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39.泡のオバケ
ツヨシ(大1)、ミドリ(小5)、モモコ(小2)での入浴中。
「あれ? 鏡が曇っちゃった」
ミドリが言った。
ツヨシが石鹸水を手のひらに取り、鏡の表面にぬり始めた。
「お兄ちゃん、何やってるの?」
モモコにたずねられ、ツヨシは答えた。
「こうやって石鹸水をぬっておくと、曇り止めになるそうなんだよ。効果はちょっとの間だけらしいんだがな」
「へえー、そうなんだ。私もやる」
モモコも石鹸水を手に取ると、ツヨシの前に割り込んで鏡にぬり始めた。
「私だって」
ミドリもまた、石鹸水を手に取ると、ツヨシの前のモモコの隣に割り込んだ。
「うおおりゃあああっ!」
そして、2人で競い合うように石鹸水をぬり始めた。
「あのーー」
兄の情けない声に妹2人が振り向くと――。
「わっ!」
「泡のオバケっ?」
ミドリとモモコが勢いよく泡を飛ばしまくったおかげで、全身を泡まみれに覆われたツヨシが居た。
「泡のオバケじゃない!!」




