43.つるつるだね
冬の日は、肌がかさかさになりがちだ。
キイロ(中2)は入浴後、手にハンドクリームをぬっていた。
一緒に入浴したモモコ(小2)が
「お姉ちゃん、どうしていつもクリームぬってるの?」
と聞けば、タダシ(小1)も
「いいにおいだから?」
とたずねた。
「冬は手が荒れちゃうでしょ。そうならないためにクリームぬるのよ」
「あれるって?」
「手ががさがさになっちゃうこと。見せてごらん」
キイロはタダシの手を取った。
「ちょっと荒れてるわね。手を洗った後ちゃんとふいてないなー」
キイロはタダシの手を包み込むように取ると、クリームをぬってやった。
「ほーら、つるつるになーれ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
タダシはうれしそうだ。
「私もやってー」
モモコも手を出した。
「モモコはそんなに荒れてないわね。手洗いの後ちゃんとふいてるね。えらい、えらい」
キイロは、モモコの手も包み込むように取るとクリームをぬってやった。
「わーい、ほめられちゃった」
「キイロ姉ちゃんの手はつるつるだね」
タダシがキイロの手をさわって言った。
「私、編み物するでしょう。かさかさしていると毛糸が引っかかっちゃうから、お手入れしてるのよ」
「私も今度あみものしたい」
と、モモコが言えば、タダシも
「ぼくも、のみものしたい」
と、ちょっと間違えたりしているのであった。




