お祝いの会
啓司と別れたのを喜んでいたくれたのは家族だけじゃなかった
地元の友達も私が無職の男と別れたのを喜んで、私が千葉に帰る前日にお祝いの会を開いてくれた
高校のときの仲良し四人組
二年、三年のとき同じクラスで一緒にお弁当を食べていたメンバー
私を除いた三人は皆地元にいる
リーダー格の紫は地元の小さい広告代理店に勤めてる
私と紫がこのグループでは独身だ
黃菜は五年前に同級生だった須田君と結婚して三歳と一歳の子供のお母さんをしている
今日は実家に子供預けての参加
後、一番おっとりしている望は去年小学校の先生と結婚して専業主婦をしている
学校の先生なんか給料特別良くないだろうに…と思ったら相手の親が資産家だった
親の持ってるマンションに住んで、車とか、電化製品とか金額の大きいものは親に買ってもらってるらしい
みんなで「いいな〜」といったら
「いや、あっちの親のパートに出るより妊活しろオーラすごいよ?」
「旦那のお兄さん結婚してないし、私も三十だし」
「暇で暇で…しょうがないからいろいろ習い事とかしてる」
再度「いいな〜」と声がでる
「でも過剰なプレッシャーはやだね」と紫は付け加えた
昼だし、私以外みんな車で来てるから乾杯は創作和食の小さな個室に最初に運ばれてきたウーロン茶で
音頭は紫がとる
「では、再会と美希がダメンズと別れたことを祝して、カンパ〜イ」
…なんだかなぁ
「美希、ほんとにうちら心配してたんだよ〜啓司くんと付き合い始めてから人が変わっちゃたみたいになってたから」
「同棲までしちゃって」と望が言う
「人は変わってないと思うよ、経済的にキツかったから人付き合いができなかっただけで」と一応反論
「でもよく結婚相談所入ったね?驚いたよ」との黄菜の言葉に「ね、自分が一番驚いているよ」と答える
「今だから言うけどさ…私美希が妬ましかったな」
「美人でそこそこ男子からもチヤホヤされて」
「あんたが二年の時三ヶ月だけ付き合った広川くん…好きだったんだよね、私」
と言った紫の言葉に驚く
「えー!?」
知ってたら付き合わなったよ私、好きでもなかったしっ
そんな話から高校生のときの思い出話に話題は移行したんだけど、その後また私の結婚相談所での婚活話に戻ってきた
私はこの気心の知れたメンバーに布津さんのことを話した
出会ってから断られるまでの経緯を
そして布津さんがどんなにふつーの人であったかを
「別にさ、断られたことにはなんも思わないけど、アドバイザーさん通してだなんて…」
思わず不満が口に出た私に紫が言った
「何言ってんの、その為にお金払ってんじゃん向こうだって」
「交際断るなんて気の重いことをビジネスライクに代行してもらうために」
「恋愛したくて結婚相談所に入るわけじゃないよ?」
「結婚したくて入ってるんだから」
「可能性の薄い相手とダラダラ付き合うよりは早く次の人を紹介してもらいたかったんじゃない?」
「…あんたのやる気のなさが向こうに伝わっちゃったんだね」
うっ、正論…
言葉に詰まった私に望が
「美希、惜しいことしたね〜普通ってすごく貴いことなのに」
と言った
この望の一言が夜実家の自分の部屋でベッドに入った私を苦しめた