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理想のペットライフ  作者: ミイナ
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各々の思惑 後編

ネイドは開始の合図とともにミリーと間合いを詰める為に前に出た。

当然ミリーの予測の範囲内であり互いの武器の攻撃範囲を考えれば、ネイドは間合いを詰め、ミリーは距離をとっての攻防になる。


まずは一撃とミリーは自分に真っ直ぐに突っ込んでくるネイドに速度重視の突きをくりだす。

ネイドはその突きを 半歩右に避けてギリギリでかわし更に踏み込み前方に飛ぶ。


自分に最短距離で間合い詰めてくるネイドに対し素早く槍を引きミリーも左足を半歩後ろに引きネイドの後頭部に槍を素早く振り上げ斬りつけた。


前傾姿勢で低く前に出たネイドはミリーの足の動きを見て次に来るであろう背後からの攻撃を予測して、更に姿勢を前に倒すと槍の刃が頭頂部を掠めていくのを感じたが構わずに短刀を抜くとミリーの左足の太もも辺りを軽く浅く斬るとその勢いのまま転がるように距離をとった。



ミリーは斬りつけられた太股に切られた感触が無い事を感じながらも、ネイドの姿を見失わないように視線を合わせつつ一瞬太股に目を向けると一筋の黒い光りの筋が弾けて消える。

「何をしました?」

「答えられる訳ないでしょ」


感じた疑問をぶつけてみたが、予想通りの答えがかえってきた。


(彼の短刀から出ているあの黒い光りが原因なのは間違いないけど……体に変調が無いのが不気味ね)



ネイドはミリーと視線を会わせつつ立ち上がると頭の中に1の数字が浮かぶ。


(へぇ。一割も盗れたのか)


あの程度の攻撃で思ってた以上の成果に 内心喜ぶネイド。

お互い鎧とかすね当てなどの装備は身に付けていない為に予想よりダメージがはいったと推測した。


ミリーは不安を振り払うように頭を一つ振りネイドを見つめる。

攻撃範囲の二歩程、外にネイドはいる。

ミリーはひと呼吸おき、攻撃に出るべく無造作に前にでる。攻撃範囲の中にネイド入る前に(紫雷) と呟き、大きく踏み込む。



ミリーが何か呟いたと思ったら一気に距離を詰められた。

ネイドは回避すべく 行動しようと動くが 目の前に槍が5本現れる。全ての攻撃を回避するのは無理と一瞬でネイドは判断した。 自分に届く刃は5本中、3本。残りはフェイント。

順番は2、3、5。 1、4はフェイント 、1の刃は無視、2の刃は右肩狙い。それを皮一枚でかわし、3の刃は頭を狙っている。それを短刀で弾くと視界が一瞬 、遮られたが4の刃は無視して本命の5の刃に備える。


ミリーはネイドが5連の神速の突きを4連までかわすのを驚愕の思いで見つめる。 でもこれが最後とスピードに乗った一撃をネイドの左足に放つ。

(これで決まりね)

勝利を確信した突きをネイドが槍の刃の側面に右膝をぶつけて軌道を反らし地面に刺さった槍の上に乗りジャンプ。ミリーの頭上を飛び越しざまにミリーの額に短刀の刃を一線する。

驚きつつも距離をとり、切りつけられた 額を確認するも先程と同じで血痕又は傷跡などの外傷をミリーは感じられなかった。


荒い息を吐きネイドはミリーに向き直る。驚愕の表情を浮かべているミリーを油断なく見つめていると10の数字が頭の中に浮かぶ。

(これで10割、コピーキャット発動)

条件が揃いネイドはウズメから与えられた魔法を発動する。

ネイドの頭の中にミリーとネイドと練習場が構築されギャラリーの緋波達も再現される。

ネイドは意識を仮想ネイドに合わせ同じく仮想ミリーに攻撃をしかける。

その視界を現実の世界に合わせ動かした仮想ネイドの2秒後に それをトレースするようにネイドも動いた。


ミリーは早鐘のように動く心臓を落ち着かせようと精神を集中する。視界に映るネイドが此方に走るのが見えた。

距離6メートル、ミリーは槍の刃の先を地面に押し当て呟く。

「千早斬」

ネイドに向かい伸びる一本の風の刃が地面の上を這うように糸を引きネイドを攻撃する。当然ネイドは避けるだろうと予測し、攻撃が当たる直前にネイドが右に避けるのを確認した時に 「大蛇(おろち)

