺され殺された。
春になると現れる殺人鬼がいた。
桜並木をあるく女性だけを殺していく殺人鬼だ。
警察はいまだに犯人を見つけられていない、凶器も見つかっていない。
犯人に対する手掛かりはなにもなかった。
現在
私は休日を使い柳さんと、デートをしていた…
「なんでデートしてるの…?」
「あら、偶には私の我儘を聞いてくれてもいいじゃない?」
確かにそうだが、なぜ千葉にある有名なテーマパークなのか…
「一人で来た寂しい人に見えちゃうじゃん…」
「まぁまぁ!なにか成仏の手掛かりになるものがあるかもしれないじゃない!」
「手伝うといったからには手伝いますけどね」
でも、こんなところに手掛かりなんかあるのかな?
まぁ、柳さんの綺麗な横顔を見れるから役得ってやつなのかな
「よーし!じゃあとことん遊ぶぞー!」
テンションの高い柳さんについていくようにテンションを上げる。
数か月後
私はいつの間にか惹かれていた。
柳さんが幽霊なのはわかっているが、色白の肌、綺麗な顔、美しい黒い髪、甘い声。
別にそっちの気はないのだが、好きになれない要素がない。
「柳さん…あのぉ…」
「どうしたの?」
いざ面と向かって言うと緊張するが言わなければと思った。
「柳さん…好きです…付き合ってください」
するといつも白い柳さんの頬が桜色に染まる。
「ふぅ…やっと告白してくれたわね」
それってどういう…
「私もね…あなたが好きなの…でも、幽霊だから…無理を言っちゃいけないと思って…でも…やっとあなたと心が通じ合った気がして嬉しい…!」
その言葉を聞いた瞬間私は柳さんの胸に飛び込んだ、幽霊だからすり抜けたけど。
数ヶ月後
私は彼女の成仏の方法を探しに図書館へ行った。
そこに、殺人鬼をまとめた本があった。
吸い込まれるようにその本を手に取りページをめくった。そこには柳さんの写真が載っていた。
数年前
柳は快楽殺人鬼だった。人を殺すことに快感を覚え、何人も殺してきた。一人殺せば犯罪者だが百人殺せば英雄とは言うものだが結局殺人鬼は殺人鬼なのだ。
しかし、彼女は別の殺人鬼に殺された。
若月さくらという殺人鬼に。
二人は似た者同士だったそれ故に惹かれあったのだ。
そして、現在
さくらは桜並木の道で自分の胸にナイフを突き立てた。
さくらと柳は互いを殺人鬼だと知り一緒に地獄に堕ちる決意をした。
これからも地獄で仲睦まじく暮らしていくだろう。
初投稿で至らぬ点しかありませんし、酷く未完成な文章だと思いますが、これから成長していけばいいなーと思います。




