其の伍拾玖:忍び寄るは影からの刺客
「……凰輝はいる? 」
「……今出かけてます」
ハァイ♪
今回はレナートが司会を務めさせてもらうよん♪
やって来たのはレニーっていう人
雷華ちゃんは不機嫌そう
なんでかな♪
「凰輝になんか用か? 」
「…勝負……挑みに来た…」
「あぁ、 そうd……え…? 」
勝負と聞いて眉をしかめるスチル
そういえば彼女も古代武術家だったよね
「…前回…技見せてもらったから…勝てる…と思う…」
「…前回…? …あ! あの時の!? 」
心当たりあるんだね♪
よく知らないけどさ
「じゃっ、 私が相手してあげましょうか!? 」
嬉々として語るは雷華ちゃん
「………いいの? 」
「この前の怨み晴らしてあげます! 」
怨み? なんのこっちゃ♪
とりあえず、 まだ激闘のあとが残る庭に出て、 2人は向かい合い
雷華ちゃんが稲妻をまといだす
レニーもモデルガンを抜いて、 氣を高める
「行きます…!! 」
「…どうぞ……!! 」
バチバチと神氣と氣がぶつかり合う音がしだす
そして、
「“雷電直下”!! 」
雷が轟音を立てながらレニー目掛けて垂直に降り注ぐ
レニーは身軽な動きで雷をすべて避けるとモデルガンを雷華ちゃんに向ける
「……音無流…“必弾の技”…! 」
「2度は受けません!! 」
一直線に放たれる氣弾を見切る雷華ちゃん
氣弾はかすることなく雷華ちゃんを過ぎる――はずだった
ガゥン!
「痛ぁ!! 」
「曲がった!? 」
氣弾が勢いよくカーブし、 雷華ちゃんのお腹に命中したのだ
そういえば前に兄貴が言ってたなぁ♪
「氣に様々な“役割”を持たせることでその真価を発揮する
それこそが古代武術の真髄なりって兄貴が言ってた気が……」
「それは早く言ってください!! 」
雷華ちゃんの怒鳴り声を聞き流し、 レニーはさらにモデルガンを構える
氣弾を2、 3発放つが雷華ちゃんは空を飛びつつ回避する
雷華ちゃんも反撃に出るが、 レニーはそのすべての雷を回避する
「くそっ…! “雷帝の舞踊”! “王者の稲妻”!! 」
「…甘い…! 」
半ばヤケになりつつ、 雷を連続で放つがレニーはすべて回避
モデルガンを静かに、 正確に構えると雷華に向ける
そして、
「…音無流…“音速の技”…! 」
チュウン!!
「いだぁ!!! 」
音速の早さで放たれた氣弾は雷華ちゃんの右肩を貫く
うわぁ……
ふと右を見る
ある人物がいた
「兄貴ぃ♪」
「ただいま」
「凰輝さん」
「凰輝お帰り」
そう、 兄貴♪
兄貴は2人の戦いを止めようとはしない
つまらなさそうに見ているだけ
やがて、 兄貴に気づいた2人が戦いを中断する
「凰輝さん!? いつの間に…」
「…いつ…帰ってきたの…? 」
「お前が“勝負挑みに来た”ってとこから」
「最初っからじゃないですか!! 助けてくださいよ!!! 」
「めんどい」
「ひどい! 」
ごちゃごちゃとした会話の中で、 レニーは兄貴に対して向き直る
「…凰輝……勝負…!! 」
「ん? あぁ、 いいぞ」
『軽っ!! 』
突っ込む神2人
なんか神様って突っ込み役だねぇ♪
「庭に……」
「あぁ、 雷華どけ」
ドカッ
蹴り1発
それは雷華ちゃんのお尻にヒットする
「いだぁ! 」
ゴロゴロと転がりながらテーブルの脚にぶつかる雷華ちゃん
その間に兄貴とレニーは庭で向かい合う
動きだすのはほとんど同時だった
「…音無流…「四神流“衝覇正拳”!! 」…!? 」
ガスッ!!
ズザザザザザザザッ!!!
「…くっ…! 」
氣弾がレニーに襲いかかる
なんとか腕でガードしたけど、 その威力にレニーが壊れた塀まで引き下がる
「………“陽炎の技”! 」
「…消えた……? 」
フィアの言うとうり瞬間的にレニーの姿がかき消える
いや、 存在を感知できなくなったのだ
兄貴は落ちついて周りを見回す
レニーはどこにいるのか兄貴ですら分からないみたい……
「“殺意の技”!! 」
「“散壁正拳”!! 」
後ろから突然現れたレニーに素早く反応して拳を叩き込む兄貴
氣弾は腕をかすめ、 拳はお腹にクリーンヒットした
レニーは塀へとぶつかり、 兄貴は私たちがいるひさしへ
撃たれた右腕を押さえながら焦る表情を見せる兄貴
? どうしたんだろ♪
「……ちっ」
「……………」
口についた血糊をぬぐいながら、 平然と立ち上がるレニー
兄貴の腕がみるみる白く染まっていく
「お…凰輝さん……? 」
「……四神流…」
白に染まる勢いは止まりそうにない
そんな中、 兄貴の体が金の闘氣に包まれる
最初は変な目で見つめていたレニーだけど、 その内今から出そうとしている技が分かったのだろう
銃を構えて攻撃に移る
だけど、 兄貴の方が早かった
「……“氣体錬成”!! 」
白く染まっていた腕が元の色に戻っていく
レニーが放った氣弾はあっさり避けられ、 一気に距離を詰められる
「……しまっ「四神流奥義…“朱雀闘氣・纏”!! そして“朱雀正拳・改”!!! 」!! 」
ごぉぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉおぉおぉ!!
レニーは勢いよく吹き飛ばされ空のかなたへと飛んでいった
『……………』
「あ、 やべ、 やりすぎちまった」
あらま
青くなっている3人を無視して兄貴は夕飯の用意を始めた
今日は親子丼だ〜〜♪
ちなみにレニーは翌日には帰ってこれたそうな
身体中に包帯を巻いていたけど、 元気そうだったので、
まぁ、 大丈夫でしょ♪