ミリーは攻撃が回避された瞬間に千早斬に追加効果を発動、 ネイドが回避した千早斬が背後から襲いかかる。


ネイドは回避した風の刃が再び背後から攻撃にくるのも解っていた。

この後、三度自分を追尾していた魔法を回避して風の刃が消える。 コピーキャットの能力により2秒先の相手の行動が読める。

未来予知ではない。 ミリーの思考と性格を完全にコピーして 仮想空間にて疑似戦闘を行う。

ウズメが一緒に戦闘に参加していたらミリーの全ての能力と行動をコピーできたが、今は思考と行動を7割。残りは彼女の性格を加えた予測で補っている。

勿論、万能では無いので制約もあるのだが、今回は上手く行きそうだ。

ネイドは目の前に展開されている仮想ネイドが、仮想ミリー が展開した防御障壁の手前で止まるのを見た。

(これで決める!)


ネイドは同じ動きをしてミリーの前で急停止すると少し腰を落とす。ミリーが槍の柄を地面に突き、なにか唱えるのを聞くとミリーを包むように障壁が展開した。



ミリーはネイドが全ての攻撃を回避して自分に迫るの確認する。

何故かネイドは短刀を腰にしまい、素手での攻撃を仕掛けてくるようなので、攻撃の瞬間に弾け飛ばし再度、間をとろうと考えた。


「甲殻」

その言葉と共に槍の柄で地面を突くと自分を守る光りの膜がミリーを包みこむ。


当然、ネイドごと攻撃を弾き返したと思ったのに光りの膜に衝撃が伝わらない。 よく見るとネイドが防御陣の前で止まり 効果の切れるのを待って攻撃体勢をとっている。

(不味いわね。何故、彼がこちらの魔法を回避できているのか謎だけど。武器スロットの技を全部使ってしまたわ。魔法使用後硬直が2秒、一撃は受けるがダメージは最小限にして凌ぐ)


ネイドは静かにミリーの魔法が解けるのを待っていた。

光り膜の薄くなり障壁が消える。

ネイドはその瞬間に ミリーの顎先に掌底を当てる。 警戒はしていたであろうミリーは予想外の攻撃に バランスを崩す。

ネイドは流れるような動きでミリーの背後に回ると、彼女の頭に飛び付き両手でミリーの顎を固定すると両膝をミリーの後頭部から首に密着させると全体重を後ろに倒す。



ミリーは自分が何をされているのか理解出来なかった。

顎に打撃を貰いに軽く脳震盪になり、気がつくとネイドが背後からミリーの顎を 両手で掴み、後頭部に何か当てられ後ろに引きずり倒される。 …………その瞬間に意識が無くなった。


エリーナは最後の攻防に息を飲んだ。

ネイドの鮮やかな連続攻撃にミリーが気を失いネイドが立ち上がる。


「勝者。ネイド」


自分の役目を思いだし告げると直ぐにミリーの元に駆け寄った。

「エリーナさん、ミリー副長に冷たいタオルを 首と後頭部に当てて下さい。衝撃で気を失っているだけですので冷やしてあげてください」


その言葉に頷くエリーナに緋波が冷えたタオルをエリーナに差し出す。


「ありがとう。緋波ちゃん」


お礼を言ってタオルを受け取り、ミリーの後頭部から首に冷えたタオルを当てると直ぐにミリーの意識が戻った。


「私は?…………あぁ負けたのね、エリーナ」


ミリーの言葉に頷くエリーナ。

「主様よ、結構エグイ攻撃じゃたな。 顎の一発で勝負が着いたのでは?」


ウズメの声を聞き戦闘に夢中でウズメの実体化できる範囲を越えていなかったことに安堵する。


「まだ、目に光りがあったからね。 師匠にも、勝負に手加減はするなって身体に教え込まれているから最後、決めるとき以外は本気でやったよ」


「ちゃんと手を抜いていた。 最後に手を緩めて衝撃を逃していたから彼女は生きている。 ウズメは目が悪いの」


「悪くないわ!これも主様との繋がりを確認する大事な会話なんじゃ」


そんな三人を上半身をお越したミリーと それを支えているエリーナが温かく見守る。

ふと視線を感じたエリーナが練習場の入口に目をやるとクリエが扉を開け中に入って、こちらを見ているのに気づいた。

(あぁ、依頼主の貴族が来ているのね、試験は合格だし後はネイド君しだいかぁ。 こちらは色々と確認できたからいいけどね)


ミリーもクリエを確認したらしく、エリーナに頷くと静かに立ち上がるり、二人でクリエの元にむかった。

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