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其の肆拾参:彼らと共に冥界探険・参

夏の宿題がまだ終わってない

ヤベ

司会はまだまだ黒龍が務めさせてもらう

どうやら、 作者はあまり会話しない奴の方が司会にしやすいらしい



さて、 今の状況は


其の肆拾弐のあと、 先に進んだ凰輝たち

次々に現れた亡霊たちに雷華とフィアは絶叫

恭助も始めの方は叫んでいたが、 もう慣れたらしく大したことでは叫ばなくなった

だが、 やはり突然現れるとスチルと一緒に驚きの声を上げていた

凰輝、 紗、 青葉、 レニー、レナートは全然叫ばず、

凰輝やレニーに至っては脅かしに来た亡霊たちを睨み返して、 逆に亡霊たちをビビらせていた

レナートは亡霊が現れる度に『きゃ〜♪怖〜い♪』などと、 お前怖がってないじゃんと、 言いたくなりそうな声を上げていたし、

紗と青葉は完全に亡霊を無視

それに(へこ)まされた亡霊もいる

可哀想に


「ひっく…えっぐ…もぅイヤだぁ…」

「ふぇえぇぇぇえぇぇん…帰りたいよぅ…」

「雷華さん…フィア…頑張ってください…もうすぐ帰れますよ」


泣き出した雷華とフィアを慰めながら、 スチルは凰輝に目配せをする

その目は『そろそろ帰りましょう』と語っているようだ

凰輝もそう理解したらしいのだが、 “理解する”と“了承する”はまったくの別物だ


「さぁ〜まだまだ先に行くぞ〜♪」

《やっぱりかこの鬼め》

「フッ、 それは俺にとって誉め言葉の1種だな」

《なるほど、 “鬼畜”も誉め言葉に入るのか? 》

「“鬼”よりも素晴らしい誉め言葉さ」

『………』


そこから先は全員無言になる

紗はもはや諦めがついたらしく、 懐中電灯で洞窟の中を照らし回っている


「いな〜いいな〜いばぁ〜っ!! 」

『っ!! ぎゃぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!! 』

《人を驚かすのに“いないいないばぁ”はないだろ》


突然出てきたろくろ首に泣き叫ぶ雷華とフィア

私の突っ込みは暗い洞窟内に虚しく響くだけだった

同じ気持ちだったのだろう、 凰輝は馬鹿にしたように鼻で嘲笑い

紗と恭助は少し嘲笑うようにため息をついた

青葉も鼻で嘲笑い

レニーとスチルは楽しげに微笑み

レナートはそのおかしさに大爆笑した

誰1人といて彼女らを救おうとはしない

非情だと言いたいが、 彼女らが怖がって泣き叫ぶのはココに来て、 もう何十回も聞いているので、 心配するのも疲れたのだろう


「オラ、 サッサと行くぞ」

『ま、 待ってくださ〜い』


凰輝だけが懐中電灯を持っている訳ではないのだが、 1番頼れるのが先に行くのは怖いのだろう

他のメンバー、 特に雷華とフィアが慌てて後をついていく

1番最後を歩くのは紗だ

その後ろ姿は凛々しさが滲み出していた











「凰輝さん……」

「なんだ? 」

「ここって…」

(かわ)


その言葉どおり今、 彼らがいるのは河だ

漆黒の流れの中になにかの骨が浮かんでいるのがこの河を危険と知らせているのか、 不気味さを演出させているのか分からない


「凰輝さん…なんで水の上に浮いているんですか? 」

「四神流“割水波渡(かっすいなみわたり)”」

「へ、 へぇ…」

「相変わらず便利だねぇ、 四神流は」

「まぁな、 あ、 」

『? 』


突然なにかを思い出した凰輝に全員が? マークを浮かべた

それに呼応するように紗もなにかを思いだし、 青くなる


「もうすぐ滝だから」

『………はぁ!? 』

「あぁ〜またか、 またあの滝か」

「あの滝って…」

「お前ら……






死なないようにな」


『……………





はぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!?!? 』


先にはゴウゴウと音を立てて流れ落ちる滝

けして、 低くはなさそうだ


「……どうしましょう……」

「……え? 」


突然のスチルの言葉に聞き返す紗

スチルの顔は心なしか青く見える

滝は段々その爆音を大きくしながら近づいてくる


「私……泳げないんです!! 」

『………えぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇえ!? 』

「だ、 大丈夫ですよ…きっとレニーさんや紗さんが助け…」


雷華の希望と憶測に満ちたセリフは2人の言葉に無惨にも砕けた


「ゴメン、 私はあまり水泳は得意じゃないの」

「……私も泳げない…」

『えぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇぇえ!? 』

「…………////」

「レニー、 照れてる場合じゃないぞ







もうすぐ滝だ」


ゴウゴウと唸りを立てながら近づく滝

人間の力では敵いもしない大自然の力に彼らはなすすべもなく荒れ狂う滝壺に投げ出された


『…っ!! ぎゃぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!!! 』


バチャン! どぼぼん! どぼん! どぼん! どぼん! どぼん! どぼん! どぼぼん!


凄まじい水音の中、 我が主、 西上凰輝は“割水波渡”を使用したまま水面の上にいた

その後に来た凄まじい水の(かたまり)に打たれ、 周りが見えなくなった後、 そこには舟の残骸と凰輝しかいなかった


「あいつらドコにいったんだ…? たっく…」


凰輝は少し考えた後、 急に両手を合わせ「南無阿弥陀仏」と言った後こう言い切った


「おめえら……安らかに眠れよ…」

『眠れるかぁ!! 』

「なんだ…いたのかよ……ちっ…」

「え? なに? さっきの舌打ち…」


舟の残骸からその姿を現した紗と恭助

この3人以外は流されてしまったらしく影も形も見当たらない

どうやらはぐれてしまったようだ


「………しゃーねぇ、 探すか」

「サッサと探して早く帰りましょう」

「…くそ、 ドコに行ったんだよ」


3人は2組……凰輝1人と紗、 恭助の2人組……に別れると別々の道を歩く


まったく、 どうしたもんかな…

別に私が探すわけでもないんだが


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