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其の伍拾:彼らと紡ぐ、 小さな話

今回はプチ短編集



〜〜セミ〜〜


「そういえば凰輝さん……」

「どうした雷華? 」


凰輝だ

今回はしょうもない短編集らしい

作者がヘタレで本当に申し訳ない


あ? 俺は読者には優しいんだぞ


ほんの少しだけだが



雷華は庭先でなにかを見つめている


その声は少し寂しげというべきか


俺もついでに庭先に降り、 雷華の近くへと行く

雷華が持っているのは………








セミの死骸?


「セミの死骸がどうしたんだ? 」

「セミって1週間しか生きられないんですよね…」



確かに



少々語弊があるが


セミの幼虫は2、 3年ほど土の中で過ごす

中には5年近くも土の中で過ごす奴がいるとか

そして、 成虫になって木の上で鳴き、 メスを探す


その間はわずか1週間程度


ヘタすると3日って奴もいるらしい



「けどそれがどうかしたのか? 」

「儚くないですか? たった1週間ですy「1週間、 おやつ抜き」…………」


割り込んだ俺の言葉に雷華は少し考えたあと、 言った










「1週間って案外長いんですね…」

「まぁな」











〜〜地球儀〜〜


「レナート…なにしてんだ? 」

「地球儀回してる―――――」

「なんでだよ? 」


再び凰輝だ

レナートが居間で寝転がりながら地球儀をぐるぐる回している

古そうな地球儀だ

倉庫から出してきたのか?


「倉庫から引っ張り出してきた――♪」

「なんでまた」

「なんとなく――♪

でさぁ、 兄貴ぃ……」

「あ? 」


少し口を濁しながら話すレナート

相変わらず地球儀はグルングルン回している


「倉庫にはさぁ……いろんなモノがあって、 それには名前が書いてあったんだけどさぁ」

「ん? あぁ…」


お袋からは常に“自分のモノには名前を書け”ってしつけられてきたからなぁ

でも、 それがどうしたんだ?







「“コレ”には大した意味はないよね? 」


レナートは地球儀をピタリと止めるとその表面を見せる









そこには“こりんのもの(よてい)”と書かれてあった



姉貴………


まぁ、 その……なんだ









「気にすんな」

「うん♪じゃぁ、 気にしない♪」











〜〜衰え〜〜



《伝説に挑戦!! はたして彼らは達成できるのか!? 》



「なぁ、 凰輝……」

「なんだ? フィア」


凰輝だ

今、 “いきなり!! 黄金〇説”を観ている

知ってるよな? 知らない奴は帰れ


「なんで人間って辛いことをヒイヒイ言いながらやるんだ? 」

「頑張っているところを視聴者に観てもらって高い視聴率を狙っているんだろ

日本人ってのは“努力”とかっていうのに弱いからな」

「へ〜…でも………」


ん? なんだよフィア


あ、 ちなみに今黄金〇説 では海女さんと一緒に海で貝を採ってる

すげえよ〇田


「でもさ……これって昔、 人間が普通にしてたんだろ? なんで今さらヒイヒイ言いながら頑張るんだ? 」

「それだけ人間の体力は衰えてるってことだろ

気にすんな」


特に作者とか


「ふ…ふ〜ん……」

「なんだ? その不信の眼は」

「いや、 だって……」


フィアの眼は明らかに疑っている

そんな眼をしていると拷問するぞ、 久々に


「だって……私の周りに運動神経が鈍い奴なんていないじゃん」



あ〜………その、 なんだ



「作品の壁を超えてみろ」

「作者が非社交的だからムリ」



だろうなぁ











〜〜創る者〜〜



「よっ…ほっ…」

「凰輝さん……? 」


話しかけてきたのはスチルだ


「ん? なんだ? 」

「なにしているんですか? 」

「木彫り物を彫ってる」

「いえ、 そうじゃなくて……






なんで“素手”で彫ってるんですか? 」


「四神流“斬撃指閃(しせん)”だ」

「いえ…そうじゃなくてですね……」

「ノリだ」

「………もういいです」


あ、 指閃っていうのは指でチョンチョンとやることだ

最近編み出した新技だ

威力が小さく、 攻撃範囲が狭いかわりに消耗も少ない

まぁ、 大抵はこういう風に細かいところを削ったりするだけだけどな



むぅ……結構難しいな…コレ


「……なに彫ってるんですか? 」

「ん? ……あぁ」


ちょうど完成したし


俺は彫っていた物をスチルに投げ渡す


彫っていたのは……




「………私? 」

「まぁな、 全員分彫ろうと思ってな」

「へぇ…そうですか…」




スチルの眼には喜びや感謝の感情が浮かんでいる



まぁ、 でも……






「凹凸がない分彫りやすかったけど、 小さいから苦労したぜ」




「……どうせ、 私は幼児体型ですよ…」




ありゃ? すねちまったか

まぁ、 気にしないけど











〜〜知識〜〜


「凰輝、 なにしてんだ? 」

「あ、 姉貴

宿題だよ

見て分かれ」


あ? 俺だって宿題ぐらいするぜ?

夏休みや冬休みの長期休暇だって1回もサボったことはないんだぜ?

だから、 なんだその不信げな目線は


「へ〜


………





教えてあげよっか? 」


「別にいいよ、 できないわけでもないし」


第一、 あんた中卒じゃねぇか

高2の勉強したことねぇじゃねえか


「大丈夫、 大丈夫♪」

「あ、 てめぇ宿題盗るな! 返せ!! 」


勝手に俺の宿題を取る姉貴

調子乗ってると拷問するぞ? もう、 あんたよりつええんだぞ? あぁ?




姉貴は少し考えたあと、 俺の机に宿題をポンッと置くと、 気難しそうに言った






「ま、 まぁ、 こういうのは本人がやらなきゃ……ね?? 」









分からなかったんだな



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