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其の肆拾壱:彼らと共に冥界探検・壱

宿題がまだ終わっていません…

どうしよう

――夜――



「……うっし、 全員来たな」

「…まぁ、 もう突っ込むのは面倒くさいのだが……」

「ん? なんだ、 恭助」

「ココどこだ? 」

「玉藻神社の近くにある森にある魔界の入り口である洞窟の前」


ふむ、 なんという説明的文章

おっと、 司会は黒龍が務めさせてもらう

今、洞窟の前にいるのは凰輝、 紗、 雷華、 フィア、 スチル、 レナート、 青葉、 恭助、 そして見知らぬ女性2人

琥鈴も行きたがっていたが、 11時になると爆睡していたのでそのままにしていた



《凰輝よ、 誰だこいつらは? 》

「あぁ、 レニーに……お前は誰だ? 」

「……あ、 加奈先輩じゃないですか

なんでここに? 」


答えたのは青葉

先輩ということは年上か

その少女はショートカットにつり目、 服装もどこにでもありそうなものだ


青葉が言うにはその少女は永谷加奈

バスケ部という団体の先輩で、 最近引退したばかりだという


恩人に近い人物らしいが、 彼女はある人物をずっと見つめている

その目線は危なげに感じるのだが、 視線の先にあるのは紗だ

その視線に気づいたのか、 紗は少し青ざめている


「おし、 行くか」


凰輝が言い、 一行は洞窟へと入る

洞窟からはなにか(あや)しい雰囲気が漂いつづけている


さぁ、 闇の底への冒険が始まる












「ココ、 魔界じゃありませんよ? 」


暗く、 深い闇の色を称えた洞窟の中

呟いたのはスチル、 それに反応したのは凰輝たちだった


『………え? 』

「うん、 違うね♪」

「え!? じゃぁココどこ!? 」

「“冥界”です」

『………“冥界”? 』


スチルの言葉に聞き返したのは、 凰輝、 紗、 青葉、 恭助、 加奈、 レニーたち人間に、 雷華とフィア

おら、 雷華にフィア

お前ら一応神と悪魔だろ




スチルいわく冥界とは、 死者の魂が集う場所で、 そのほとんどが人外の姿形をしており、 中には特殊な力を手にした者もいるという

大半が現世での記憶を持っているが、 中にはその記憶が失われ、 自我が崩壊した者もいる

自我が崩壊した者は、 そのほとんどが人間、 もしくは亡霊たちに牙を剥く


そういえば凰輝たちも魔物らしき奴らに襲われたと言っていた

そいつらは凰輝や紗が5秒で全滅させたそうだが、 油断は禁物と言えよう




「読者への説明は終わったか? 」

《ん? あぁ、 ちょうど終わったところだ》


凰輝の言葉で説明を打ち切る

どんな奴らが現れるかも説明したかったが、 それは後ででもいいだろう











暗闇の中を彼らは進む


「お、 お化けなんていませんよね……」

「い、 いない…いない…」

「だったら離れろ、 ここにいる奴らの仲間入りしたいのか」

『すみません……』


しがみついていた雷華とフィアを無理矢理引き剥がし、 凰輝は前方を懐中電灯で照らすと、 漆黒の岩肌が現れた

どうやら、 この暗さは光が届かないだけではないらしい


「……誰? 」


ビックゥ!!


最後尾にいた青葉の言葉に、 雷華とフィア、 恭助の3人がびくついて振り返る

そこには…ワンピースを着た少女がいた

あくまで、 それだけならまだいい

え? じゃあどう違うかって?

雷華たちの青ざめた顔を見れば半分は分かるだろう


「ねぇ……私の頭知らない…? 」

『っ!! ぎゃぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!! 』



その少女は


頭がなかった


フラフラと、 こちらへ手をのばしながら近づく様はB級のホラー映画にありそうな展開だ

だが、 実際に見たら半狂乱に陥ることは間違いない


「あばばばばぱばば」

「フィア、 落ち着け」

「ヒャッホォッ!! 」

「……雷華ちゃん大丈夫? 」

「KOOLになれ、 KOOLになれ、 KOOLになれ」

「……」


パニックに陥る3人と突っ込む3人

うろうろする少女は半ば無視されている


少し憐れ


「あの…頭ってこれ? 」

「あ、 これです!! 」


いままで出番がなかったレニーが持ってきたのはバレーボール大のイビツな球体

それが少女の頭らしい


少女が受けとる前に、 凰輝が奪い取り、 レナートに放り投げる


「パ〜ス」


ポ〜ン


レナートの頭上に来た頭はレナートがバレーのトスのように繰り出された手に弾き返される


ポ〜ン


それをさらに凰輝がトスし……


ポ〜ン、 ポ〜ン、 ポ〜ン、 ポ〜ン、 ポ〜ン、 ポ〜ン


「か、 返してぇ〜」


少女の嘆きを無視し、 外道2人はトスを止めない


ポ〜ン、 ポ〜ン、 ポ〜ン、 ポ〜ン


「ハイハイ、 もうオシマイ」


紗が頭を凰輝から奪い取り、 少女に返す

頭はぴったりと首とつながり、 切れ目が見えなくなった

やがて、 明るい顔が上がってくると、 そこには可愛らしい少女の顔が


「ありがとう、 紗さん! 」

「……あ! 叶子(ようこ)ちゃん!? 」

「おぉ、 久し振りじゃねぇか」

「…懐かしいですね」


叶子という少女と懐かしそうに会話する凰輝、 紗、 青葉

それについていけない他のメンバー


……どうやら、 この冥界探険もそれほどは恐ろしくはなさそうだ



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