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5.見せてごらん
お湯に浸かっていたツヨシ(大2)は、体を洗っているキイロ(中2)の太ももにアザができているのに気付いた。
「キイロ、どうしたんだ? そのアザ」
「うん、ちょっと部活でぶつけちゃったみたい」
キイロはアザのできている太ももの内側をツヨシに見せた。
ツヨシは、お湯から出てきた。
「それは、ちゃんと冷やした方がいいんじゃないか? いやまて、あっためた方がいいんだったかな? いや、まて、やっぱり冷やした方が……」
キイロの内もものアザを確認してから、ツヨシは考え始めた。
体を流し終えたキイロはお湯に入った。
「いや、やっぱり冷やすんだよな。あ、でも、あっためた方が……」
キイロがお湯に浸かっている間も、ツヨシは洗い場でしきりに考えている。
「兄さん、私先に出るね」
キイロは体を拭いて浴室から出てしまった。
「いや、まてよ……。でも、やっぱり……」
ツヨシはまだ考えている。
「で、湯冷めして風邪ひいちゃったわけ?」
リビングで、毛布にくるまって寒がっているツヨシにアオイ(大1)が聞いた。