其の参拾壱:彼女らのお手製料理の味は?
「……ほいっと…」
どうも、 スチルです
え? 今なにしてるって?
プレーンオムレツを作っているところです
今凰輝さんは紗さん家に遊びにいっています
………紗さん頑張って
「ま〜だ〜♪」
「スチルさ〜ん♪早く〜♪」
「腹減ったぁ〜♪」
後ろでブチブチ言っている3人組、 雷華、 フィア、 レナート
…………今少しだけ凰輝さんの気持ちが分かった気がします…
殴りたい……
「ハイハイ…あと少しだから…」
憤りを必死でこらえ、私は言い返す
…………そうだ
「ねぇ、 ついでだからあなたたちも料理を勉強してみない? 」
『え〜〜』
「私はある程度できるよ」
「……意外…」
まさかレナートが料理ができるなんて……
思わず、 声に出してしまいました……
すると、
「ただいま……お、プレーンオムレツか」
「あ、 おかえりなさい」
「凰輝さんおかえり」
「凰輝〜♪おっかえりぃ♪」
「兄貴ぃ〜♪」
ダッ……ベチィ!
凰輝さんが帰ってきました
さっきの音は凰輝さんに飛び付いたレナートが凰輝さんに叩きつけられた音です
「なんか話でもしてたのか? 」
「え? あ、 はい実は…」
〜〜説明中☆〜〜
「なるほどなぁ…よし! 料理やれ!! 」
『えぇぇえぇえぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇ!? 』
「YARE☆」
『はい……』
愚痴を言う2人に満面の笑みで殺気を放ちながら言い放つ凰輝さん
怖い………
で、
「では今から“第1回☆神様料理講習会〜謎の毒殺事件簿、 犯人は誰だ〜”を開催します」
「イエ〜イ♪」
「…毒殺事件…? 」
「……毒殺事件簿って……」
「………不吉すぎます…………」
凰輝さんの謎のセリフに反応する私たち
それぞれの反応が誰かはご想像にお任せします
「今回作るのは“玉子焼き”です」
「ポピュラーだね」
「なお、 今回の生け贄は赤野紗、 並町青葉、 レニー・クラウディア、 篠田恭介、 そしてドコカの影薄です」
「…生け贄ってなに……? 」
「生け贄………」
「あれ? 影薄って俺のこと? 」
「では料理開始――!! 」
『無視!? 』
彼らの突っ込みを華麗にスルーし、 いざ、 料理開始ぃ――♪
え――と……
卵をといて、 ダシを………ん――ダシはなににしよう?
………まぁダシは適当に醤油と味醂で……
………………って
「雷華! そんなに砂糖を入れない!! 卵真っ白だよ!!
フィア! 唐辛子は加えない!! 赤い玉子焼きなんて聞いたことないよ!
レナート! なんでイモリの黒焦げを入れる!? 」
「…いや、 甘いほうがいいかと……」
「辛い方がいいだろ? 」
「みんなのリアクションが見てみたいから♪」
「…もう…不安が……」
「…帰りてぇ……」
「…帰っていい……? 」
「ダメだ♪」
私の突っ込みに当然とばかり言い放つ3人
それに不安を隠し通せない5人
そして、 それを楽しそうに見る凰輝さん
…………うぅ……
なにかデジャブが……
………まぁいいや
続き続き♪
卵を専用のフライパンに少しだけ注ぎ、 火を点けて……っと
軽く焼けてくると、 また少しだけ注ぎ………を繰り返し……
「できたぁ!! 」
「私も!! 」
「完成ぃ♪」
「…こんなもんかな? 」
「では、 できたところで……毒味といきましょう」
「……毒味…? 」
ドキドキ………
「…じゃあ紗はこれを……」
「…なんでこんなに白いの……? 」
紗さんに渡されたのは、雷華の作った玉子焼き
パクッと一口………
「………甘い………」
…ですよね……
「…砂糖入れすぎ…」
……やっぱり………
「評価は?」
「100点満点中…」
「ドキドキ……」
「−9点」
「マイナス!? 」
意外と辛口な紗さんでした
「じゃあ…篠田! お前にはこれだ! 」
「…赤い玉子焼きなんてあったか…? 」
篠田くんに渡されたのは、 フィアが作った目玉焼き
すっごい不吉な感じをしています
篠田くんもものすごくイヤな顔をしています
でも、 凰輝さんがものすごく睨んでいたのでイヤイヤながら口へ………
「………かれぇぇえぇえぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇえ!!!! 」
「……唐辛子入れすぎたかな…? 」
「辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い!! かれぇぇえぇえぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇえぇぇえ!!!! 」
「うるせぇ、 とっとと判定しろ」
「ひ、 100点満点中マ、 −56点! 」
「ガ――――ン!! 」
−56………
まぁ、 酷いけど妥当かな………
「次は青葉、 これを」
「……よかった…」
青葉さんが選んだのは私の作った玉子焼き
よかったって……
嬉しいような、 虚しいような
いざ一口………
「…少し濃いかな…? 」
「少し醤油を入れすぎたかな? 」
「…そうかもしれません…」
「……何点ですか? 」
「……85点ってところでしょうか…」
「…もう少し上だと思ったんだけどな…」
修行不足かなぁ…
で、 最後
「影薄、 喰え」
「………イヤだ」
「KUE☆」
「は、 はい……」
最後の影賀さん……だったっけ?
まぁいいや
彼に渡されたのは、 レナートが作った玉子焼き
………ごめんなさい
私にアナタは救えません
一口………
パタッ!
「影賀くん!? 」
「……ご昇天しましたね…」
「ご昇天!? 」
「ありゃりゃ? 刺激が強すぎたかな? 」
「刺激!? 」
「とりあえず起きろ」
ぎしゃぁ!!
「さっきの音はなに!? 」
紗さんの突っ込みも虚しく(? )
影賀くんは二度と目覚めませんでした………
〈注・影薄は死んではいません
彼は病院へ運ばれていきました
命に別状はないようです……たぶん by作者〉
「やっぱり濃硫酸をいれたのがいけなかったのかな……」
猛毒じゃん
影薄は当分出番なし!!
影薄「てぇんめぇぇぇえぇぇえぇぇぇぇえ!!」