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47.ふるーつ湯
冬のある日。
ハヤト(高1)が浴室に入ると、湯に何か浮かんでいた。
「なんだこれ?」
つまみ上げて見るハヤト。
「みかん湯なんじゃないの?」
後から入ってきたヒロシ(小4)が言う。
先日のアカネ(高2)のを覚えていたのだ。
でも、見てみると違っていた。
みかんはみかんでも、ゴムでできたちっちゃなみかんのおもちゃだ。
他にもいろいろ浮かんでいる。
りんご、ぶどう、ばなな、メロン、すいか……。
「それ、私が入れておいたの。私もびようにいいことしようと思って」
チャコ(年中)が入ってきた。
「ふるーついっぱい入れておいたから、私もお兄ちゃんたちもみんなびじんになるよ」
「チャコ、それ以上、美人になってどうすんだ?」
こないだ、コウジ(中1)がアカネに言ったのを真似して、ヒロシはチャコに言った。
「やーねー、もーほんとのこと言わないで、照れるじゃない」
チャコが、ヒロシのおしりをぱんぱたたいた。
肩に手が届かないから、たたく場所がおしりになってしまのだ。
同じリアクションで、やっぱり姉妹だなーと思うヒロシであった。