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50.ここから洗うの
ハヤト(高1)とコウジ(中1)で湯に浸かっていた。
ミドリ(小5)が体を洗っている。
それをハヤトが見ていた。
「ん? 兄さんどうしたの」
ミドリがたずねる。
「いや、違うもんだなと思ってさ」
「そりゃ、まだ姉さんたちみたいにはならないわよ」
「いや、そうじゃない。どこから洗うかってことさ」
「どこから洗うか?」
今度はコウジがハヤトに聞いた。
「ああ、同じ兄弟姉妹でも、首からだったり、腕からだったり、胸からだったり、顔からだったり、いろいろだなあと思って。誰が教えたわけでもないのに」
「そういえば、どこから洗うかなんて別に誰からも教わっていないけれど、いつの間にか自分のやり方が習慣で身に付いているよね」
ハヤトの言葉にコウジも同意した。
「ミドリのやり方は、やっぱりミドリだけだしな」
ハヤトが言えば、
「いいでしょ。私はここからきれいにしたいんだもん」
と、すましてミドリ。