其の伍拾漆:穿つ針は束縛の杭・壱
ピンポ〜ン
「…来た…のでしょうか……」
どうも、 スチルです
この前凰輝さんから“古代武術家が来るから覚悟しておけ”と言われたので、 気をつけていたのですが……
3日程で来るなんて…
しかも、 凰輝さんは今いません
「…ス、 スチルさん…」
「チビ……」
「フィア、 私はチビじゃありません」
私の呼び名について、 フィアに注意する
「チビじゃん」
「私はチビじゃありません!! 」
大声でレナートに言い返す
その間にもチャイムが鳴り続けている
「……私が行きます」
私はそう言うと、 ドアに近づく
そして、 勢いよく開ける
「………」
「…だ、 だれですか…? 」
現れたのは長身で細身の冴えない男でした
無精髭がそのダサさをさらに引き立てている
「……可愛イ♪」
「………!?!? 」
バンッ!! ガチャ!
ほとんど瞬間、 いや反射クラスの反応を起こしていた
私は扉を神速の疾さで閉めると、 これまた神速の疾さでカギをかける
自分で気がつかない内に息が切れていた
「チ…チビ……? 」
「…凰輝さ〜ん……」
………早く帰ってきてくださ〜い
チャイムはいまだに鳴り続けていました
「そういやスチル大丈夫かな……」
「……張のことね」
「買うもの買ったし早めに帰るか」
「……そうね…」
紗と別れて俺、 凰輝は家路を急ぐ
あのロリコンはなんとかならんのかね……
いままでは気にしなかったが、 今はスチルがいるからなぁ
アイツロリ体型だからなぁ……
ピンポ〜ン
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
ピンポ〜ン
「やかましいわ、 このロリコン」
ガキッ!
「ヘブシッ!? 」
チャイムを鳴らしまくる変態野郎張小龍の後頭部をかかとで蹴り、 ドアと熱烈なキスをさせる
効果音が変なのは気にすんな
「やぁ、 凰輝じゃなイカ! だれだい? ボク好みのあの幼女ハ」
「カエレ」
「いや、 だかr「カエレ」……」
変態野郎を無理矢理帰らそうとする俺
張はいやいやをしているが、 ダサいお前がやると正直殺意を超えてこの世に存在していたことすらなかったことにしようかと考えてしまうのだが
「とりあえずはカエレ、 そして生まれたことを後悔しながらシネ」
「言ってることひどくないカイ!? 」
「シネ♪シネ♪シネシネシネシネ♪シンジマエ〜♪
テメエノカオナゾミタクナイ〜♪」
「なぜ歌ウ!? しかも替え歌カイ!?
しかもカタカナばかりダシ!! 」
「“桜花正拳・双”!! 」
ドガッ!! グチャ!!
先手必勝。
というか、 忍耐の限界
人の家の前で何回チャイム鳴らせば気が済んだんだ? この変態は
変態が夜空の星になっている間に(※まだ夜じゃありません)帰宅
「ただいま」
「凰輝さん…さっきのはだれ……ですか…? 」
「あうう〜…まだ、 チャイムの音が耳に響きますぅ…」
「…なんだったんだ……? アイツは……」
次々に変態野郎についての感想を言い出す神様面々
俺は1言だけ言っておいた
「今見たことはすべて忘れろ。 いいな? 」
「よく分かりませんが分かりました……」
「どっちだ雷華」
「あれは悪夢の1種だ…悪夢の1種だ…そうに違いない」
「フィア、 悪夢でも幻でもいいから早く忘れろ」
「………モウ、 キニシマセン
エェ、 キニシマセントモ」
「スチル落ち着け」
「ああいうのを“ロリコン”って言うんだ……」
「そうなるなレナート」
それぞれの反応を見て、 あのバカがドコに行ったかも気にせずに紅茶を自分のティーカップに入れる
そして飲む
「ふぅ……どうしようかな」
「なにがダイ? 凰輝」
『っ!? 出たぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!! 』
庭先に現れた変態野郎の声にビビる神2人
しつけぇ野郎め
「張、 しつこすぎる
カエレ、 さもなくば警察を呼ぶぞ」
「フッ、 10年前にしつこさで彼女をgetしたボクにそんな言葉h「5回警察呼ばれたと聞いたが? 」愛の成せる技さ」
うっわぁ〜
うっざぁ〜
「凰輝さん……」
「どうした? スチル」
「殴っt「殴れ」了解! 」
バキッ!
俺の言葉を嬉々として聞き取り、 スチルは拳を固めて張を殴り飛ばす
いい音がして、 張は4、5m吹き飛んだ
「……………フッ」
鼻血を流しながらかっこつける張
だせぇぞお前
「ボクの“針縛流”と“四神流”との決戦は次回! ファンのみんな! 待っててくれ!! 」
「てめぇにファンなぞいねぇ!! 今回が始めてだろうが!! 」
ごぅ!
俺の突っ込みアッパーは張のアゴに確実にヒットした
続くよ、 マジで