其の陸拾参:亡者を統べるは白銀の姫・参
2週間もすっ飛ばしてしまった…
まじですいませぇん!!
司会は相変わらず俺、 聖なる写真が勤めるよん
「スチルさん! 大丈夫ですか!? 」
「し…死ぬかと思いました……」
「おかあさ〜ん」
「泣かない泣かない」
しばらくしたあと―――凰輝たちは一時戦闘を中断して、 チビたち救出に向かった
そして、 チビたちを救出したあとの光景がさっきのコレだ
雷華はスチルを色々慰めているし、 ユキナは自分の娘の頭をヨシヨシと撫でている
凰輝は完全に無視
空を見て、 どこからか出したか緑茶を飲んでいる
「あ〜茶うめぇなぁ」
「凰輝! スチルちゃんたち大変だったんだから!! 」
「知るか、 小さいやつが悪いんだろ」
「………」
人として最低のセリフを呟く凰輝
お前絶対友達いないだろ
「黙ってろ、 ヘタレ作者が
お前も友達いねぇくせに」
お前よりはいるわい
泣き止んだフユカにアメを与えつつ、 ユキナは凰輝に振り返る
「さてと…戦闘再開といきますか!! 」
「はっ! 返り討ちにしてやんよ!! 」
2人の氣が恐ろしいまでにぶつかりあう
再び凄まじい突風が巻き起こる
「白銀流…“骨堅呀”! “骨防纏”! 」
「四神流…奥義! “麒麟闘氣・纏”!! 」
骨がユキナを包み込み、 凰輝が烈風を纏う
そして凰輝がダッシュでユキナとの差を詰める!
「“麒麟正拳・連”!! 」
「“突呀一閃”! 」
ガガガガッキキキィン!!!
一撃一撃が確実に急所を狙う凰輝
そんな凰輝の動きを見切ったがごとく、 たった一閃ですべて防ぎきるユキナ
互いにノーダメージ
「やるね! 」
「はっ! “奥の手”出すのなら早めに出しとけよ!? 」
「そうしよっかな! 」
2人の会話を聞いて驚く外野組
「お、 奥の手!? 」
「あいつらホントに人間か……? 」
「兄貴ぃ♪」
静かに睨み合う2人
互いの氣が遠慮なくほとばしり、 弾け合う
で、
「うわあぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!?!? 」
「ひゃぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!! 」
「スチルさん!? 」
『助けてぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇえぇぇぇえ!!! 』
お約束
再び吹き飛ぶ2人
しばし休憩
「か…勘弁してください…」
「おかあさ〜ん……」
「ヨシヨシ」
「お前ら帰れよ
正直邪魔だ」
凰輝、 お前マジでいつかだれかに殺されるぞ
「やられる前に殺ってやるよ」
ハイハイ
もういいよ
振り返り、 凰輝を睨み付けるユキナ
大地がボコボコと奇妙な音を立てだす
「そろそろ時間がないし…作者も限界らしいし…」
サーセン、 実力不足で
「そろそろ決着といくよ!
白銀流! 奥義! “亡者乃挽歌”!! 」
ボコボコボコッ
奇妙な音を立てて、 地中から現れたのは―――
『っ!! ぎゃぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!! ガ、 ガイコツ〜〜〜〜!! 』
そう、 肉が一片も残ってない完全な骨
それが地中から現れたのだ
1体だけではない
5体……10体……40体……
下手すると100体をこえる数だ
口を開けているが、 喉がないため声が出ていない
一見すれば凄くユニーク……な、 わけないか
「はっ! 新技か」
「まあね♪」
ユキナは凰輝の問いに気軽に答えたあと、 指揮官のように指をさし、 声高々に叫ぶ
「ゆけ!! 亡者たちよ!!! 」
ユキナのその声が合図になったかのように、 ガイコツたちは歩を速めて、 凰輝に襲いかかる
「“衝覇正拳・乱”!! 」
ガガガガガガガガ!!!
凄まじい音を立てて、 ガイコツが55体ほど砕け散る
だが、 ガイコツは凰輝の攻撃をムダだと嘲笑うかのようにまだまだ地中から生えてくる
「消耗が激しそうだが……大丈夫か? 」
「他人のことより自分の心配をしたら!? 」
仕返しとばかりに言い返しているがユキナの疲労はだれが見ても分かるほど彼女は疲労していた
額からは汗を流し、 肩で息をして、 顔にはいままで受けたダメージを物語るがごとく苦痛が浮かんでいる
“氣”の枯渇は“死”につながる
簡単に言えば“氣”は“生命エネルギー”の一部ともいえる
“氣”を大量に使用すると身体がショックをおこし、 生命力が著しく減少する
単純に言えば“氣”は“血”に似ているのだ
そんな“氣”を大量に消費したのだ
古代武術家としてコントロールや消耗に慣れていても、 疲労は隠せない
そこを凰輝に見抜かれたのだ
このまま長期戦にもつれ込めば凰輝が圧倒的に有利になるに違いない
だが、 だがしかし
ユキナの顔からは戦意が消えていない
「………一気に決着をつけにいくよ!! 」
「!? な……!! 」
凰輝が砕いたガイコツのカケラ
それが再び集まり、 ガイコツに戻ったのだ!
地中から次々に現れるガイコツと合わせたら500をこえる
さすがに不死の軍団が相手では凰輝も不利と感じたのだろう
舌打ちをしながら氣を激しくほとばしらせる
「ムダだよ! 亡者の群れに……だれも敵いはしない!! 」
「四神流…“青龍闘氣・纏”!! 」
「諦めなよ! 」
ガイコツの群れが凰輝に襲いかかる
凰輝は抵抗せず、 ガイコツの群れに呑まれていく
「凰輝さん!? 」
返事はない
「凰輝……!! 」
返事はない
「兄…貴……? 」
返事はない
「嘘…です…よね…」
返事は、 ない
「凰輝s「うるさいわ」!?!? 」
叫ぼうとした雷華
その声は凰輝の声によってかき消される
ビックリする面々
凰輝は慌てるようすはないような気軽な声を出す
「切り裂いてもダメ、 燃やしてもダメ
こういうときはな…」
どうやらガイコツの群れの中で、 色々実験をしていたらしい
正直、 心配かけるなっつーの
「すべて凍らせりゃあいい」
パキィイィィン…!!
音を立てて周りが氷の世界へと変貌する
500体近かったガイコツもすべてが氷に閉じ込められる
凰輝がボソリと白い息を吐きながら呟く
「四神流奥義“青龍闘氣・爆”」
「………!! 」
「まだやるか? 」
嘲りをこめた口調で凰輝が尋ねる
ユキナは肩をすくめると、 諦めたように呟いた
「降参」
『………え? 』
「もう奥の手も敗れちゃったし
今年は勝てそうにないかなって思ったのよ
文句ある? 」
「イエ、 アリマセン」
「ならよろしい。 フユカ、 帰ろっか」
「うん!! 」
フユカの手を繋いで帰るユキナ
やがて、 その姿が見えなくなると雷華たちは白い息を吐いて叫んだ
『さっむぅっ!! 』
「すまん。 久々だったから張り切りすぎた」
おいおいおい………
なお、 翌日
地元の新聞の1面を飾ったのは突然氷に覆われた原っぱで、 氷の中に白骨死体が混ざっていたために
1週間は地元の新聞を賑やかせた………
原因丸分かりだよな……