96.志武家の事情
「あ! トイレットペーパーが安い」
チラシ広告でアカネ(高2)が見つけた。
「全員集合~~!!」
近所のスーパーのレジに、1人1セットずつトイレットペーパーを抱えた志武12兄弟がずらりと並んでいた。
お1人様1つまでの安売りの品があっても、志武家なら12個までOKなのだ。
大家族のメリットといえよう。
志武家の整理整頓状況はどうか?
結構きれいだ。
片付ける手がたくさんある。
自分の事は年齢に応じてそれなりに自分でするのが志武家のルールだ。
だいたい散らかすのは弟たちだが、そこはお姉ちゃん軍団が目を光らせている。
特にアオイ(大1)とアカネ(高2)がにらみをきかせているから、ぐちゃぐちゃになる事は無い。
風呂が男女も年齢もごちゃまぜで一緒なのも自然の成り行きだ。
チャコ(年中)、ダイゴ(年少)といった幼児もいるし、いちいち分けてやっていられない。
浴室には、男性用シャンプーと女性用シャンプーと幼児用シャンプーが置いてあるが、減るのが早い早い。
無くなった時に使っていた者が補充するルールというのは前にも書いたが、いったん風呂から出て補充用のシャンプーをクローゼットから取ってくるのは面倒なので、薄めて使うか(そして補充を忘れるとお姉ちゃんから指導が入る)ある物を使うかといった事になる。
だから、シャンプー後、お姉ちゃんの髪から不釣合いな刺激の強い爽快感あふれる匂いがしたり、兄ちゃんの頭からこれまた不似合いな優しいお花の香りがしちゃったりなんかしているのである。