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37.のぼせないつもりだったんだけど

 アオイ(大1)がタダシ(小1)とダイゴ(年少)を風呂に入れていた。

 3人で湯船に浸かっている時、タダシが頭にタオルを載せた。

「兄ちゃん、それ何?」

 ダイゴがたずねた。

「お風呂に入る時は、頭にタオルを載せるんだよ。こないだテレビでやってた」

 タダシは、覚えたばかりの知識をさっそく弟に伝授する。

「へえー、そーなんだ」

 ダイゴも真似してタオルを載せようとした。

 が、うまく絞って折りたためない。

「貸してごらん」

 アオイはダイゴのタオルを水で濡らしてから絞って長方形にすると頭に載せてやった。

「はい」

「ありがとう、お姉ちゃん」

「2人とも、どうしてタオルを頭に載せるんだと思う?」

「知らなーい」

「どうして?」

「お湯に長く入っているとだんだん熱くなってくるでしょ」

「うん」

「うん」

「熱いと頭がぼーっとしちゃうから、そうならないために濡らしたタオルを載せて頭を冷やすのよ」

「ほんとだ、タオルが冷たくて気持ちいい!」

 ダイゴが言った。

「お姉ちゃん、僕のもやってよ」

「はいはい」

 アオイは、やや温まってきたタダシのタオルも、同じように水で濡らして絞ると、タダシの頭に載せてやった。

「どう?」

「えへへ、気持ちいい」

 タダシも上機嫌だ。

「ふうー、熱くなってきたわね。私もタオル載せよっと」

 アオイもタオルを頭に載せた。

「これなら、お湯が熱くても平気だね」

「うん、良かった」

 タダシとダイゴが赤い顔をして言った。

 そんな弟2人にアオイが、

「でも、ほどほどにしないとのぼせちゃうから」

と言っていたのだが――


 リビングで、アオイとタダシとダイゴが寝かせられていた。

 3人とも額に冷たいタオルを載せられ兄弟たちからうちわであおがれている。

「もー、3人とも心配するじゃない」

 冷たい水を入れた3つのコップをお盆に載せてきてアカネ(高2)が言った。

 冷たいタオルが気持ちいいと、3人で取っかえ引っかえ頭に載せ合っている内に、3人ともお風呂でのぼせてしまったのだった。

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