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理想のペットライフ  作者: ミイナ
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各々の思惑 中編

試合をする事をになり、ミリー副長の後を着いていく四人。 どうやら一階の中庭にある練習場に向かっているようで、階段を降りている。


「ネイド様、武器はどうしますか?」


エリーナからのその問いに考える。

練習用に誰でも使用可能な武器が常時、置いてあるのだが流石に副長クラスに馴染んでいない武器は不味いと考える。


「報告書にあった銃の武器はさすがに置いてないのですが」

その言葉で自分達の事が、かなり調べられていると感じる。

「そうですね。 今、持ってきてある武器はこの短刀だけです。他の武器は馴染みの鍛治屋に預けているんで、こちらはこの短刀だけで良いですよ」


「迷宮を制覇したその実力を拝見したいので私は何時間でも待ちますよ」


先頭を歩くミリーが振り返り提案する。

「主様よ年上の女性に気を使わせるでないわ。もうちと、外見に逞しさがあれば良いのじゃ」


「ネイド様は今で十分に均等な体格をしてる。

ウズメが肉をつければ良い」

自分が答える前に二人がミリーの問いに違う答えをはさむ。

まあ、いつもの事かと流し返答する。


「構いません。武器が一つ無いくらいで戦えないのら、自分は早死にしてますよ」


「そうよミリー、彼は狂戦士と言われる程の戦闘狂よ、武器が無くても素手で魔王さえ相手にするわよ」


その言葉に頬が引きつるネイド。

緋波、ウズメ、エリーナの三人は当然だと言うように頷く。

「そ…………そうですか?」

チラリとネイドを見て、何も言わず歩きだす。


「ちょっと、何ですか狂戦士って!」


誰も否定せずに進む事に慌ててネイドが叫ぶ。


「貴方。冒険者の皆さんにそう言われてますよ、 この冒険者百人に聞きましたに、嘘はありません」

薄いノートを取り出し、豊かな胸を張るエリーナ。それを興味深く見つめる緋波とウズメ。


ネイドは頭を抱え反論を試みる。


「自分の戦っている姿を仲間以外は見てないはずです。

迷宮はパーティー単位で移動させられ、 他の冒険者と出会う事など無いんですから」

これが迷宮遺跡の特徴で入る人数に制限は無し。百人でも千人でもパーティーとして入れば問題ない。


だが入った後に問題がある。

何故遺跡と名がついたのか?

それは最初に迷宮に入った騎士団が入った時に風化した石畳や石柱。 そして神殿を見たと王に報告を した事から遺跡と名付けられ、再び入った時には森の中に出た事から迷宮と名付けられ、称して迷宮遺跡と呼ばれる様になった。

一度、迷宮遺跡に足を踏み入れると入った場所から帰る事が出来ず、迷宮の何処かに落ちている帰還の石を使い戻れるのだが、これはパーティー全員に効果があり途中で解散もできない為、使用すると全員が迷宮遺跡の前に戻される。ちなみに一度入った迷宮は進行具合を記録してあるのか前と違う場所なのに帰還した階層から冒険できるようになっている。

