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結局わからないので聞きに来たケース。

前回のあらすじ

召喚されたは二眼レフカメラの付喪神

ちょび髭王様ご立腹。お姫様を叱責中。

付喪神は気が付かれないように逃走成功。

草木も眠るGeisterstundeうしみつどき

八百万の妖怪たちが活発に動き始める宵の時間…。

って、カメラ本体ドイツ製のくせに何日本かぶれてるかだって?

こちとら日本でアンティークライフを送っていたんだ。日本かぶれになるのは当たり前じゃないか。

そんなの常識だ、私が今決めた。

だいたい、付喪神なんて日本じゃないとまず覚醒しないよ。海外で現れたらそれはポルターガイストというやつだ。

しかし、作られて50年程度の骨董品がなんで付喪神化したのやら??

自分でもGeheimnis(ミステリー)

そんなこと、考えながら短い足でとっとこ歩いていると、中庭の庭園らしき場所に出てみたよ。

この庭園、噴水が月明かりに照らされてきれいだねぇ。絶好の撮影スポットというやつだ。ここで一枚と思ったが、フィルムが入ってないし、手が短くて自分のシャッターに届かないから写せない。…当然足もだ。

自分で言っててむなしくなってきた…。いっそのことあのピンクのヒラヒラに操作してもらって写真撮るか? あ、でもフィルムどうしよう。


景色を撮る撮らないはさて億として、もう一度自分のことを確認しよう。

100年経ってようが経ってなかろうが、フレックス2.8Dを憑代に私が付喪神になったっつーのは紛れもない事実だ。付喪神化したこととこの世界に召喚されたことになんか関係あるのかねぇ…。

って、腕組みしたいとこだがカメラから生えた手が短すぎて届かん…。だいたい、直接カメラから手足が伸びてるって絵面もどうよ。二眼レフは首から下げてウエストレベルファインダーが絵になるのよ…。やっぱり、ピンクのヒラヒラに持ってもらうかねぇ…。


…とりあえず、自分のステータスとやらを確認できるようにならんと話にならんか。

この世界はスキル管理システムとでもいうのかね? そういった世界のルールがあるっぽいから…

主がよんどったBL異世界転移物のライトノベルじゃ、ステータスオープンとか言葉で言って確認してたけど、この世界ではその方法ではないらしい…。

『ステータスオープン』とか言ってシャキーンとポーズをとってみたけど何もなかった。ちょっと恥ずかったが誰も見てないのでなかったことにしよう。

うん、こりゃ、自分で調べるよりは聞きに行ったほうがはやいかもねー。

主がやっとった、RPGも「まずは情報収集だー」とかやってたからなぁ…。

とりあえず、ピンクのヒラヒラに会いに行ってみるか…。とりあえず、しらみつぶしに部屋を訪ねてみるか…。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


私は枕を涙で濡らしていました。

お父様から叱責され、役立たずを罵られた…。


 この世界には複数の魔王がいます。圧倒的な力を持つ魔王にはこの世界の人間では太刀打ちできません。

 異世界から召喚された勇者と呼ばれる人たちにはその圧倒的力に対抗できる能力を与えられて召喚されるといわれています。

 このウェルマット王国では勇者召喚は第一王女がその儀を担って召喚を行っていました。。

 でも、数か月前の勇者召喚の儀の際に姉様が召喚術に失敗。原因不明の昏睡状態に陥り召喚の儀が行えなくなってしまった。

 各国で勇者召喚がされていますが、召喚ができない国は国としての発言力が著しく低下して厳しい立場になるそうです。事実、数年前勇者召喚が行えなくなってしまった隣国はあらゆる国から不利な要求を突き付けられていると聞きます…。

 姉である第一王女ヒルダ姫の意識が戻らずこのままではウェルマット王国の発言力の低下が現実的になってしまうというお父様の危機感から次なる召喚術者として白羽の矢を立てたのは私、第二王女のアイリス。

 幸い、私は勇者召喚のスキルを持っていました。鑑定術士の鑑定結果からも特に問題はなかったとのことです。

 だが、実際にやってみると失敗が続く。本来、召喚に失敗するとそのフィードバックで術士に多大なダメージを受けます。

 しかし、私の場合は失敗してもダメージは受けませんでした。術は失敗というより発動前に打ち消されエネルギーが無効化される感じがしました。まるで、神様から拒否されているような…。

 魔力が溜まるたびに召喚術を続け、ようやっと勇者様の気配を感じ召喚した結果、目の前に現れたのは二つの丸いガラスがついた黒い箱。

 お父様は大変お怒りになり、私を叱責。次に失敗したときは私を王族の籍から除外するといい始めました。

 そして黒い箱はいつの間にか召喚陣から消えていた、あれは幻だったのでしょうか。

 

「ああ、神様、私はどうすればよろしいのでしょうか…」


-困ったときの神頼み。Nicht(わる) schlecht(くはない). でもねー、応じた神が付喪神には大したことできないよなー。さて、困った…。


「え!?」


 頭のなかに殿方ともご婦人ともつかない声が響き、私は起き上がってあたりを見回しました。この声はあの黒い箱が消える直前に聞こえた声のように思えます。


-あー、こっちこっち。窓をみてちょうだいな、そこなピンクのヒラヒラよ。しかし、昼間よりヒラヒラ度が増してるなー。


 "ピンクのヒラヒラ" これは私のことでしょうか? 声に導かれ、私は視線を窓に向けるとそこには広間から煙のように姿をけした黒い箱が置かれていました。


-やっほー。わかんないから聞きに来ちゃった。この世界で自分のスキルとやらの確認する方法教えてくんない?


 私の視線に気が付いた黒い箱は小さな手足を伸ばして私に手を振りました。これは魔物か何かなのでしょうか?


「あ…。」


 私は急に気が遠くなるのを感じました。

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