眷属(2)
前回の続きです!
ジン初戦闘?な回です!
〜〜竜王の間〜〜
「竜王様、最近だらけ過ぎではないですか?」
「ん〜、大丈夫大丈夫」
そんな会話が聞こえて来る場所は竜王の間である。
黒髪ロングでキリッとした目をしており、これぞ「ヤマトナデシコ」という感じの見た目をしている秘書にだらけ過ぎを注意される竜王と呼ばれる女性。
綺麗な銀の髪を腰の辺りまで伸ばしており、瞳の色は金と赤のオッドアイは、誰が見ても意見分かれることなく超絶美人と言うであろう19歳ほどの女性。これが最強種ドラゴンの最高位に位置する現竜王である。
竜王と言っても特に仕事などがある訳では無い。
仕事があるとすれば、全ドラゴンの象徴になることだ。全てのドラゴンがこんな竜王になりたいと思い、力を追い求めるような象徴であることが唯一仕事と言えることであろう。
簡単に今の状況を説明すると、竜王が仕事をしていないので秘書が注意している。そんな感じである。
「今後私に勝てるドラゴンは出てこないよ」
「全くその通りなんですが、油断は禁物ですよ、一部の超竜たちが不穏な動きをしていると部下からの報告もありましたし」
「それで〜?」
「竜王様はお強いですが、一対多数で来られるとさすがに厳しいかと……」
竜王のことが心配な秘書の女性は竜王にもう少しちゃんとするよう、遠回しに促す。
一部の超竜たちが不穏な動きをしているのは竜王が原因なのである。
仕事をしないからという、なんとも悲しい理由で竜王は命を狙われているのだ。要は竜王が仕事をすれば超竜たちは大人しくなるのだが「いや〜大丈夫大丈夫」と能天気な返事を返す竜王。
そこに音もなく転移してくるジン。
「うおっ、マジで転移できた! あ、竜王ってお前か?」
転移出来るか五分五分だったので、出来て少し嬉しくなるジンだが、すぐに気配で竜王がいることが分かると、一応の確認のために呼びかける。
「ん、私か? 私は竜王だぞ?」
バカ正直に自分が竜王だとバラす竜王。相手が命を狙う者だったらどうするつもりだったのか。
だが、逆に考えれば、そうなっても問題にならないほどの強さを持っているということだ。
余裕の表情の竜王に対して少し嬉しくなるジン。
なぜか、理由はゲームの頃より何倍も目の前にいる竜王が強いからだ。
ジンは相手のステータスなどを見るスキルを持っているのだが、ゲームの頃の約7倍くらいは強い。
まぁ、それでもジンにとっては強いなのだ。本気を出さなくても普通に勝てるレベルである。
「あのさ、魔神倒すんだけど、一緒に来ねぇ?」
「いいよ?」
なんと、あっさりいい返事が貰えた。だが、言葉には続きがあった。
「でも、私より弱い人の下につくつもりは全然ないから、眷属にしたいなら力ずくでやってみることね」
そんなこと言う竜王に「あ〜、やっぱりこのパターンか〜」と内心ため息をつく。だが、強い奴と戦えて少し嬉しく思うジンであった。
ゴォガァァァァァ!!!
そん時、どこからか耳の痛くなるような咆哮が聞こえた。
その咆哮の正体は、超竜と思われるドラゴンが100体ほどドラゴンの姿で周りを取り囲んでこちらを威嚇してる姿であった。
この超竜たちが竜王に一気に攻撃を仕掛けても竜王の方が強いことは分かっているのだが、ジンはこの高揚した気持ちを踏みにじられた気がして非常に不満が溜まっていた。
普通なら、失神してもおかしくないのだが、ジンは恐怖など微塵も感じていなかった。
なぜか?いや、逆になぜ俺が恐怖を感じなければいけないのか。
竜王に勝てる俺が竜王より数しか勝っておらず、戦いに置いて必要な力で劣っている奴らになぜ怯えなければならない。
ジンはそんなことを考えていた。
すると、超竜のリーダーらしきドラゴンが少し前に出て、立てこもっている犯人に呼びかける警察さんのように声を上げる。
「竜王! お前の時代はもう終わりだ! 大人しく引退しやがれ!」
「ん〜、やだ〜」
殺気立っているリーダー超竜にいつものようにけだるげに返事を返す竜王。そんな態度を取る竜王に対して頭から湯気か出るのではないだろうかと思うほど怒り心頭のリーダー超竜。
「いや、竜王は俺の眷属だから。お前らは帰れよ」
そこに口を挟むジン。
リーダー超竜はジンのことを横目で見ると、怒り心頭の顔から呆れた顔をしてこちらを見た。
「人間如きが調子に乗るなよ。今すぐ去れ、ならば何もしないでやる」
カチン……
ジンの額に少し青筋が浮かぶ。そして、片眉をピクピクさせながら、リーダー超竜に言い返す。
「い、いやぁ。そこまで言われたのは初めてだわぁ。ちょっとイラッと来ちまったじゃねぇか」
「人間如きがいくら強がった所で超竜には勝てんよ、殺されたくなければ去れ」
「あのさ、その人間如きってのやめようぜ? もっとイラッと来るじゃねぇかよ。あと、帰るのはお前だトカゲ野郎」
カチン……
ジンと同じく額に少し青筋を浮かべるリーダー超竜。いや、全超竜。トカゲ野郎という言葉はドラゴンにとって最大の侮辱の言葉なのだ。
「先程の言葉訂正して貰おうか。人間如きに力は使いたくない」
「やだね、爬虫類の癖にいきがってんじゃねぇよ!」
プチンッ……
そんな音が聞こえた気がした。
そして、リーダー超竜含め100体以上の超竜がジンに遅いかかる。ジンはため息をつくと言葉を一言発した。
「ア゛ァ?」
スピーカーを使ったかのような重低音が響き渡る。
威圧という単純な魔法なのだが、いや、魔法というよりは技術に近いが、ジンの威圧は他の威圧とは桁が違いすぎる。
威圧を受けた超竜たちは重量に逆らうことなく、真っ直ぐ地面に向かって落ちて行く。そして、地面と豪快にキスをすると完全に動かなくなった。
ジンは短気なんです……
作者がそんな感じなんです……
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今日は後1本出します!