但し前回と同じパーティーじゃないと適用されない。

その為、パーティー以外の人間が戦闘の様子を見ることなど絶対に無理なのだ。


「そう言えば……、 そうよね? これによると79人の冒険者が答えたことになってるんだけど?」


先程、自慢気に見せた報告書の信用度が下がり嘘っぽくなり始めた時。

「あぁ~、それは我らのせいかもしれんの。緋波と妾で主様の武勇伝を買い物の次いでにこの4ヶ月 布教しておったしの」


「冒険者以外の人達にも質問を受けた」

「ああ、その話題が広まっているのね。 他にも結構凄い内容が書いてあったから 流石に全部を信用してはいなかったけどね」

その初めて知る事実に身内に刺されたのかと膝を着きそうになるのをこらえ、その凄い内容とやらを教えてもらえないかと思い聞いてみる。


「エリーナギルド長、もう少し詳しく書かれている内容を教えて欲しいのですが」


「あっ!私の事はエリーナお姉様と呼んでいいよ。私もネイド君、緋波ちゃん、 ウメちゃんと呼ぶから」



「勘弁してしてください」


「すきに呼べばいい」


「嫌じゃ」

あまり好意的じゃない反応にガックリと肩を落とす。


「まぁいいわ、堅い感じにならないように!……命令よ」


ニッコリと微笑み、 皆の反論を封じるプレッシャーを一瞬放つ。

でわ、エリーナさんと呼び掛けようとしたネイドは試合をする練習場の扉の前に着いたこと知る。


先頭のミリーが扉の前にいるエルフの少女と言葉を交わしているのを眺めていると、エルフの少女が 何か囁き扉を開ける。

「人払いの魔法をお願いしました。 ネイド様達は先に入り準備をお願いします」

ミリーの言葉に頷き 練習場に入るネイド達。


それを見送りミリーがエリーナに声をかける。

「随分と仲良くなったのね。今朝は顔を青くしてたのに」


「それはお互い様でしょ。いろいろと悩んだらもう吹っ切れたわ。後は成るようになれよ」

素敵な笑顔で決めるエリーナ。

そこまで吹っ切れたなら試合をする意味は無いんじゃないかと思うミリー。


「盛り上がってる~ 所で~悪いのですが~さっさと入れ~」

ウンザリ顔で二人を見上げていたエルフの少女が促す。


「クリエ。今日も可愛いわね、早くうちの子になりなさいよ。 貴女がいれば老後も安泰だわ」


「この馬鹿は無視していいわよクリエ。 御免なさいね、直ぐに行くから依頼主が来たら三階の貴賓室の方へ案内してね」

クリエに付きまとうエリーナの手を引き中に入ると後ろで扉の閉まる音がする。

テニスコート二面分の広さ練習場の中央にネイド達が集まっていた。

ミリー達はゆっくりと近づいて行くと、それに気づいたネイドが服の内ポケットから瓶のような物をエリーナに差し出す。


「これは?」


エリーナが差し出された瓶を受け取りネイドに聞く。


「こちらに寄る前に馴染みの喫茶店で騒動がありまして、その時に捕獲した蚤です。 寄生すると麻痺と生命力を吸収します。 だいぶ変体しているので調べてもらいませんか?」

「聞いたこと無いわね。……解ったわ、お姉さんに任せなさい」


豊かな胸をポンと叩き、承諾するエリーナにお願いしますと頭を下げるネイド。


「ネイド様、始めましょうか」


そう言うとミリーの右手に槍が現れる。

ネイドより少し低い位のミリーの身長とほぼ同じ長さの槍で 刃の部分は突くと斬るの両方使用できる形になっていた。

どうやら本気らしいと感じたネイドは緋波に手を出さない様にと言い含め後ろに下がさせる。

次にウズメと視線を合わせるように腰を落とす。


「妾も共に闘おうか 主様よ?一心同体になれば条件には反せぬぞ」


「いや、僕の実力を知りたいだけだろう、隠せるとこは隠さないとね。 さっき居たエルフには見られてると思うし」

「そうかぇ、では妾の力の一部を貸そうかの?」


「うん、力を見たいらしいからその位は知られても問題ないよ」


(では。コピーキャット発動)


ウズメは目を瞑り両手を軽くあわせ魔法を発動する。

ネイドの白い短刀が仄かに黒く光る。

それを確認して立ち上がりミリーと3メートル程の距離をとって見つめあう。

「お待たせしました。勝利条件はどうしますか?」



「私から説明します。あくまでも試合ですから命を奪う程の攻撃は禁止とします。 危険と判断したら私が止めますので存分に戦ってください。 勝利条件は相手に膝をつかせる程のダメージを与えた方の勝利とします」

エリーナの言葉に二人は頷き戦闘開始の合図を待つ二人にエリーナが右手を振り上げ

「戦闘開始」

の声で右手を振り下げる。

その合図で試合が始まった。

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