表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

手紙(?)を読んでみたケース

話が進まず、女神様が痺れを切らしたもよう。

果たして話は進むんだろうか?

 カウント0になると私の手に二通の手紙が現れた。


「おぉ、神託のアーティファクト」


「しんたくのあーてぃふぁくと?」


「ええ、この世界を創造された女神様が私たちにご神託を下さるときに手紙という形で一時的なスキルとしていただけるものです」


「へぇ…これがねぇ…」


 ヒラヒラの説明でアホ女神からの神託らしいのは理解したが…なんだろうかね。

 ショッキングピンクな封筒に周囲をゴテゴテとデコシールのようなものでデコレートされていて、20年ばかし前の女子高生的なセンスを感じる…。有り難みと言うものが皆無だ。読まずに捨てたい…。


「参考までに聞こう、ヒラヒラ。神託のアーティファクトとやらは毎回こんな派手派手な封筒でよこされるの?」


「昨今はそのようだと聞いています。数百年前は黒い封筒で内容も難解な文章だったと…今のご神託もとても難解な文章なのですが…」


「難解な文章? うーん、ひょっとして『深き闇に閉ざされし』とかそんな感じ?」


「はい、その様な文章でしたと聞いています」


 …なるほど、数百年前は中二病全開な女神だったと…ん? 今も難解な文章?

 私は二通あるうちの一通、宛名からして私宛らしい封筒を開いてみた。

 中には返信用らしきこれまた派手な封筒と何も書かれていない便箋…たぶん返信用なのだろう、そして何やらつらつら書かれている便箋が入っていた。私はつらつら書かれている便箋を開いてみたのだが…。

 

__________________________

ゃっレま─。

ゐωナょ@了ィ㌦

女ネ申様τ″─す。

 訳:やっほー

   みんなのアイドル

   女神様でーす。

   …

__________________________


 私は便箋をたたむと封筒もろとも床に叩きつけた。

 Ein() Idiot(ホか)! 難解な文書どろこか文字ですらねーよ! すんげーギャル文字だよ! 普通、読めねーよ! 冒頭3行で読むの諦めるよこれ。 こんなもん神託でよこすなよ。一般大衆に読める文字で書けよ! まだ中二病文章のほうがましだよ!! Unmöglich(ナイわー)!!


「せ、精霊様?」


 突如あらぶった私に驚いたのかヒラヒラが声をかけてきた。その声に我に返った私は、大きく深呼吸すると叩きつけた手紙を拾い上げ、ヒラヒラに手渡した。


「…ちょっと…というか、かなりイラっとして手紙をぶん投げてしまった」


「精霊様でも読めなかったのですね。もう一枚は私宛のようですが……今回もなんと書いてあるのか私にもわかりません。」


 ヒラヒラはもう一通の手紙を開き目を通してから深くため息をついた。どうやらこちらの世界版のギャル文字で内容が書かれているようだ…。って、待て、今回もだと?


「…今回もということは最近、同じような手紙があった?」


「えぇ。お姉様が勇者召喚を行う数日前、お父様のもとに神託のアーティファクトが届いたのです。内容はわからなかったのですが、おそらく何かしらの警告だったのでしょう。お姉様の儀式は失敗して昏睡状態となり未だに目覚めてはおりません」


「そんな状況で、よくまぁヒラヒラが召喚の儀式にする気になったな…」


 解読できない手紙、その中で失敗して昏睡状態になった前勇者召喚術士、そんなリスクの中よくまぁヒラヒラは勇者召喚をする気になったものだ。


「…お父様に命令され、拒み切れずに…」


「難儀だな。しかし、今後も手紙が来るんだろうが、読めない手紙を寄越されてもイライラが募るだけだ。よし、対処しよう」


「対処…ですか?」


「返信用封筒が同封されていたから返信を期待してたのだろう…ということで…ペン借りるね」


 私はヒラヒラの返事を待たずに机の上にあった羽ペンで何も書かれてない便箋にさらりと返事を書くことにした。数百年前に中二病文書で書かれてたんだから今でも通じるだろう…。

 中二病表現でツラツラかいたが意訳的には…

___________________________________________________________________

 日本語or現地語でOK

 前に送った分も含めてまともに書いてよこせや、あほ女神

 シバキ倒すぞゴルァ!

___________________________________________________________________


 と、まぁこんな感じである。ついでに「祟るぞゴルァ!」と言う感じで手紙に念を込めて、私は便箋を返信用封筒に入れて封をした。生まれはドイツだが育ちは日本、祟り神化威圧は八百万の神の十八番である。力が弱い付喪神だけどね。

封筒は淡く光ると姿を消した。どうやら、女神のもとに送られたらしい。

 数十分ぐらい待っていると私の意識下に再びワンタイムスキル実行のカウントダウンが流れ込んできた。

 心なしかカウントダウンのスピードがやや速い。

話が進まない原因は女神にもある模様…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