其の伍拾捌:穿つ針は束縛の杭・弐
1週間ほったらかしにしといてスイマセンでした
サブタイトルを前編後編にすればよかったと少し反省
「さぁ、 勝負ダ凰輝! 勝ったらスt「カエレ」グゲフ!? 」
バキッ!
………あ〜
どうも、 スチルです
この張って人早く帰ってくれないでしょうかと思いつつ、 2人を眺めています
勝負……になってませんね、 凰輝さんが一方的に殴っています
「凰輝! 貴様それでも古代武術家カ!? 」
「そうだ!! 」
「開き直った!? 」
「開き直っていいんですか!? 」
「いいに決まっているだろうがこのボケ!! 」
しかも逆ギレ
人としてどうかと……いえ、 言ったらきりがありませんね
「いざ、 しょうb「やったら帰れよ、 絶対帰れよ」ハイ……」
凰輝さんは渋々引き受けて、 決闘をすることに
庭に出て張は懐に手を入れ、 凰輝さんは自然体に
「行くゾ! 紅針流“雷嘴”!! 」
雷をまとった針が一斉に凰輝さんに襲いかかる
凰輝さんはそのすべてを回避しました
そして反撃に移ります
「四神流…奥義! “玄武闘氣・纏”!! 」
ヴォヴッ!
いきなり碧の闘氣をまとい、 戦闘モードに入る凰輝さん
前回とはまったく気合いの入れようが違います
「四神流…“衝覇正拳・貫”!! 」
ヒュッウ!!
奇妙な音を立てて、 巨大な氣弾が飛び出す
「くっ…!! 」
巨大な氣弾を転がりながら回避し、 再び複数の針を構える張
凰輝さんは飛び上がり再び桜花正拳を何度も繰り出しました
転がりながら回避するしかない張
「……どうした張。 あの技はないのかよ」
あの技?
いったいなんのことでしょう
張は舌打ちをしながら針を取り出しました
「見せてアゲマショウ……紅針流“筋呀”!! 」
ドスッ! ドスッ!
みずからの腕に針を突き刺す張
ムキッムキムキッ
う…うわぁ……
『キモッ!!! 』
張はさっきまでガリガリに近かったです
だけど、 針を刺してからは急に筋肉がムキムキになりました
正直に言いますと気持ち悪すぎます
「行くぞぉ! 紅針流“佰彈”!! 」
恐ろしいほどの氣がこめられたいくつもの針
それはすべて凰輝さんに飛んでいく
「凰輝さん!! 」
「甘い!!! 」
腕の一振り
たったそれだけですべての針が風圧によって叩き落とされる
すごい…
「……まだまだ甘いな
こんなものか? 紅針流っていうのは」
挑発する凰輝さん
張は険しい顔を変えずに言い返しました
「…ならバ…奥義を見せてヤル」
懐に手を入れる張
身体中から放たれているのは闘氣ではなく殺気
張の殺気に釣られるように凰輝さんも殺気を放ち始める
「行くゾ……」
張のカタコトの日本語が逆に恐ろしいです……
バチバチと殺気どうしがぶつかり合う音がします
「紅針流…奥義! “縛雲”!! 」
ヒュヒュッ!!
………え?
風を切る音しか聞こえませんでした……
それに反応したように凰輝さんが急激に動きを止める
「……クソッ! 」
「フッ、 四神流も大したコトナイナ」
「……え? 」
「お…凰輝さん……? 」
凰輝さんは少し無理そうな体勢のまま固まっています
「……紅針流奥義“縛雲”!!
的確な場所に針を放つことで相手の動きを止めることができるノダ!! 」
説明的セリフをありがとうございます
「ちっ、 油断したか」
「一瞬の油断が命取りにナル!! 」
舌打ちをしながらもがこうとする凰輝さん
しかし、 動くことすらできない
「まだまだ文章に余裕がありますが……トドメとさせて貰いまショウ!! 」
懐から10本もの針を取り出す張
一体どれだけの針を仕込んでいるんですか?
「紅針流…「なんちって」え? 」
ドガッ!!
「ヘブッ!? 」
「お、 凰輝さん!? 」
「大丈夫なのか!? 」
「ん? あぁ」
平然と張を殴り飛ばした凰輝さん
腕をプラプラさせながら平気そうに呟きました
「な、 なぜ…!! はっ! まさか……!? 」
「正解。 “縛雲”は的確な場所に針を撃ち込んでこそ効果が出る
だから少しでも場所をずらせばその効果は消えるってうわけだ」
ダルそうに呟く凰輝さん
逆転できた喜びに雷華ちゃんやフィアが歓声をあげる
「………ふっ
さすがハ凰k「かっこつけんな、 オラ」」
ゲシッ!
凰輝さんのワンキックが張の頭頂部に命中しました
「………ならば2つ目の奥義を繰り出す必要がアリそうデスね…」
「させねぇよ」
素早く針を構える張よりも速く、 張との距離も詰める
張がガードするよりも早く………
「“散壁正拳・双”!! 」
ドスッ!! ガスッ!!
「がっ……!!! 」
正拳突きで張の持っていた針を撃ち落とし、 2発目はお腹に叩き込む
張がその威力に怯んだすきに凰輝さんは素早く次の攻撃に移る
「トドメだ…四神流…奥義! “玄武乱舞”!! 」
ヒュッ……ガガガガガガガガガ!!!!!
速い
その速さにはここにいる誰もついてこれはしませんでした
10発……いえ、 20発近い打撃が張を襲う
張はそれを防ぐことはできず、 すべてを受けボロボロになりながらも踏ん張って耐えきりました
ですが、 凰輝はもうすでに張の目の前で回し蹴りの構えに
そして、
「“桜・花・蹴・撃”!! 」
相手を吹き飛ばす蹴りが張の胸に命中し、 塀へとぶつかる張
気絶しているらしく、 起き上がる気配はありません
「凰輝さん…!! 」
「あ〜疲れた
寝るわ」
雷華の喜びに震えた声を無視し、 さっさと家の中に戻る凰輝さん
大して疲れていないと思うのですが……
「………? 」
「レナート? どうしたのですか? 」
「……ううん♪なんでもない」
その笑顔からは黒い企みを感じてしまうのは気のせいなのでしょうか………