其の伍拾参:彼らと争え体育祭!
《次は騎馬戦だ! 参加するものは今すぐ入場門に集まれ!! 》
「頑張れよ」
「凰輝こそ!! 」
司会は俺、 凰輝が勤めさせてもらう
騎馬戦には………お、 知ってる奴らが全員出てら
「……負けませんから」
「凰輝、 勝たせてもらうぜ!! 」
緋組とは1番最後に戦うことになっている
最初は代組との勝負
俺、 紗、 フィアは全員騎馬の上に乗っており
さらに、 フィアは大将用のハチマキを絞めている
《はじめ!! 》
『おぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉおぉおぉ!!! 』
「1人につき、 2人で潰せ
余ったのは俺と紗で潰す」
突撃してくる代組に冷静に応戦する蒼組
それに指示を飛ばす俺
紗は俺の言うことを聞かず、 敵に突撃している
囲まれたら紗の方が圧倒的に不利になる
普通ならば
だが、 紗は普通じゃない
あっという間に周りの3人のハチマキを机の上にある紙を取るようにパッパと取っていく
それに鼓舞されたように蒼組のみんなも突撃していく
普通、 騎馬戦では8騎で戦う
だが、 最後の代組大将のハチマキが頭から離れたときには蒼組は7騎も残っていた
圧勝
次は翠組との勝負
スチルが大将をしている
始まると同時に総力戦となった
紗が次々と取っていくなか、 スチルもウチの1人と渡り合っていた
「おりゃ! 」
「危なっ! 」
蒼組の1人が腕を振り回すが、 スチルはしゃがんで回避する
小さくて軽いから下の奴らは楽だろうな
「西上凰輝! その首もらった!! 」
「邪魔」
右からやってきた翠組の1人を右パンチで沈める
あ? 反則だぁ?
知るか
見られなきゃいいんだよ、 見られなきゃ
スチルは紗と押し合いをいている
2人の足元には青と緑のハチマキが散らばっている
2人の細い腕が筋を立てて、 ピクピクいっている
「…な、 中々やりますね…」
「スチルちゃん、 ごめんね」
「……え? 」
会話を無視して謝る紗
スチルの返答は宙を舞う
「おりゃあぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!! 」
「う、 うわぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!?!? 」
スチルの小柄な肉体は紗の腕の動きに合わせて騎馬から転げ落ちる
どしゃぁ
小柄な肉体に相応しい軽い音を立てて、 スチルは地面に叩きつけられる
翠組の面々はまだいたが、 大将が殺られれば(殺ってません)それで終わり
周りを見れば、 蒼組は4人程度しかいなかった
愛組の戦いはすぐに終わった
調子に乗って突撃してくる大将とレナートを俺がそれぞれに正拳突きで叩き落とす
反則じゃないぞ
レナートも大鎌を振りかざしてきたから正当防衛だぞ
正当防衛
で、 次は代組との戦い
…………………って
『……なっ! なんじゃこりゃぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!?!? 』
重なる蒼組の声
そう、 奴らは大将を1番上にしてピラミッド状に立ちはだかっていた
合計1コ
ハチマキをしている、 いわば騎馬の上にいるであろう連中はピラミッドの上あたりにいた
1番下の真ん中にいる奴が嘲笑うように言う
「フハハハハ!! どうだ! これぞ最強の陣形!! 誰にも破れまい!! 」
「……それはいいんだけど……
どうやって戦うの? 」
紗のセリフに硬直する世界
代組もそこまでは考えていなかったらしい
俺はおもむろに近づくと、 4段目のはしっこにいた奴を引っこ抜く
揺れるピラミッド
退避する俺たち
そして、
『うわあぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!?!? 』
どしゃどしゃどしゃどしゃどしゃぁ!!
豪快な音を立てて崩れ落ちる代組
完全勝利としか言いようがない
そして、 この戦法は最弱だと言いたい
そして、 最後の緋組との決戦
蒼組も緋組も今まで完勝だからこれに勝った方がこの騎馬戦の優勝組となる
「行くぞぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉおぉおぉ!! 」
『おぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉおぉおぉ!!! 』
「絶対負けねえぞぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉおぉおぉ!! 」
『おぉおぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉおぉぉおぉおぉ!!! 』
それぞれが士気を高めあうなか、 青葉や恭介は騎馬の準備をする
なんだ、 アイツラは下か
そして雷華は大将用のハチマキをしている
俺たちも騎馬の上に乗り、 士気を高める
俺も氣を高めようかと思ったが、 下の奴らが気絶したら困るので止めておく
《最終戦…用意…始めぇ!! 》
パァン…!!
軽い、 大きな音を立てながら煙を吐く拳銃
それを合図に緋組対蒼組の総力戦が始まった
体当りの衝撃に耐えきれず崩れる騎馬
耐えたもののバランスを崩し、 そのスキに敵にハチマキを取られた騎馬
あっという間に緋は3騎、 蒼は4騎失った
「雷華!! 今ココで決着つけてやる!! 」
「望むところです!! 」
『あぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!! 』
奇声を上げながら取っ組み合いを始める大将騎2騎
そのぶつかり合いはまさに神々の黄昏のよう
見とれている場合ではなく、 俺と紗はそれぞれ2騎ずつ討ち取った
気がつけば蒼組のもう1騎も崩れていた
まぁ、 そんなに期待はしてなかったが
つまり、 今蒼組は3騎、 緋組は1騎
囲めばいいのだろうが、 ココは2人で心行くまで闘らせておこう
幾度となくぶつかる2騎
フィアが出した手を捌き、 反撃にでる雷華
それを上手くかわし、 再び手を伸ばすフィア
が、 ここで
蒼組大将騎の騎馬が組んでいた腕が滑った
不運としか言いようがない結末
バランスを崩すフィア
そのスキを逃さず、 雷華はフィアのハチマキを奪い取る
ゲームセット
《優勝は緋組ぃ!! 》
司会の大声は蒼組内に虚しく響いた…………
次の1年の競技中、 フィアはずっと体育館裏にいた
なにをしているのかは大体分かる
だが………
俺は立ち上がると体育館裏に向かった
「フィア……」
「………………」
「……」
なにも言わないフィア
薄っぺらい励ましなどかける気などさらさらない
ただ1言
コレだけを言いにきた
「フィア……
悔しくて泣いてるヒマがあるんなら………
強くなって見返してやれ!!!
お前の真価は戦闘だろ!!! 」
「分がっ…!! 分がりまじだぁ!!! 」
1年の競技は蒼組が勝ったらしい
まだまだ逆転のチャンスはある
〜〜現在得点〜〜
緋組317
蒼組307
翠組269
愛組162
代組215
姫組185
実は、 騎馬戦ネタが浮かんだために体育祭編をしたようなもの