其の参拾陸:彼の意外な弱点とは・後編
今日は家族が旅行で俺1人だけ留守番
なんという気楽さ
「……“あと3人”」
「…どうするよ…」
「……分からない…」
「…さて……どうしよう…」
凰輝は女性化してはいるが、その勢いは衰えることを見せない
……というか、衰えない
………おっと、司会はまだ私、紗が行っています
恭助君はそこら辺にあった手頃な木の棒を拾い、構えをとる
長さもほどほどで、丁度いいらしい
私はカウンターが得意だけど、堪え忍ぶだけ
青葉ちゃんは普通に構えている
まぁ、彼女は普通に強いのである程度は戦えるだろう
「行かねぇなら…コッチから行くぞ♪」
ダッ!!
凰輝は勢いをつけて、突っ込む!
私は体勢を整えて、迎え撃つ体勢はできた
だけど、他の2人は体勢を整える時間をとれず、凰輝の攻撃を受ける!
「“桜花正拳・双”!」
ドカッ!バキッ!
“桜花正拳・双”を受けた2人は大きく引き下がる
よく見れば恭助君は木の棒でガードしていた
間一髪、と言いたいところだったが木の棒にはヒビが入り、今にも折れてしまいそうだ
「…くそっ!一体どうすれば…」
「まだまだ行くぞ!“散壁蹴撃・連”!」
ドゥ!バキッ!ガスッ!
散壁系の攻撃は氣を打ち消し中和する
そのために私が張った“氣界”も無効化し、私は攻撃を捌ききれなかった!
「つぅ……!!」
私は後ろに翔んでダメージを抑えたが、他の2人はモロに喰らい吹き飛ばされる!
………言っておくけど、相手を吹き飛ばす桜花系じゃないよ…
「……まぁ準備運動は済んだかな♪」
『……はぁ!?』
肩をグルングルン回しながら呟く凰輝に驚きを隠せない私たち
「行くぞ〜必殺“女王陛下の鎖鋸”!」
四神流の技じゃない!?
……というか黒龍!?
いたの!?
《気付いてなかったのか………》
………ごめんなさい、全く気付かなかったです
凰輝は黒龍を抜刀すると、型をとらず、静かに息を整える
すると、邪悪な氣が黒龍の周りを渦巻き、まるでチェーンソーのように回転する!
………というか……
…………というか………
『主人公が邪悪な氣を出すとかおかしいだろ(でしょ)!!』
「別にいいだろ」
……まぁコメディだからいいけど…
凰輝は黒龍を構えたまま突っ込む!
フゥゥウン!
変わった音を立てて黒龍が一閃する
間一髪で避けれたが、体を過ぎるときに感じた嫌な感覚
あれはヤバイ
「あんなのあり…!?」
「黒龍の“妖気”と俺の“氣”を合わせた我流剣技…“暗黒剣”とでもいおうか」
「“暗黒剣”……」
「あ、ちなみに他の種類もあるから」
「今言わないで」
フゥゥウン!ヒュゥウン!ヴォオォン!
変わった音を立てつつ、黒龍が斬りかかる
その一閃一閃は私たちを攻め立てるようではなく
ただ遊んでいるようだ
なんか腹が立つなぁ……
「そろそろ1人に消えてもらうか♪」
「…はぁ…?え?ちょ、まっ」
「“女王陛下の鎖鋸・砲”!」
ヴォォオォォォン!……ドゥン!
「グォ!?」
黒龍から放たれた黒い鋸状の円が恭助君を大きく吹き飛ばす!
木の棒でガードしてたがその木の棒もあっという間に一刀両断された
「一応、死なねぇように手加減はしたぜ」
「……どれくらい?」
「9999999999分の1くらい?」
『…………』
恭助君は気絶したので、残りは2人
え〜と………
……どう捕らえろと…?
と、いきなり青葉ちゃんが前に出る
「……我流“紅燕”」
ヒュッ!
鋭い一撃が凰輝を襲う
いや、一撃というよりも一閃の方が正確か
だが、その一閃を凰輝はあっさりと受ける
そして
「……捕まえました」
「………あ」
青葉は凰輝の体にしっかりと抱きついていた
ゲームセット
こうして、体育は青葉の勝利で終わった
〜〜翌日☆〜〜
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「………なんだよ」
じ――と凰輝を見つめる神と悪魔
それにイラついた凰輝は4人を火攻めにしましたとさ
めでたしめでたし
「……全然めでたくない…」
うるさいな




