7.やったわね
コウジ(中1)、ヒロシ(小4)、タダシ(小1)、ダイゴ(年少)の4人で入浴していた。
「ほら、水鉄砲できるよ」
「僕だって、できるよ」
「どうやるの?」
「こう?」
「うわ、かかった。やったな」
「わっ。今の僕じゃないのに! お返し」
「お、そんなにかけてないだろ!」
「仕返しだーー」
「こっちだってーー」
浴室からワイワイ大騒ぎの声が聞こえてくる。
リビングでキイロ(中2)が
「男ばっかで入ると、うるさいわねー」
と言えば、
「ほんと。やっぱり、1人は私たちの誰かがいないとね」
と、アカネ(高2)も応じる。
大騒ぎの声はますます大きくなり、ガタンゴトンと物音もしてきた。
「ちょっと、注意してくるわ」
アオイ(大1)が立ち上がった。
浴室の扉をガラッと開け、
「ほら、大騒ぎするのはいい加減に……」
と言いかけたところ、
バシャ!!
かけ合いで大はしゃぎしていた彼らからの水が、派手にアオイにかかってしまった。
アオイは頭からぐっしょり。
「……」
弟たち4人は、冷や汗がタラ~~。
アオイは、黙って濡れた服を全部脱いだ。
そして、そのままスタスタとリビングに行った。
「姉さん?」
「そんな格好でどうしたの?」
アカネとキイロがたずねる。
アオイは、おもちゃ箱から、マシンガンタイプの強力な水鉄砲を取り出した。
それを持って再び浴室へ。
アオイは浴室に入り、バタンと扉を閉めると、
「よくもやったわねーーーー!!」
水鉄砲マシンガン最大出力!
「うわあーー」
「お姉ちゃん、かんべん!」
「助けてーー」
「ひぃーー」
浴室からは、さっきよりもっと大きな声と物音が聞こえてきた。
「はぁーー」
顔を見合わせてため息をつく、アカネとキイロであった。