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邂逅

名古屋大学のオープンキャンパスに来てみた。


私が目指せそうな大学では一番偏差値が高いところだ。


とはいえ、私の現在の偏差値は河合塾の記述でだいたいどの教科も53ぐらい……。


道のりは遠いなあ……。


高校2年生だからまだそれほど焦りがある訳ではないけれど、2年生の夏から受験は始まっているとも言うし……。


緊張感をもってそろそろ取り組まないといけない時期なのだろうな、とぼんやりと思う。


……うん、これからはもうちょっと勉強時間延ばして、受験生っぽい気持ちで頑張っていこう。


名古屋大学を目指そうっていうほど、強烈なモチベーションが湧いているわけではないけど、まあ悪い大学ではなさそうだし。


目標として置いておくのは大事かなと思う。


とはいえ、受験に臨んでいった先輩に話を聞くと、「目標にはおいていたが、まじめに選んでなさ過ぎてそこを目指すモチベーションがなく、結局だんだんと下のランクになってしまった」という話もよく聞く。


やっぱり目指す理由って大事だよねえ……。


私は極めて深いため息をついた。


……真面目な話。


そこを目指すモチベーションとか、見つけれるか?


本当に大学を真面目に目指すモチベーションがある人に話を聞いてみたい。


どうしたら見つけられるんだろうか……。


まあ、ひとまずこの辺で行けそうな大学で、みたいな選択肢が関の山になってしまうのではないだろうか?


しいて言えば偏差値?


あれ、大学目指す意味??


とりあえず考えることをやめて勉強しよう。


……という謎のループにハマって、私は毎回大学を目指す理由を見失ってしまっていた。


まあ、見失っているからといって、就職には関係ありそうだし、大学に行かないという選択肢は特にないので、この辺で行けそうなところを目指して頑張ろう、という感じだ。


とまあ、こうやって複雑なことを今考えていてもしょうがないなと思う。


私はひとまず大学の中を色々と散策しようと思っていたのを思い出した。


特に行きたい場所もないが、大きな図書館があったはずだ。


何か読みたいものがある訳ではないが、大きな建物にはとりあえず入ってみたい想いがある。


なので、図書館はどこだったかな? と思ってきょろきょろと周りを見回す。


結構構内は広いから、迷ってしまっている可能性も大いにある。


というか、正直現在地がどこなのかいまいちわかっていない。


とりあえず立て看板の地図を探そうかな?


そう思ってやはりきょろきょろとあたりを見回す。


周りを見ると多くの垢ぬけた大学生の人たちが歩き回っている。


今は授業と授業の間の休憩中なのか、みなさん思い思いのメンバーで雑談しながら校舎間を移動している。


ふむ、大学のキャンパスライフとはこういうものなのだな、となんとなく実感をしながら、あたりに目をやっていると、突然「大丈夫ですか?」と声をかけられた。


私はふっとそちらの方に目をやると。






そこにはミス名大がいた(予想)。






知らない人なんだけれども、圧倒的に素晴らしい美貌がまぶしすぎる。


首元に控えめなフリルが付いた白ブラウスに、水色のショートデニムパンツをはいており、衣類の上からでもわかるくっきりとしたボディーラインや、健康的な肉体美は私と大して年が変わらない大学生のそれとは到底思えないほどである。


いや、それは完全に私が貧乳なだけでした。


悔しみがすごい。


とりあえず明日からもけなげに毎日牛乳を飲もうと思います。


ただ、ミス名大がいるとしたらたぶんこの人だろう。


というかミスユニバースである可能性さえある。


宇宙レベルの美しさ。


しかもそれでいて、幼さもしっかりと残したかわいげのある顔なのである。


つまり何がいいたいかというと、この人はこの世のすべての男子のストライクゾーンに入りうるほど絶対的でパーフェクトなビジュアルだということである。


この世の不平等を感じざるを得ない……。


急に声をかけてもらったのが美人だったからといって、美人と凡人の乗り越えられない壁(と膨らむ余地のない絶壁)について今葛藤を抱えていてもしょうがないので、とりあえず場所がわからず困っていたことを伝えた。


「あ、そうなんですねー、図書館はあの大きい建物ですよー」


ちょうどここは図書館が見える位置にいたらしく、先輩と思しき方は図書館を指さしてくれる。


あー、あれがそうだったっけ。遠いけど案外見える場所にあったなー。


「オープンキャンパスにこられた学生さんですか?」


「あ、そうなんです。ちょっと迷っちゃいまして」


「そうなんですねー、どうですか、名大」


「さすが旧帝大って感じですよねー、敷地の大きさとか建物の感じとかが、国が設置したんだなって感じが出てます」


「なかなかエッジの効いた着眼点ですね」


美人の方には結構ツボだったようで、くくくっと笑いそうになったのか口元を押さえていた。


「現役学生との対談企画とかもあるじゃないですか、しっかりと話せましたか?」


「あー、まだ行ってないんですよねー、時間を見てこれから行こうかなと思っててー」


「そうなんですね、私もボランティアで対談企画に参加してて、話し手のうちの一人なんですよー」


「え、そうなんですか? いつぐらいに会場にいらっしゃるんですか?」


「あと2時間後ぐらいにくるようにに言われてるので行く予定です。ただ、逆に言うとそこまでは暇なので、もしよかったら先にどこかでお話とかできますよ?」


え、偶然とはいえこんな美人から話を聞けるとは、眼福の極みか……?


ちなみにこの先輩の声も透き通っていて非常に好き。


耳福の極みも合わさって素晴らしい時間が過ごせそうだ。


動機が不純すぎてまじ草。


「すみません、じゃあお言葉に甘えてお話を聞かせていただいてもよろしいですか?」


「もちろんです! では、名大の図書館はスタバが併設されてるのでそこで話しましょうか?」


「いいですね、お願いします!」

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