3.いっしょに入る?
入浴3組目は、アカネ(高2)、コウジ(中1)、タダシ(小1)。
アカネはロングヘアーだ。
シャンプーには時間がかかる。
アカネが洗っている間は、出口をふさがれる事になるので一緒に入った兄弟たちはお湯の中でじっと我慢だ。
「兄ちゃん、僕、友だちから『おまえ姉ちゃんと風呂入ってるのか?』って聞かれた」
「で、なんて答えたんだ?」
「『入ってるよ』って」
「まあ、小学1年生だし、それで普通だよな」
「兄ちゃんも聞かれる事ある?」
「たまにあるかな」
「何て答えるの?」
「まあ、中学生はいろいろあるから、そのへんはテキトーだな」
「テキトーって?」
「まあ、だから『入ってない』って答えた方が、いろいろ面倒じゃないってことだ」
「ふーん」
こうやって会話をしながら待つのだが、アカネのシャンプーはまだ終わらない。
「ねえ、お姉ちゃんも、同じような事聞かれるーー?」
「え、なに?」
ちょうど洗い終わったタイミングのアカネが、シャワーを止めてタダシに聞き返した。
「あのね、お姉ちゃんも『兄ちゃんと風呂入ってるか』って友達に聞かれた事ある?」
「うーん、たまにあるかな」
「なんて答えるの?」
「一緒に入っているって答えると大騒ぎになるから『入ってない』って言っちゃうかな。でも、タダシやダイゴとはちっちゃいんだし一緒に入ってるって言うわよ。じゃ、私入るから、どっちか出て」
「う……、うん……」
ぶくぶくぶくっとタダシが沈んだ。
「タダシ!」
「おい、しっかりしろ!」
お湯に長く浸かりすぎて、のぼせてしまったタダシであった。