79.志武パンク、動画サイトに現る
「じゃーん、どうだこれ?」
ハヤト(高1)が兄弟たちに着て見せているのはパンクロッカーの衣装だ。
逆立った金髪のカツラに、派手な革ジャン。
「アニキそれどうしたの?」
チャコ(年中)がたずねた。
「今度、演劇部の助っ人を頼まれたのさ。パンクロッカーの役だ」
「アニキ、運動部以外の助っ人もやるのか?」
意外という感じでヒロシ。
「こないだのカメンダーマスクショーで、ちょっと芝居に目覚めたかもな」
「いや、これはイケるかも」
コウジ(中1)の頭にひらめいたものがあった。
動画サイト。
モモコ(小2)演じる志武おんぷとチャコ演じる志武じゃんぷは、ネット上で“しぶりん”の愛称で呼ばれ、いつのまにか“シブリンズ”というユニット名まで付けられていた。
「今日は私たちシブリンズの新しいメンバーを紹介します。頼れるアニキ、志武パンクで~~す!!」
志武おんぷが紹介すると、
「イエ~~イ!」
と、ギターを抱えて志武パンクが現れた。
演じているのは言うまでもなくハヤトである。
おんぷ、じゃんぷ同様、目元を覆うマスクは付けていた。
踊るおんぷ、じゃんぷ2人の後方中央でパンクがギターをかき鳴らす。
この動画に若い女性のネット住人が食いついた。
これまでは幼女好きの男性がシブリンズファン層のメインだったが、これに若い女性のファン層が加わり、シブリンズの動画再生回数は更に伸びる事になったのである。