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78.ブラコン姉妹、シスコン兄弟

 ツヨシ(大2)とアカネ(高2)がマンガ原稿描きで家に残っている時、あとの10人はアオイ(大1)の運転で出かけていた。

 兄弟の中では、ツヨシとアオイの2人が運転免許を持っている。

 志武家の車は10人乗りのワンボックスカー。

 2人の所有免許で運転できる上限が10人乗りだ。

 12歳未満は3人で大人2人扱いなので、ミドリ(小5)からダイゴ(年少)までの6人は、大人4人分ということになる。

 なので、定員10人の車だが、12兄弟姉妹全員でも乗る事が可能なのだ。

 無論、6歳未満のチャコ(年中)とダイゴはチャイルドシート使用である。


 10人がやってきたのは屋外テニスコート。

 今はキイロ(中2)が部活でテニスをやっているが、アオイも中高とテニスをやっていた。

 今日はキイロに頼まれてアオイが練習相手を務めるのだ。

 兄弟たちは組み合わせを変えてペアを作りながらダブルスの試合をしていた。

 チャコとダイゴはちょっとだけやって、後は近くの公園の遊具で遊んでいる方が気に入った。

 兄姉たちが交替で2人についていた。


 現在、対戦の組み合わせはキイロ(中2)・ハヤト(高1)組VSアオイ(大1)・コウジ(中1)組。

 テニスを本格的にやったのはアオイとキイロだけで、後の兄弟たちはこういう時にやる程度。

 ただ、みんな運動神経はそれなりにいいので、どうにか形にはなるのだ。

「姉さん、本気できてね」

「いくわよ、この志武アオイの伝説のサーブ」

「姉さん、いつ伝説になったっけ?」

 ペアを組んでいるコウジのツッコミもものともせず、アオイはサーブを打ち込んだ。

 ラインぎりぎりのきわどいコース。

 すばやい反応でキイロが返す。

 それをアオイの前衛のコウジがカットした。

 小さいボールを打つのが得意なのには野球の経験が生かされているかもしれない。

 負けずにハヤトが打ち返す。

 様々な運動部の助っ人に借り出されるハヤト。

 その中にはテニス部もある。

 アオイやキイロほどではないものの、ハヤトはテニスの腕前もなかなかだ。

 ハヤトの返したボールを、再びアオイが打ち返した。

 キイロが追い切れず、姉に得点を許してしまった。


「悔しいな。また負けちゃった」

「どんどん上達するから大丈夫よ」

 現在、対戦の組み合わせはミドリ(小5)・タダシ(小1)組VSモモコ(小2)・ヒロシ(小4)組。

 さきほどの兄姉たちの試合に比べるとおだやかな試合だ。

 見ながら、アオイとキイロが話していた。

 公園ではハヤトとコウジが、チャコとダイゴの相手をしている。

「ナチュリストコンテストの時もアカネ姉さんに負けちゃったし……。早く姉さんたちに勝ちたい」

「それは無理かも」

「え?」

「妹たちには永遠に負けないから」

「言ったなーー、いつかかならず負かしてやるんだから」

「ふふふ、待ってるわね」

「そうだ、じゃあ、私、姉さんたちより早く結婚しちゃおうっと」

「もう結婚の話? キイロはどんな人がいいの」

「はずかしいから言わない」

「なに? 言いなよ」

「――あのね、言わないでね。うちの兄弟たちみたいな人がいい」

「それ、ハードル高いね」

「やっぱそう思う?」

「私も結婚するなら兄弟たちみたいな人がいいもん。でもなかなかいないよ、そんな人」

「やだ、私たちってブラコン姉妹?」

「いいんじゃない」

「ぶらこんって? ブランコのこと?」

 いつの間にか、チャコとダイゴが近くに来ていた。

「びっくりした。――あ、そうだ。ね、チャコって誰と結婚したいんだっけ?」

 アオイがチャコにたずねた。

「私ね、お兄ちゃんの誰かと結婚する」

 アオイとキイロは顔を見合わせた。

「やっぱ、姉妹だね」

「僕は、お姉ちゃんの誰かと結婚する」

 ダイゴも言った。

「こっちはシスコンだ」

 アオイとキイロは笑った。

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