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翌週の日曜日もう一度布津さんと会うことになった


別に会いたくもないし面倒くさいから断ろうかなとも思ったんだけど、それは腹痛起こして帰ったあの人を傷つけることになるかな?と思ってもう一度だけマリッジゲートに行くことにした


私は前回と同じ服装で行った

布津さんはこの日はベージュのチノパンに、薄手の白の長袖シャツで来た




「先日は申し訳ありませんでした」


「良かった、また会ってもらえて…多分もう断られてしまうんじゃないかと思っていました」



「いえ…先日のことはお気になさらずに」


「もうお体の調子は大丈夫ですか?」



「はい…」


「なんか、恥ずかしとこ見せちゃって」


「もともと少しお腹弱いんです」


「今日は予防に薬飲んできました」


布津さん、この前のことが恥ずかしそうだけど割とハキハキ喋る


素朴な疑問が口をついて出た


「布津さん、まだお若いのになぜここに入会したんですか」


特別モテそうではないけど、普通に彼女とかいそうに見える


「結婚したくて」


「幼稚園の時両親が離婚してからずっと父子家庭だったんです」


「一昨年父も病気で急に亡くなって」


「それで無性に寂しくなって、早く家庭を持ちたいなと」


「でもモテないんです、自分」


「ちょっと前に職場の先輩の奥さんに知り合いを紹介してもらって、何回か一緒に出かけたりしたんですけど…」


「亀を飼っているのがバレてふられてしまって…」



「亀!」


すっとんきょうな声が出てしまった

まずい、失礼だよね


「やっぱり…だめですか」


「亀飼っている男」


そう言って布津さんは気まずい顔をした


そうじゃない、亀女って呼ばれてたので亀に反応してしまったのです…とは言わないほうがいいなと思った


「そんなことないです」


「亀、縁起がいいし」



「ほんと…ですか?」


「良かった、ウソ亀飼ってるの?ありえなーいって言われ、それ以来誘っても断られてしまうようになったのがトラウマになっていて」


…いくつくらいの娘と付き合ってたんだ?この人

でもちゃんと女の子を誘えるんだ


「職場には男しかいないし仕事関係で会う相手も建築関係の男ばかり…自分なんかこのままでは一生結婚できないと思って、もう発作的に入会してしまいました」


「あの…菊川さんはなんでここに?」



「…親に勧められて」


「親がここの説明会の予約取ってくれて」


うそはついていない…

あ、でもなんか乳離れしてないような印象を与えてしまうだろうか

三十にもなって


「いいですね、心配してくれている親がいて」


そう言った布津さんはほんとうに羨ましそうな顔をしていた


啓司が猫だとするとこの人は犬だなと思った

感情がストレートに顔に出る

亀飼ってる犬




「あの…今度は外で会ってもらえますか」との布津さんの申し出に一瞬迷ったけどその場の雰囲気で「はい」と答えてしまった


応接室を出たら気配を感じた荻野さんがやってきた


布津さん荻野さんに


「お付き合いすることになりました」


と報告した


ドキッとした


お付き合い…

お付き合いすることになった?

なにかその言葉にひどく違和感を感じた


外で会うってそういうことなの?


荻野さんは


「それではお付き合いされている間はお二人へのご紹介はストップさせて頂きます」


「もしご成婚に至らずお付き合いを終了されることがありましたらそこから再度お相手の紹介を始めますので、ご連絡下さい」


とビジネスライクに言った


ご成婚に至らずって…

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