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87.王子様の○ッ○
夕食時。
食卓にやって来ないキイロ(中2)を、ハヤト(高1)とダイゴ(年少)が呼びに行った。
キイロはベッドで寝てしまっていた。
「おい、キイロ、起きろ。キイロ、起きろ。ごはんだぞ」
「お姉ちゃん、ごはん」
肩をゆするが反応が無い。
「起きないな」
「ないねー」
「こういう時は」
「時は?」
「足の裏を思いっきりくすぐろうぜ」
「うん、やるやるーー!」
「ちょっと待ったああ」
「なんだキイロ、起きてたのか。早く来いよ。ごはんだぞ」
「お姉ちゃん、ごはん」
「あのさ」
「ん?」
「ん?」
「こういう時は王子様のせっぷんで目覚めるものでしょ。待ってたのに」
「王子様のげっぷ?」
「違うわよダイゴ。せっぷん。キスする事よ」
「そんな事するわけないだろう。ほら、早くしろ」
兄が妹をせかす。
「つまんなーーい」
「お姉ちゃん、僕、やるやるーー」
ダイゴが口をタコみたいにとんがらかしてキイロに近づいてきた。
「あ、うそうそ、ダイゴ。じょーだんよ」
「僕だって、じょーだんだもーん」
「おーっと、こらまた1本とられましたあ!」
「いいから、キイロ、早くしろって」
「はーい」